八百万の心と神
無知は罪である… 2016年7月30日 1時 /デジャヴ。既視… 2016年7月26日 2時 /「あづ~……」 … 2016年7月25日 12時 /表現力のつかな… 2016年7月23日 12時 /さて、どうした… 2016年7月23日 12時 /けん玉も縄跳び… 2016年7月22日 20時 /神は死んだ、な… 2016年7月22日 1時 /「う、ぐ…」 身… 2016年7月21日 1時 /目を閉じ、瞼の… 2016年7月20日 2時 /俺は、目の前に… 2016年7月19日 13時
メッセージ一覧
鈴美 (プロフ) [2016年7月30日 1時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]無知は罪である。
自らの世界に何も疑問を抱かない。それは目隠しをしたまま歩いていることと同じだろう。
どこを歩いているかも知れずに右往左往。
しかしそれは恐怖故の迷いではないだろう。何も知らないのならば恐怖を知ることもない。だからといって勇気があるわけでもない。
ただ、何も知らない。
それで仮に天真爛漫に純粋無垢な笑顔を振り撒き歩くなら。それは、目隠しをしたまま他を踏みつけることではないか。
目隠しをしているから、現状を視界に入れないからこそそこがどうなっていたところで笑っていられる。
無知は罪である。
鈴美 (プロフ) [2016年7月30日 1時] 2番目の返信 [違反報告・ブロック]青い空は雲に覆われてしまっていたから、暑い日差しは遮られていた。縁側に座っていても、弱い肌を焼くことはなかった。
小さな支配者は空を見上げていた。正確には、その大きな雲達の向こうに、想いを馳せていた。
今しがた、自らの所有している神が、任を終えたとの聯絡が入った。世界をまだ良く知らぬ小さなこれは、その従僕が帰るのを心待ちにしていた。
何も気づかぬ無邪気な瞳。それは灰色の曇天を映し、無事に帰ってくれと願うのだった。
しかし、そんな時間は絶たれる。
がさりと、音がしたのだ。
すわる縁側の向こう。そこには政府から借りているこの屋敷とそれ以外とを隔てる木製の塀があるのだ。その向こうには、ぼうぼうと繁る草。その辺りから、何かが草を踏み付けるような音がしたのだ。
驚き、怯える。
小さな支配者。それはまだ齢十三の少女である。だからそれらしく、彼女はびくりと震え思うのだ。
怖い。
と。まだ帰らぬ従僕に向けて。
塵芥 (プロフ) [2016年8月3日 18時] 3番目の返信 [違反報告・ブロック]『…迷い混んだか…』
困ったものだな。小さくため息をついてそう言うと、目の前にいる少女を無表情で見た。
カラン、カランと下駄をならして繁った草むらから出てくる。
さて、何処まで降りてきてしまったのか。
迷子、と言うには少し違うか。この場所は知っている。ただ、自身の家に帰るにはどの道を辿ったら良いのか。
あれだけ繁っているというのに下手をしたら道を外れてしまう。
仕方がなく此処まで来たのだが…見知らぬ少女が目の前にいるとなると、些かどうして良いのか分からない。
どうせ少女は式神の帰りを待っているようだし、俺は戦いたいとは思わぬ。
ただ、少女を見て思ったのは穢らわしい。そう感じた。
無知でるが故に神をなんとも思わず、扱うのだから。まぁ、望んでその立場になる神もおると言うが…やはり人の子は気持ちが悪い。
圷. (プロフ) [2016年7月26日 2時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]デジャヴ。既視感。そんな言葉じゃ済まない何かを感じた。
場所が場所であればご神木とも呼ばれるであろう大樹の前に、一人番傘をさして佇む。くるくると傘を回し、意味も無く大樹に掌で触れた。ひんやりとしていて、しっとりしてる。気持が良かった。
「…何でだろうな」
呟き、大樹から離れて、番傘を閉じる。
先程からずっと、何かの拍子で始めて訪れた筈の此処に、酷い既視感を感じていた。とても懐かしくて、心の底が温まるような、そんな感覚がする。頭の奥の奥で、遠い日の記憶が濃い霧が掛かったまま渦巻いている。断片的に浮かぶ。
自分でない自分の幼い姿。見たこともない筈なのに懐かしい誰か。暖かい手と、幼子らしい可愛らしい約束。
そこまで浮かんで、割れそうなほどの頭痛がして。頭を押さえてその場に崩れ落ちた。ふわんと草の青臭い匂いが香った。
「っ…ぐぅ、ぁ…」
痛い。痛い。拍子に番傘を落として、カランと音を立てる。耳鳴りもする。呻き声をあげながら、目をキツく閉じると…懐かしい誰かの、懐かしい気配がした。
塵芥 (プロフ) [2016年7月29日 0時] 14番目の返信 [違反報告・ブロック]『何を今更。当然だろう』
お前が離れない限かぎりはな、と付け足す。
目を瞑っている彼の額に、そっと唇を重ねる。
数千年も待ったというのに、離れなければいけない理由があるものか。
何れ人は死をむかえる。そうなればまた、待たなくてはいけなくなる。
正直それはもうごめんだ。
気の遠くなるような時間が再びやって来るのだと考えるだけでも恐ろしい。
俺が彼よりも先に消えてしまうかもしれないが。
その方がずっと楽か。
そのほうが待つよりも待っててくれる方が心持ちが違うというものだし。
まぁ、少なくとも彼が俺から離れることはないだろうし、俺も手放す気はない。
幾年が経とうとも誰にも邪魔されず、彼と生きていきたい。
圷. (プロフ) [2016年7月29日 19時] 15番目の返信 [違反報告・ブロック]「…ふふっ」
擽ったそうに身をよじり、吐息交じりの笑い声を漏らした。嗚呼、一緒に居てくれると言うのならば、何としてでも生きなければならない。一度は世界に嫌気がさし、消えてしまおうかとも思ったが、留まって良かった。彼の為なら、僕はきっと、禁忌だって犯すことが出来る。それはもう、喜んで。でも彼が望まないならそれは止めよう。彼には笑っていてほしいから。
「僕だって、離れないよ。離れないし、放さない」
顔を上げて、上目使い気味ににっこりと、心からの笑みを浮かべて彼に抱き付く力を強めた。もう放さない、とでも言いたげに。
圷. (プロフ) [2016年7月29日 20時] 17番目の返信 [違反報告・ブロック]「懐かしいね。『指切りげんまん 嘘吐いたら 針千本のーます』…」
差し出された小指に己の小指を絡めて、上下に揺らしながら歌を口ずさむ。誰でも幼い頃でも今でも、一度は歌ったことのあるだろう唄。その歌は、昔の所謂遊女が、愛した男性へ対する心中立てとして、小指の第一関節を切って差し出すことに由来したらしい。紆余曲折を経て今の大衆の風習へと変化したが、本質は変わらない。
『私は小指を差し出す程貴方の事を信用しているから、裏切ったら容赦しない』。
尤も、僕が黒柊を裏切ることは、天地がひっくり返ってもあり得ないことだが。
「うん。約束だよ……『指切った』」
極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月25日 12時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]「あづ~……」
暑くてたまらない。背負った薙刀が熱されて……何とも嫌な気分。だが、こんな日こそが式神探しにもってこいだもんねェ。
「……んん?」
おや、あそこの木の下にいるのは誰だァい? 見た感じ、ひょろい式神かなァ。ま、ちょいと斬りかかってみようかァ!
僕はかるーく跳び上がって、彼の一寸横に薙刀を振り下ろしてみた。
圷. (プロフ) [2016年7月23日 12時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]表現力のつかない不思議な音を立て、目の前にいたはずの、名前も知らない誰かは消えて行った。白い煙がぶわりと広がり、一瞬目の前が見えなくなる。それは微かに花の匂いがした。同時に、ひらり、と札が舞い落ちてくる。
「あーあ…逃がしちゃった」
チッと小さく舌を打ち、焼け焦げた札を摘まむ様にして拾い上げた。焦げた臭いが鼻につき、ひどく気分が悪い。
顔をしかめて、狩り損ねた荒神が消えて行った方向を見た。日出ずる方向、東。もう追い付かないだろう。彼等は僕達とは違う空間を動くのだから。
夜明けが近い。空が徐々に白んで行く。一つ嘆息して、帰路に就こうと踵を返すと、背後に何者かの気配を感じた。
「誰ですか」
特になし (プロフ) [2016年7月23日 13時] 1番目の返信 [違反報告・ブロック]美しい物が虐げられているより美しい事は無い、と傾城三日月は常日頃からそう思う。
この性癖の理由は三日月の親が虐待を働いていたとか、幼い頃育った児童養護施設が酷い環境だったとか、そう言った最もらしい事は一切無い。
美しい物を美しいと感じる心は、何かに脚色されずとも生まれたときからそう在るのだ、うん。
自分の布団に横たわるぼろぼろの式神を一瞥し、欠伸をしながら縁側から外へ出る。火照った身体を冷ますのには夜風が一番だ。
近くで神らしき霊力と人間らしき霊力がぶつかる波動を感じて、野次馬根性で足音と気配を忍ばせ現場に近付く。呪殺符は持っている為邪魔にはならないだろう。
しかし近付いた瞬間に荒神と思われる気配は消え、代わりと言わんばかりに目に痛いくらいの朝日が現れた。
やっと朝日に目が慣れると、霊力の発生源と思われる青年に声を掛けられる。逆光で見えなかった為ほんの少し驚き、一呼吸してから声を出す。
「おはよう、しがないお姉さんだよ。いやぁ、未来有る若者が殺されそうになったら助けてあげようかと思ってさ」
そのまま思いの外精悍な顔立ちをした青年の藍色の瞳に笑みを向けた。
「単騎で荒神と戦うと危ないぜぇ?ミスったら取り返し付かない事になる」
圷. (プロフ) [2016年7月25日 19時] 4番目の返信 [違反報告・ブロック]「…僕の式神は反抗期なようで、捕まらないのです」
眉根を思いっ切り寄せ、嫌悪にまみれた顔をした。瞳を覗き込まれた事に対しては、彼女の目尻を見るようにして、目を逸らした。目を見られるのは、嫌いなのだ。必死に隠し続けた、奥に潜む自分が他人に露見してしまう様で。
嗚呼、この人といると、自分を保っていられない。
まあ、とこの雰囲気を壊すようにして、飄々とした笑みを貼り付けた。
「僕の仕事は、最前線の方のサポートですので。居ても居なくても、同じですがね」
治癒と武器の補充、残党、狩逃しの処理等、裏方の仕事が仕事で、好みである。前線に出るのはやめろと、遠い昔に友が言っていた。それが何時の事か、友が誰なのかすら覚えていないが、その約束だけはずっと、律儀に守っていた。
塵芥 (プロフ) [2016年7月23日 12時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]さて、どうしたものか…。
俺の領地に踏み入って、娘はいきなり戦闘を始める。
武闘派ではない俺にとって面倒で、かなり疲れるから遠慮したい。
『帰ってはくれないのかな?』
人の子は好かない、式神も嫌いだ。
落ちれば自分も嫌いな式神になるのだから、抵抗しなくてはならない。
かといって何となくあの娘に俺の霊力は聞かなさそうだし…。どうしたらいいのか。
とりあえず娘の記憶を紡ぐとしよう。
(専用)
鈴美 (プロフ) [2016年7月22日 20時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]けん玉も縄跳びもあやとりも、させてもらった思い出なんてない。それでも世界にはうんと楽しいことがある。それを知ってるから笑ってられる。
なんて。子供のくせに悲しいことを主人は言うのだ。
鈴美 (プロフ) [2016年7月22日 20時] 1番目の返信 [違反報告・ブロック]空を見上げていた視界に、それは突然入ってきた。
青い空に良く映えるような『真っ白け』。見た瞬間、胸の奥をきゅっと捕まれた気がした。
恋なんかではないだろう。ただただ言い知れぬ違和感に包まれた感じだ。それでも警戒心は皆無だった。何故なら彼は、体の大きさこそそれとは違うものの、自分と同年代の少年のように見えるのだ。
「あ、あ、あの、ここは菊ちゃんのおうちだよ……?あっ、でも、借りてるから菊ちゃんのじゃないけどね!!」
来客の予定はなかったから、彼が迷い込んだのかと思った。勝手口の向こうは堀があるものの地続きだ。滅多にないだろうがありえないことは無い。
必然的に上目遣いになる黒目は少し不安になる。なんてったって『真っ白け』の彼は笑顔のまま何も言わないのだ。怖くはないが、心配だった。何かいらぬことを言ったかと思い、叩かれてでもしてしまうのかと思った。
鈴美 (プロフ) [2016年7月22日 21時] 2番目の返信 [違反報告・ブロック]迫ってきた手にぎゅっと目を瞑る。叩かれると思った体はふわりと浮いた。それで提案する彼の目にやはり『真っ白け』なんて思うのだ。
だから反応が遅れた。家を、彼は、遠ざける。
「あ、あ、あ、えっと、かげろうくん!菊ちゃんもね、お遊びはしたいけど、い、今お留守番してるところなんだよ……?とうくんを待たないとなんだよ……?」
不安がって白い水晶体を覗いて見ても、ますます知らないどこかへ運ばれるばかり。やっとここで怖いと、警戒心が産まれた。
彼女の言うところのとうくん。それは彼女の持つ式神の一つだった。
式神は主人の心を敏感に察する。だからきっと今頃、それの胸が騒いでいることだろう。
鈴美 (プロフ) [2016年7月22日 21時] 3番目の返信 [違反報告・ブロック]わからないことばかり並べられて、身体に対して精神の追いついていない彼女は当然困惑する。しかしそれから導き出された答えは、歪だった。
「あ、あのね、かげろうくん。菊ちゃん、頭悪いからかげろうくんの言ってることよくわかんないんだけど、でも、あのね」
もじもじと節目に、不安げに問う。
それは過去の経験から、これまた当然のように口から這い出る質問なのだった。
「それなら、とうくんに、怒られないの──?」
「なんだお前」
自らの主人の代理として、彼は彼女の上司とやらに品を届けた帰りだった。家の中に、主人の気配がない。しかし気配はあるのだ。
主人のように純情ではない気配が。
廊下を歩いて、襖を開けて、いない。別の廊下を歩いて、襖を開けて、いない。いないがその部屋の障子の向こうに気配。ふっと一つ息を吐いてそこを開ければ、いた。
見知らぬ神が。
鈴美 (プロフ) [2016年7月24日 3時] 4番目の返信 [違反報告・ブロック]『真っ白け』のよくわからない、彼女にしてみればすかすかも中身もない、よくわからない言葉だろう。それでもその空白の中に、呑み込まれるように。
彼女はにっこりと笑ってしまった。
「じゃあ、遊ぼう?」
安堵を抱える無垢な心では、彼の心に気づくことなどできない。
そこに漬け込んでいるのはきっと、目の前の彼だけではない。
へらへらと笑う、式神。俯瞰すれば、焦る自分が馬鹿らしく見える。
「おい、お前。俺の主人を知らないか」
少々の敵意と警戒心と不信感を持って、目の前の狐ヶ崎と名乗る式神を睨んだ。いない主人は、もしやこれの仲間にでも連れていかれたのかと思ったのだ。
これに、主人の匂いはついていない。
だから安心して一歩踏み込んだ。威圧を込めた瞳は、狐ヶ崎の白い髪を映しても薄汚れて淀んで、眩んでいた。
特になし (プロフ) [2016年7月22日 1時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]神は死んだ、なんて大昔の哲学者が言っていたけれど。結局の所あの言葉の意味は『神に何も期待するな』って事だと思ったり思わなかったり。
弱者が傷を舐める為に神という虚構に縋って居るとしたら、それは神への冒涜と宗教の腐敗しか意味しない。
…なぁんて最もらしい事を言ってみるけど、私も弱小種族の一角を担って居る訳だから自虐は辞めよう。笑えない。
結局どんな無神論者だって死ぬ瞬間は神に祈って仕舞うのでは無いだろうか。そうすれば脳の快楽物質が幻覚を創り出して『救われる(笑)』。
しかし人間である私は其れを唾棄しよう。神は神になんて祈らない。其れが人間と言う枠を越えられる第一歩だ。本当は第一歩も何も無理な物は無理なのかもしれないけど。今世は運が無かった。其れだけの話だと思えば良い。未来に期待。来世来世。
死ぬのは怖くない、なんて嘘だけど。大嘘だけど。
神に成りたかった私が神に殺される等、皮肉な話ではないか。ならば僥倖。私の人生そのものがナンセンスだった!盛大なオチだ。
くすり、と笑う。多量出血の所為で頭に靄が掛かった様だ。思考が安定しない。
霊力が殆ど尽きている所為で中途半端な止血しか出来ない。まあ良いのだ。こうしてゆっくりと死を待つのもまた僥倖。ゆっくりと瞳を閉じようとした時、近くを霊力持ちが通った気配がする。一瞬だった所為で神か人間かは判らない。何方でも良いかと取り敢えず声を出す。
「おーい!其処に居るのー!助けては貰えないかー?」
鈴美 (プロフ) [2016年7月22日 19時] 1番目の返信 [違反報告・ブロック]ふらりと、どこかに行きたい気分だった。特にすることも無く命令もなくただただ空を見上げているのに飽いた昼。ぴょこんと縁側から飛び退き、下駄を突っ掛けてそっと家を抜け出した。
ぬかるんでいる訳では無いが水を吸った土はふにふにとしていて気持ち悪い。それでも足を動かしたくて、塀の外から出てしまった。
鳥籠の中にいるのは好きではない。
ずっとずっと地続きで、家のものに見つかれば隠れることなんてできない。だから結局ここも鳥籠の中。
あぁ今日もきっと何も無い。子供ながらにそれを知って落胆して、草の中にぴょこん。何かが跳ねた。見れば緑の草の中に草が跳ねている。否、草のような虫、バッタだ。
それを澄んだ黒い瞳に映して、それは更に輝く。
「バッタさん待って!!」
声という大きな響きが降り掛かったのだ。当然虫は逃げる。それを追う、追う。楽しいことを取りこぼさないように。
そうして走って、聞こえた。
「…………ん?」
なんだか地面から声が聞こえるのだ。虫など頭から離れ、きょろきょろと辺りを見回す。そして見つけた。
「う、わ、わ!!あ、危ない……」
背の高い草の向こう。一見わかりずらくて落ちそうになってしまったが、そこには自分の背丈程の小さな崖があった。そこに、人が、いた。
がさりと草を踏んだ音に気づいたのか、血にまみれたそれは助けを求めていた。
特になし (プロフ) [2016年7月22日 21時] 2番目の返信 [違反報告・ブロック]近付いて来るのが人間の子供だと気付き安堵する。まだ人生捨てた物じゃ無かった様で。
左足が根元から無いこの状況を見てトラウマに成らないかどうかが心配だが、心配した所で何も変わらないので諦めて声を掛けた。何を諦めるのかと言う話だが。
「あっはっはっは…お姉さんちょっとしくじっちゃってさぁー…幸いにも君霊力持ちっぽいしちょっと手貸してくれない?」
烏の濡れ羽色をした美しい髪を持つ歳の頃は10位の幼女に、凝固した血に塗れた手を差し伸ばす。麻酔の効果が切れて来たらしく、傷口がずきずきと痛み始めた。
あの狐は厄介だな、なんて考える。仕留められると思った瞬間形が変わり、2メートル弱の獣人に変わった。身体は狐で二足歩行すると言う見目だが、あれの力は凄まじかった。流石荒神と言うべきか。
特になし (プロフ) [2016年7月21日 1時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]「う、ぐ…」
身体中が酷く痛む。しかし痛みの理由は理解出来ない。あんな紙切れ貼られただけで戦闘不能に陥って仕舞う等、我ながら情けなさ過ぎて涙が出る。
矢張り神と言う物は人間に比べて圧倒的に強い。俺の様な最低辺で有ってもそれは覆らない事実で、霊力を使い果たし消えても構わないのなら今だって人間百かそこらは道連れに出来る自信が有る。その位に神とは圧倒的な存在だった筈だ。
しかし、神は成長して来なかった。
元々が圧倒的だった分、成長の必要性が無かった。だから今この瞬間、こうやって人間に反旗を翻されて困り果てて居るのだろう。
差が一万存在したとしても、成長しなければ何時か必ず追い付き抜かれる。それはどんな子供でも理解出来る話で。
其処まで考えた瞬間、前から足音が聞こえた。人間なら万事休す、神なら……そんな都合の良い事は無いだろう。
「……くそ」
足音の方角を睨み付ける。今の俺にはそれしか出来なかった。
圷. (プロフ) [2016年7月20日 2時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]目を閉じ、瞼の裏に浮かぶのは10数年前の情景。
人からすれば気が遠くなりそうなほど永い時を生きているが、この世はまだまだ不思議なことに溢れている。飽きもせずこの世をうろつき回るのは、その全てを解明しようと思っているからか。
「…なぜ君は此処にいるの?」
からん、と漆塗りの下駄が軽い音を立てた。目の前にいるのは、幼き人の子。
小さな身体をした少女は、ゆっくりと此方を見た。
「神様…?」
此処は神域。人が侵すことのできない領域。その筈なのに、何故この人の子は此処にいるのだろうか。
狩衣の裾を揺らしながら少女に近づく。彼女は逃げなかった。
「お帰り。此処は君の居て良い場所じゃない…」
(専用)
極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月19日 13時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]俺は、目の前に居る問題児を見つめた。
「稲荷大明神……またお前か」
傍若無人かつお調子者。……それでいて荒神なのだから、俺以外には手に負えない。
……一度痛い目に遭った方が良いと思ってしまうのは、こいつの性格のせいだろう。
極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月19日 23時] 6番目の返信 [違反報告・ブロック]稲荷は気付いていないのか、やはり。俺の顔がどの位歪んでいるのかを。面白い話? ……俺の話が面白ければ、それは稲荷の頭がどうかしている。
俺は幻覚を色濃くした。
──『止めろ……止めろ、止めてくれ……ッ!!!!』
赤黒く染まった手が、誰かの体を貫く。
──『こく、れい……』
群青色だったはずの誰かは、真っ赤に染まった手を“黒鈴”と呼んだ彼に伸ばす。
──『厭だ……いやだいやだイヤだイヤだイヤダイヤダイヤダ!!!!』
一際大きな声が辺りに響く。そして……無情にも……“誰か”は黒い光となって消え失せた。
「稲荷。お前は荒神だから覚えているだろう。あれは……誰だと思う?」
稲荷を睨んだ。あれは、俺の最悪の記憶。そして俺が存在を根底から消したのは、俺と稲荷の友である、『零夜(レイヤ)』。
……これで理解しなければ、俺はもう稲荷を軽蔑するだろうな。
りんさん (プロフ) [2016年7月19日 23時] 7番目の返信 [違反報告・ブロック]「あっはは、彼奴消えてたんだぁ…まあ弱っちいから当然か」
口調は軽い様に聞こえたが、その実稲荷は此処100年無い程驚いていた。
彼奴が死んでた?式神に為ったのだと思っていた。一体全体此れはどう言う事だ。
しかも…何故今の今まで彼奴の事を考えなかった?記憶がずるずると糸を引く様に出て来る。
「……やっぱつまんない話だったね。もう少し面白い話の仕方っての覚えたら?」
くぁ、と少しだけ態とらしい欠伸をする。神と言うのは生まれてから重ねた年数が多い程大抵の場合強くなる物だ。しかし零夜は弱かった。戦いを嫌う性格の事も有ったのだろうが、最期まで希望を捨てなかった。その結果がこれか。
どうしようも無い怒りを黒鈴にぶつける。自らの気持ちを振り払う為と、黒鈴の全力を見たいが為。
「あんな小さいの存在も忘れてた…ってかそんなの居たっけ?」
極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月19日 23時] 8番目の返信 [違反報告・ブロック]「……何だと」
心を読むのも忘れて、言った。自分のものでは無いような、地を這うような低い声が地を揺らす。
右眼に昏い痛みが走る。……いかん、我を忘れるな。再び堕ちる羽目になるぞ。
ぐっと唇を噛み締めて、稲荷の目を再び、睨んだ。……もしかしたら、邪神の頃と同じ殺気を放っていたかも知れない。俺の周りから瘴気の匂いがした。
「……邪魔をした」
俺は踵を返した。このままここに居るのは、稲荷のためにも、俺のためにも、何よりも自然界のためにならない。
何時我を失うか解らない。……あの子の下に帰ろう。迷惑を掛けないうちに。
りんさん (プロフ) [2016年7月20日 0時] 9番目の返信 [違反報告・ブロック]「はは、善い眼すんじゃん」
遠ざかる黒鈴の背中に向かって呟く。生憎瘴気には慣れているのだ。
兄弟で友人で親で子供だった狐が、何匹も何匹も堕ちて居るのだ。慣れない筈が無い。
目の前で咲き誇っていた染井吉野が、まるで毒を吸った様に枯れ果てて仕舞っていて小さく笑った。触れて霊気を込めるとあっと言う間に蘇る。木に尻尾が生えていると言うのは意外と可愛い物だ。
堕ちるなら僕が先かと思っていたのだけれど、どうやら違ったみたいで。
「でもね…6000年も生きてるとねぇ…正直何もかもどうでも良いよねぇ」
そんな事より今日の夕飯の方が大事だよ、と考える。先程の動揺は何処へやら。
この神に人間の考え方は通用しない。形は人間であっても、中身は恐ろしく狐なのだから。
極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月20日 0時] 10番目の返信 [違反報告・ブロック]狐で、大明神で、独りの稲荷。
寂しい、という感情が頭の片隅で聞こえたが、流した。俺では稲荷の穴を埋められん。
出来るとすれば……
「……俺は、いつの間にかあの子に依存していたようだな」
気付いて、自嘲した。稲荷のことまであの子に背負わせるつもりだったのか、俺は?
歩きながら、自分自身の霊力を撒き散らした。過ぎゆく場所から、狐が人間の姿に戻る。序でにと俺自身の力を埋め込んで、稲荷の力を跳ね返せるようにした。……まぁ一時しのぎだが、暫くは何もしなくなるだろう。
「また今度、来るか……」
稲荷の耳に届くよう、少し大きな声で呟いた。