八百万の心と神

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「う、ぐ…」
身体中が酷く痛む。しかし痛みの理由は理解出来ない。あんな紙切れ貼られただけで戦闘不能に陥って仕舞う等、我ながら情けなさ過ぎて涙が出る。
矢張り神と言う物は人間に比べて圧倒的に強い。俺の様な最低辺で有ってもそれは覆らない事実で、霊力を使い果たし消えても構わないのなら今だって人間百かそこらは道連れに出来る自信が有る。その位に神とは圧倒的な存在だった筈だ。
しかし、神は成長して来なかった。
元々が圧倒的だった分、成長の必要性が無かった。だから今この瞬間、こうやって人間に反旗を翻されて困り果てて居るのだろう。
差が一万存在したとしても、成長しなければ何時か必ず追い付き抜かれる。それはどんな子供でも理解出来る話で。
其処まで考えた瞬間、前から足音が聞こえた。人間なら万事休す、神なら……そんな都合の良い事は無いだろう。
「……くそ」
足音の方角を睨み付ける。今の俺にはそれしか出来なかった。

特になし (プロフ) [2016年7月21日 1時] [固定リンク] PCから [違反報告]

「ん……?」

白い塊が見えた。傷付いた血の匂いがした。優しい霊力を感じた。

あれは……神様?

「えーっと生きてます、よね?」

白い彼の傍にしゃがんで、腰バックの中から包帯と薬と、医療用の札を取り出した。

極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月21日 1時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

「……」
嗚呼、もう終わりだ。
人間が俺をどう扱うのかは知らないが、大方奴隷としてだろう。
先程俺を攻撃して来た神。あの神は霊力と行動を見る限り、人間に操られていた。信じられない、信じたくないがそうとしか考えられない。
あの神の様に成って仕舞うのか、と歯痒い。くそ、俺にもっと力が有れば。
人間を見ると先程貼られたのと同じ様な札を持っている。まだ身体に響く激痛。勘弁してくれ。
「……止め…てくれ…!頼む…」
上擦った声が出るが、そんな事を気にする余裕は皆無だった。

特になし (プロフ) [2016年7月21日 1時] 2番目の返信 PCから [違反報告]

「ッ……!!!?」

これは……

彼の悲痛な声を無視して、服をまくった。そこに在ったのは焼け爛れたような痕。こんな痕を残すのは……呪符か! 神様に、なんて惨いことをする!!!!

「失礼します……っ!」

強張った彼の背に霊力を少し込め、札を貼る。火傷のような痕を上書きするようなイメージで霊力を染み渡らせる。

「は……は……は……」

息が上がる。神様が深手を負っているせいか、霊力を多めに持って行かれる。

なりふり構わず最後まで霊力を注ぎきって、私は薄く傷の残った場所に薬を塗り込んだ。

極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月21日 1時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

「ひっ…!?」
人間の霊力が腕を伝って全身に回って行く。力を与えられている事での快楽と霊力の種類が根本的に違う事での拒否反応で身体が跳ねた。
幸い霊力の質が良かったので拒否反応は一瞬で収まり、気付けば爛れていた腕が綺麗に成って居て。
「……は?」
訳が解らない。一体全体何が起こって居る?人間達の目的は何だ?傷を消された後にどろどろした物を掛けられた腕を振って、痛みが無い事に驚いた。

特になし (プロフ) [2016年7月21日 2時] 4番目の返信 PCから [違反報告]

「あ、あんまり動かしちゃ駄目ですよ。薬がとれちゃうんで」

上がった息を整えながら、振っている腕を掴んで包帯を巻いていく。あぁ、怪我を治せて良かった。

「それよりも神様、追っ手はちゃんと撒いてきましたか?」

今式神様に来られたら大変なんだけど。幾ら私でも武器が無いし。

極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月21日 2時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

「一応撒いては居るが…」
何時気付かれるか解らない状況だ。鶴になって何処かに紛れて仕舞えば暫くは大丈夫だろうが、一度鶴に戻って仕舞うと人間に変化する時霊力を使ってしまう。今はなるべく温存したい次第なので、鶴になるのは最終手段だ。
「君…人間だよな?人間の霊力持った神とかじゃ無いよな…?」
まだ俺の勘違いの可能性が有るので一応聞く。そうだと言って欲しかった。

特になし (プロフ) [2016年7月21日 2時] 6番目の返信 PCから [違反報告]

「え? あ、はい。私はこれでも人間ですよ。あ、但し少数派です」

神様の言葉に一抹の不安を覚え、簡易的な結界で空間を包み込んだ。

不信感満載の目で見られ、ちょっと自嘲する。

「私は貴方方神様のことを敬う、少数派の人間なのです」

なので少し追加で説明する。まぁ信じて貰えなくても可笑しくないのだが。

極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月21日 2時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

矢張り人間だったか、と溜め息を吐く。
しかし信仰心が有ると嘘を吐く事での得は無い。油断を突こうと思っているのだとしたら自らの霊力で治療なぞ最悪手だからだ。
(これは…信じるに足るんじゃないか…?)
信仰心を持った人間が未だ居たとは思わなかったが、何にせよ助かった。
俺は探知系の霊力の使い方がとても下手だ。顔を付き合わせる程近付かなければ神か人間かも解らない。だから。
「…俺の事は捨て置いて貰って構わない。何時か必ず恩は返す…」
囁く様な声で言う。どれが最善策かなぞ解らないのだから、取り敢えず巻き込まない事を目標に。

特になし (プロフ) [2016年7月21日 3時] 8番目の返信 PCから [違反報告]

「あ、遠慮します。私暫くここに居るんで」

にこっと笑って、ばっさり切り捨てた。神様は大方、『巻き込まないように』とか思ったんだろうけど、少数派の私にとってそういう考え方は通用しない。

「神様の霊力が回復しきるまで、私の結界張るんで」

暫く、寝ていて下さい。

そう言って立ち上がって、神様の半径10mほどをぐるぐる歩く。かなり固い結界を発動するためだ。この結界は中に居る者からは周りの力が良く感じられるようになり、外に居る者は内側を見透かすことが出来なくなる。

霊力がそこまで必要なく、詠唱だけのありがたい結界だ。

「あ、あんまり騒ぐのはなしですよ」

極夜@写しの本 (プロフ) [2016年7月21日 7時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]

「君…、霊力が回復しきるまでって…それでも丸一日は掛かるぞ?」
この状況では俺が弱くて良かった。元々の受け皿が小さければ満杯に成るのにそう時間は掛からない。
位の高い神など、霊力が回復し切るのに数十年掛かる。神はピンキリなのだ。
人間は何故か俺の周りを歩き始める。結界を張っているのだろうが、生憎人間の使う術には疎い。説明されていなければ何をしているか解らなかっただろう。

特になし (プロフ) [2016年7月21日 10時] 10番目の返信 PCから [違反報告]
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