八百万の心と神
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圷. (プロフ) [2016年7月23日 12時] [固定リンク] [違反報告]表現力のつかない不思議な音を立て、目の前にいたはずの、名前も知らない誰かは消えて行った。白い煙がぶわりと広がり、一瞬目の前が見えなくなる。それは微かに花の匂いがした。同時に、ひらり、と札が舞い落ちてくる。
「あーあ…逃がしちゃった」
チッと小さく舌を打ち、焼け焦げた札を摘まむ様にして拾い上げた。焦げた臭いが鼻につき、ひどく気分が悪い。
顔をしかめて、狩り損ねた荒神が消えて行った方向を見た。日出ずる方向、東。もう追い付かないだろう。彼等は僕達とは違う空間を動くのだから。
夜明けが近い。空が徐々に白んで行く。一つ嘆息して、帰路に就こうと踵を返すと、背後に何者かの気配を感じた。
「誰ですか」
特になし (プロフ) [2016年7月23日 13時] 1番目の返信 [違反報告]美しい物が虐げられているより美しい事は無い、と傾城三日月は常日頃からそう思う。
この性癖の理由は三日月の親が虐待を働いていたとか、幼い頃育った児童養護施設が酷い環境だったとか、そう言った最もらしい事は一切無い。
美しい物を美しいと感じる心は、何かに脚色されずとも生まれたときからそう在るのだ、うん。
自分の布団に横たわるぼろぼろの式神を一瞥し、欠伸をしながら縁側から外へ出る。火照った身体を冷ますのには夜風が一番だ。
近くで神らしき霊力と人間らしき霊力がぶつかる波動を感じて、野次馬根性で足音と気配を忍ばせ現場に近付く。呪殺符は持っている為邪魔にはならないだろう。
しかし近付いた瞬間に荒神と思われる気配は消え、代わりと言わんばかりに目に痛いくらいの朝日が現れた。
やっと朝日に目が慣れると、霊力の発生源と思われる青年に声を掛けられる。逆光で見えなかった為ほんの少し驚き、一呼吸してから声を出す。
「おはよう、しがないお姉さんだよ。いやぁ、未来有る若者が殺されそうになったら助けてあげようかと思ってさ」
そのまま思いの外精悍な顔立ちをした青年の藍色の瞳に笑みを向けた。
「単騎で荒神と戦うと危ないぜぇ?ミスったら取り返し付かない事になる」
圷. (プロフ) [2016年7月25日 19時] 4番目の返信 [違反報告]「…僕の式神は反抗期なようで、捕まらないのです」
眉根を思いっ切り寄せ、嫌悪にまみれた顔をした。瞳を覗き込まれた事に対しては、彼女の目尻を見るようにして、目を逸らした。目を見られるのは、嫌いなのだ。必死に隠し続けた、奥に潜む自分が他人に露見してしまう様で。
嗚呼、この人といると、自分を保っていられない。
まあ、とこの雰囲気を壊すようにして、飄々とした笑みを貼り付けた。
「僕の仕事は、最前線の方のサポートですので。居ても居なくても、同じですがね」
治癒と武器の補充、残党、狩逃しの処理等、裏方の仕事が仕事で、好みである。前線に出るのはやめろと、遠い昔に友が言っていた。それが何時の事か、友が誰なのかすら覚えていないが、その約束だけはずっと、律儀に守っていた。