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メッセージ一覧

「うおっ、何かと思ったじゃねーか」
「……んだよ、その顔。別に拒んでるわけじゃねーよ」
「はいはい、ハッピーニューイヤーハッピーニューイヤー」
「……おい、お前もしかしなくても俺に金せびってんのか? 図太い奴だなあ……」
「ちょっと待て、まず部屋入れ。ここじゃ寒いだろ」
「数の子と伊達巻くらいしかねーけど食ってろ。……酒のつまみだよ。なんか悪いか」
「まあ少し待ってな。一旦俺は出てくるから」
「ん? いや、すぐ戻る。急ぎの用事って訳でもねーさ」
「ぽち袋がないんだよ。三日から配る予定だったからな」
「お前が俺のお年玉一号ってワケ。良いな?」
「……ははっ、なんだその顔。俺が教え子に甘いの、知らないわけじゃねーだろ?」
「ほら、今年も一年、よろしく頼むぜ」

666 (プロフ) [2020年1月1日 0時] 136番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

「んぐっ?!」
「げほ、げほっ……な、なんだ……驚いた……。餅で窒息しそうになったな……」
「……ああ、ハッピーニューイヤー。また、年が明けたな」
「……何故、俺のことをじっと見ているんだ……? 年代は殆ど同じだろう……?」
「済まないが、手持ちはない。……待て待て待て、そんな顔をしないでくれ」
「……仕方ない、少し待って欲しい」
「──ほら、黒糖飴。俺の食べかけの袋で悪いが、今はこれしかない。……明日までには用意をしておくから、これで取り敢えず我慢してくれ」
「……何故赤くなる」
「俺まで恥ずかしくなる……」
「………………そうだ」
「今年こそ、あのクッキーを一緒に作ろう」
「……あのジンジャークッキーだ。去年は時間が取れなかった」
「忘れていた筈がないだろう? ……俺は、いつも感謝している」
「……赤くならないでくれ……」
「…………赤く、ならないでくれ…………」

666 (プロフ) [2020年1月1日 0時] 137番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

「……む」
「見ない顔、だな」
「ようこそ」
「……しかし、新年早々……こんなバーに、来るとは……感心、しないぞ」
「副流煙で、肺癌になっても、責任は、取れない」
「……それで、ご注文は?」
「ふむ……今日の、お勧めは……インペリアル・フィズ、だな」
「おや、カクテル言葉に、興味が?」
「はは、良い趣味だ。インペリアル・フィズの、カクテル言葉は……『楽しい会話』、だ」
「初対面だが、まあ……仲良くしよう。……私も、新年早々一人飲みは、寂しい」
「──煙草に、興味が?」
「お勧めは、しない。何より、私は、タールの濃いものを、吸っている」
「しかし、まあ……何事も経験、だな」
「一本だけ、やる。……御歳魂の代わり、にしては……不健康すぎるな」
「……くく、不味いだろう」
「懲りたら、もう、吸うなよ」

666 (プロフ) [2020年1月1日 0時] 138番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

「あ、ちょうど良かった!」
「おはよう、これから初詣かな? じゃあ、手短に」
「新年明けまして、おめでとうございます」
「あと、はい。お年玉は渡せないけど、こういうのは得意だからね」
「……うん? うん、手作りだよ? 口に合うかは分からないけど、我ながらよく出来たー、って思うかなあ」
「あ、もしかしてレシピ欲しい? じゃあ後でコピーしておくね」
「んー、でも、慣れてないと難しいお菓子だからな……。作り方、今度、教えようか?」
「……ふふっ、冗談だよ」
「有平糖って、最近じゃあんまりメジャーじゃなかったりするかな? ……いや、喜んでくれたなら良いんだ」
「じゃあ、ご両親にもよろしくね。今年も一年、よろしくお願いします」
「ん? 僕? これから?」
「ごめんねぇ、コンビニのシフトが入ってるんだ。初詣は一緒に行けない、かな」
「あ、お兄さんたち? おはようございます」
「……ふふっ、家族団欒の邪魔は出来ないね」
「それじゃあ、僕はこれで。おみくじ、大吉が出ると良いね」

666 (プロフ) [2020年1月1日 0時] 139番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

Happy New Year!

666 (プロフ) [2020年1月1日 0時] 140番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
なんか怖いっすぞ(o´・ω・)ノ
えへへ(´・ω・`)
よきよきです()

666 (プロフ) [2019年9月18日 20時] 297番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
え?(´・ω・`)
一息大事たからね!ヽ(´ー` )ヨシヨシ
よきき()

塵芥 (プロフ) [2019年9月18日 20時] 298番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
んへへ程度か丁度良いです(o´・ω・)ノ
ですな!(´・ω・`)
ふふふ()

666 (プロフ) [2019年9月18日 21時] 299番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
へへへ?(´・ω・`)
少なくとも2、3週間に一回ぐらいには息抜きしなよ、偉そうには言えないけどさヽ(´ー` )ヨシヨシ
愛してくれるならまずって感じだから()

塵芥 (プロフ) [2019年9月18日 21時] 300番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
そうそう(o´・ω・)ノ
ですかぁ(´・ω・`)
さっすがぁ()

666 (プロフ) [2019年9月18日 21時] 301番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

やっぱフィーリングは大切ですよ……

666 (プロフ) [2019年9月7日 13時] 43番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

んんんんんそんなご無体な!!!!

666 (プロフ) [2019年9月7日 14時] 44番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

失礼と言うよりもこちらが失礼をすることになるのでできませぬ(´・ω・`)

666 (プロフ) [2019年9月7日 15時] 45番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

うちよその大問題である互いの不理解です!
僕としては数ヶ月くらい付き合い互いにキャラや世界観への理解を深めた辺りになればそういうのも否はないのですが……

666 (プロフ) [2019年9月7日 15時] 46番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

はい、お疲れ様でした(=゜ω゜)ノ

666 (プロフ) [2019年9月7日 15時] 47番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

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666 (プロフ) [2019年4月23日 22時] [固定リンク] スマホ [違反報告・ブロック]

僕ちっちゃい子が好きなの♡♡♡♡ 特に僕を頼り切ってる感じのお馬鹿な子は愛しいぞい♡♡♡♡
文字に掛けるぶるぶるとかの効果はな……実力って感じしないから僕はちょっとばかし好きじゃないですぞ(´・ω・`)
わぁいありがとうございます♡
螢は佐原螢、死者殺し専用に作った子の一人ですぞ♡ キャラシ見る?♡
僕は可愛い子ほど泣かせたい性癖持ちなので……( ˘ω˘ )
あ~~~~いい!!!!

666 (プロフ) [2019年9月18日 12時] 297番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

ヒエッ(><)
ん~~、そうかなぁ。飴は面白かったらなんでもちゅきだから……まぁ、考え方の違いよな……( ˘ω˘ )
んふふ♥️いいのよ♥️♥️( ˘ω˘ )
みりゅ!!!みしぇて♥️♥️♥️
¥¥分かるマーンっ!//(久々)
多分、中途半端に壊れて「私は悪くない」「私は悪くない」
「だって、やめてなんて言っても聞いてくれなかった」
「痛いって、苦しいなんて言っても笑ってたの」
「悪いのは、襲い掛かる人達だから。」って最早すら『冬眠』出来ないくらい人がいると安心出来なくなると思うよ♥️飴はわかる( ˘ω˘ )
目覚めた(帰還)後、元の性格が鳴りを潜めそうね( ˘ω˘ )
あと、クロイハナ聞きました???まだでも大丈夫なんですけどね♥️♥️♥️

飴ん子 (プロフ) [2019年9月18日 16時] 298番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

こんなこと言うからサイコパス染みてるとか言われるのかな……( ˘ω˘ )
面白みを引き立てるスパイスだと思ってるから乱用はメッ、なタイプなの♡
じゃあ持ってくりゅにぇ♡♡♡♡
可愛い子は泣かせて泣かせてボロボロにしたいな……( ˘ω˘ )
ヒエッ
これどうやって帰ってくるんだろ……気になるな……殺されそうもないし本を渡すとか渡されるとかなさそうだし……あっ、フェニールがやって来て本を渡して殺されるとか???(ただの地獄)
クロイハナ、ゲーム見てないからよく分かんないけどじんわりきましたぞ……( ˘ω˘ )

666 (プロフ) [2019年9月18日 16時] 299番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

名前:佐原螢(サハラケイ)
年齢:32
性別:男
性格:親しみやすいキャラだが、話題選択によっては飄々として掴み所がないようにも思える。本心を語らないわけではないし、誠実でないわけでもないが、どうにも触れさせたくないところがあるらしくその周辺に関しては追及から身を躱すだけの技術を持ち合わせている。核心に触れさせようとしないところだけ無視すれば、技術も本物であるし頼れる人物である。
一人称は「ケイさん」、「刑事さん」もしくは「俺」。前半二つを普段は使い回し、自分のことを「俺」とは滅多に呼ばない。呼ぶ場合は相当追い詰められているか何か考えがあってのこと。そこをつつくのは危険である。
時折頭痛や耳鳴りに悩まされているような様子があり、周りをひどく邪険に扱うことや人の目のないところへ姿を眩ませることがある。時間を空ければ元に戻るため、大抵は後から本人が謝ってくる。根が悪い人間でないのは確実。
とはいえ目的のためなら多少の過ちも構わないタチらしく、嘘を吐くときは顔色一つ変えずしゃあしゃあと口にする。性悪説の立場で人間を見ており、他者を信用しても信頼することがあまりない気配がある。本人に質しても質問者の意見を聞く方向に方向転換させてくるので本心を探るのは難しい。
容姿:藍色でショートカットの髪に黄色の瞳。瞳は色素が薄いためか、光の加減によっては血の色が瞳孔に写り込み赤色に見えることがある。
肩幅が広い。着痩せするタイプだが腕も脚もそれなりに安定感がある筋肉の付き方をしている。柔道を修めていたということもあり、しなやかな身のこなしである。
服装:黒のズボンに白の長袖シャツ。基本袖を下ろしているが、作業時には捲り上げる。腰に黒のジャンパーを結んでいる。靴は革靴。胸ポケットにブルーライトカット用の眼鏡を入れていることもある。
拳銃を腰のホルダーに入れており、シャツの裾を下ろしジャンパーを結ぶことでそれを隠すと同時に自分でも簡単には扱えないようにしている。
武器:拳銃、体術 他
職業:警察官(警部補)。ノンキャリア組であり、地道に階級を上げた。
関係:「──刑事さんはねー、人を撃ち殺したことが、……あるんだよねぇ」
その他:拳銃を発砲するつもりで持っている場合、一人称が「俺」に統一される。性格的に他者を害すことへの忌避感が無ではないにしろ薄いため、情報を吐かせるために拳銃を脅しに使うこともある。ただ、拳銃を手にした後は決まって耳鳴りに悩まされているような様子が見られる。
……耳鳴り、と彼は言うが実際のところ螢が悩まされているのは、幻聴。統合失調症の初期症状が出ており、それを自覚しているからこそ一人称をふざけたものにして己の精神を追い詰めないようにしている。耳元で、背後で、脳に流し込まれるようにして幻聴が聞こえている。銃を持った時、過去に追及されたとき、必ず螢の脳裏には「何か」が過っている。
その「何か」を、螢は出来る限り認識しないようにしている。そのためか人の死というものにも淡白な反応をわざと示してくる。
人一倍自分のことを信用していない。
趣味は読書、昼寝、音楽鑑賞、ネットサーフィン。好物は金平糖。珈琲が少し苦手な甘党。どちらかというと紅茶の方が好き。嫌いなものは拳銃。しかしながら手元に拳銃がないのも落ち着かないという矛盾の塊。
台詞:「はいはーい、まずは落ち着いて自己紹介でもしましょーね。まずはケイさんからー。佐原螢、32才の刑事さんだよー。……ま、巡査じゃあないんだけどね」「ええ? 刑事さんはノンキャリアの警部補だよー? 検死だってまあ、出来るって」「さて……困ったね。俺は出来ることなら“仲間”を減らしたくはない。けどお前がもしも、万が一にも違うなら……。言いたいこと、分かるよな?」
一言:『刑事さんに任せなさい、ってねー。こういうのはプロの領分だよ』

666 (プロフ) [2019年9月18日 16時] 300番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

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vagueown/8795687

666 (プロフ) [2019年9月18日 16時] 301番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
うっす(o´・ω・)ノ
多分平気ですよwww( ˘ω˘ )
です? あ、LINEのタイムラインにイメージに出来そうなアイコンだけ流しといたんで見てみてくだせぇや

666 (プロフ) [2019年9月8日 16時] 297番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
がんばってや(´・ω・`)
だといいんだけどwwwヽ(´ー` )
おけー!見てくる!

塵芥 (プロフ) [2019年9月8日 17時] 298番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
あい(o´・ω・)ノ
まあ死にゃあしませんwww( ˘ω˘ )
いてらです!

666 (プロフ) [2019年9月8日 17時] 299番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
聞いて、今日編さんと通話した!(´・ω・`)
俺のとこはそういうのないから心配よwwヽ(´ー` )
見てきた!かいくんえっちすぎん?蓮くんもかっこよくて死んだわ
手紙どうだった?

塵芥 (プロフ) [2019年9月8日 17時] 300番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(´・ω・`)
お、よかよかですな!(o´・ω・)ノ
なるほどwww( ˘ω˘ )
かいちゃんかわよかわよでしょ……あざます!
いっぱいの絵に幸せになりました(*・ω・*)

666 (プロフ) [2019年9月8日 18時] 301番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

──長年の習慣が、修に寝坊を許さなかった。
アラームが鳴り響いたのはいつもよりも遅い時刻、午前八時。しかし鳴り響いた瞬間目が覚めて、しまった遅刻だ、と思ってしまったのだからかなり重症。
なんとか数時間前のことを思い出し、眠気の残る頭で起き出した修は、ただ拭い去れなかった疲労感に溜め息を吐いた。深く眠ったお陰で思考はクリアになっているが、未だに疲れが残っているような気配がある。……まあ、エナジードリンク類も使わない生活を心掛けているせいかもしれない。
修は疲労感には敏感な方だった。
「はーあ……」
ばきばきと体を慣らしながらシャワーを浴び、修は体の調子を整えていく。今日の出社は九時、退社は定時で、もし斗真が出社していたら彼も引っ張っていくこと。朝食は軽めに、昼食は少し重めに。夕飯は……自分への労いにどこかで飲むか、とまで予定を立てた。
溜息を飲み込み、濡れた頭をそのままにして台所に立つ。肩に掛けたタオルが重い。
「……そういえばあれは、どういう意味だったんだ?」
ふと呟いた言葉が自分の中でも引っ掛かった。そうだ、あの時自分は流してしまったが、斗真の零した“慣れている”というのは……。
一体どういう意味だったんだろう。気になる。
どうせなら帰るときに軽く尋問してみるか、と結論付けて修は腹にパンを収めた。野菜を口に放り込み、身だしなみを整えると出社する。

666 (プロフ) [2019年8月28日 22時] 26番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

斗真が出社していることに気付き、同僚後輩先輩方に挨拶し終わると修は半目で斗真を見た。自分より先に退社したとは言え、どんなにあがいても睡眠時間は三時間程度しか取れていないはずである。
時計が九時半を指したのを見て声を掛けるのは諦めたけれど、その代わりに溜め息だけ吐いて自分のデスクに座った。ジャケットを椅子の背に掛けると白衣を出し、腕を通す。
「……おい篠原、草案は出来たから誤字脱字の確認をしろ。文法がおかしかったら言え。崎本、お前は新聞買ってきているな? ……よし、ないことを書かれてないか確認しろ。井原さん! 書類は終わったんですか!」
仕事を始めれば修の声は良く通る。いつもは大きな声を出すようなこともないのだが、今回ばかりは後処理もあってそんなことも言っていられない。28という未だ若手に分類しても良いような年齢でありながら、修はその責任感の強さ、義理堅さからその歳にしては割と責任の重い地位につけられている。
修がそれを許容しているのだから文句など出ようもないはずなのだが、それでも忙しく動いているように見える。目の下のくまも消えていないのだから、余計に。
「謝罪会見は今日の昼だな? 分かった、それまでに原稿を仕上げておく」

666 (プロフ) [2019年8月29日 7時] 27番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

無心にパソコンと向かい合い、提出された書類の確認や自分に与えられたタスクの提出などをこなしていけばすぐにでも時間は過ぎていく。そもそも出社時間も遅かった。
舌打ちを一つ零すが早いかコーヒーの缶を開け、修は一気にそれを飲み干す。未だ眠気が抜けきっていないような感覚。三時間睡眠は仮眠にしかならないな、と頭の中で悪態をつきながらのことだ。
「修、あと一時間だぞ!」
「分かっている、もうすぐ仕上げだ……!」
急かすような声に忌々しそうに返し、一層キーボードを叩き付けて修はパソコンと睨み合った。やはり研究不正など二度と起こしてなるものか、と呟く姿は鬼気迫る。
時間は既に十一時半。昼食は二時を過ぎるな、という予想が修の中で立つが、まあ仕方がなかろう。

666 (プロフ) [2019年8月29日 22時] 28番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

「……上がった! これで完成だ!」
「こっちも終わりだ! あと十分で資料も刷り終わる!」
「おい会場の準備はできてるのか?!」
「報道陣が既に押し掛けてるよ!」
「スタンバイしてください! もうすぐ時間です!」
謝罪会見用の資料、原稿が出来たという声とともにちらほらと動き出す者が何人か。修もその中の一人として立ち上がった。
修はまだ三十路にはいかない。そのため謝罪会見で顔を出すことはないが……それでも、会場の後ろの方でちょくちょくと作業はする。言ってしまえばやる必要がないはずのものだが、まあ会社というものに勤めている異常は仕方がない。
「修、行けるか」
「俺はいつでも行けますよ」
最終確認を終え、慌ただしく固まって出て行く。

666 (プロフ) [2019年8月30日 6時] 29番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

有象無象がこれまた好き勝手言いやがって、と内心歯嚙みしながら修は謝罪会見の裏で作業を進めていた。説明資料を報道陣に配っていき、漏れ聞こえる私語に思わず歯軋りする。
好きで研究不正など起こすわけがない。社員の一人がしてしまったこととはいえ、それが会社全体の仕組みの堕落を示すものではない。怠慢など一部にしかなかった。少なくとも、修の知る範囲にはそんなものなかった。許さなかった。
が、深く考えるわけにも行かない。修は一社員だ。今は、この仕事に集中しなくてはいけない。
「どうぞ、隣へ回してください」
お手元の資料をどうぞ、と会見を開いた重役の言葉に間に合わせて配布しきり、修は僅かに息を吐いた。少し辛いものがある。

666 (プロフ) [2019年8月30日 22時] 30番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

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666 (プロフ) [2019年2月26日 17時] [固定リンク] スマホ [違反報告・ブロック]

奮発して買った最新式の炊飯器はふっくらしっとりした白米を見事に炊き上げた。どうせ炊くなら何日分か溜めておこう、と量を作ったせいだろう。つやつやとした白米の山は湯気が立っていると言うことだけではないような幸福感を海知に齎していた。
自分が食べる分を椀によそい、残りをタッパーに詰めると同時並行で作っていた味噌汁を椀に入れて、机の上に簡素ながら幸せたっぷりの食卓を作っていた。
一人の椅子を引き、腰を下ろし、箸を置くと手を合わせる。
「いただきます」
からん、と鳴った食器の音が耳に快い。
お裾分けしてもらった肉じゃがをぱくりと一口口にして、じわりと染みた味に顔を綻ばせる。甘すぎず、少し濃い味。ご飯と一緒に食べるのが多分、一番美味しい。
味噌汁を喉に流し込み、混ぜた味噌の味ににこにこと笑う。幸せな食卓だ。こういう食事が、一番心を温めてくれる。
「ごちそうさまでした」
さて、残った肉じゃがは明日の朝食にして、鍋を返すのは夕方で良いだろう。そしてお返しに作るのは何にするか……。
そんなことを考えながら、海知一人の夜は更けていく。

666 (プロフ) [2019年8月18日 7時] 7番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

茜色、それも丁寧に、時間を掛けて塗り重ねたキャンパスに淡い紺紫色を溢すような、そんな一幕。
思わず階段を昇る足を止めて、わぁ。なんて感嘆を独りでに吐く。
電柱も戸建ての家もちょっと高めなビルも、蝉がしがみついている木さえもシルエットだけを残して、一幕の舞台装置に成って……いつもとは別の側面さえ覗かせる。
パンザマストがキャンパスに溶けるように響くさまは何処と無く、切なくて……こういうのをノスタルジック、なんて言うんだっけ。
この絵画を撮りたいと、コンビニ袋を下げてない片手でスマホを取り出す。けど、なんでか、感動が薄れる気がして。何事もなかったように元にあった右ポッケにするりと、滑らせるように手放して、一段一段を踏みしめるように昇る。
_人生は別れ道ではなく、階段。
そう、顧問の先生。今日の部活の集まり__といっても先輩と(先輩が連れてきた)幽霊部員の蛸瀬くんとお喋りしたり、おやつを食べたりして過ごしたのは蛇足だけど__
赤羽先生が持論として唱えていた事が頭に過った。
曰く、『調子が良ければ二段飛ばし。悪ければ手摺に捕まって確実に一歩。疲れたら、踊り場で休憩やら鏡を通して己自身を見る。』
『共に寄り添って登ったり、道を違えてすれ違ったり、見下したり、見上げたり。』
『自分の意思でここが目的地と定めて一段ずつ踏み出す、それは間違いなく人の生。』だと。
私は難しくて、よく分からないけど……将来なんて深く考えてない。こんな風に精々下を向いて転ばないようにするので、精一杯だから。ただでさえ、一段ごとに歩むのに息が続かなくて苦しい。かといって成りたいものもない。
夢を捜すという建前で、私の気紛れで、誰かが悲しい思いをするなら、嫌だ。
__『なんで、お遊び半分のアンタが選ばれるの!? アタシは、これが最後だったのにっ……!』
爪先が痛い、土踏まずも、爪も、足の甲も、そして何より、軋む心臓が。そんな既視感に苛まれる。中途半端に温い風も置き去りにして。
あの時の罵声が今でも鼓膜にこびりついて、忘れられない。
振り払うように、速度を上げれば階段の終わり。帰るべき我が家の入り口が見えて、小走りで駆け寄ると、もう罵声は聞こえない。
安堵の息を吐きながら、607号室の鍵を取り出せば、すぐ近くでカチャンと軽い解錠の音。
もしかして、と横を向けば、深緑の扉が開いて黒のスリッパに少し日に焼けた足が見えた。
見慣れた鍋を抱えながら、ラフな部屋着さえもさまになる、微笑を湛えるお隣さんの姿があった。

飴ん子 (プロフ) [2019年8月19日 13時] 8番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

耳に、人が上る足音が届いていた。窓から夕焼けを見遣る。よく晴れている。心に風が通るような心地。
どうしてだろう、と泣いたことがあって、理解できない理不尽に首を振ったことがあった。認められない。認められない。こんなもの、認められない。
「……明日は、大丈夫さ」
首を振って、幻聴を掻き消した。明日は晴れると聞いている。明日は曇らないと聞いている。なら、大丈夫だ。海知が嫌なのは、ただ雨を堪えてのし掛かるような曇天だけだから。
踏みしめるように上ってくる足音に何故か意識を向けながら、海知は洗い終えた鍋を腕に抱えた。靴に履き替えようかと考え、いや裸足でもスリッパでも良いか、と考えた。
取り敢えず、鍵を開ける。
「……あれ」
弾んだ息と、少し悲壮を感じさせる気配。鼻につく荒い息の香り。湿る息の中に、ほんの少しだけ、苦しそうなものを感じ取った。
「こんにちは」
けれど、そこに海知が触れる必要はない。微笑を浮かべて、スリッパをサンダルに替えるととんとん、とつま先で地面を蹴り、挨拶をした。
階段は膝に負担が掛かるからトレーニングには向かないよ、と見当違いのアドバイスをしておいて、夕焼けのせいでぬるくなった風から彼女を庇ってやった。立ち位置を風上にする。
ああ、服装はおかしくないだろうか。そんなことをふと考えて、笑ってしまう。いつも着装は整えているのだから、今それを気にする必要はない。必要なのは多分、本題だ。彼女に余計なことを考える暇を与えてしまうのは、可哀想で。
「世間話、しよっか」
昨日の肉じゃが美味しかったよ、ごちそうさま。鍋を見せ、もう一度柔らかく微笑む。
さて、少しは意識が逸れてくれると良いのだけれど。

666 (プロフ) [2019年8月19日 15時] 9番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

「それなら、良かったです。」と鍋を受け取れば、優しい雰囲気と裏腹に結構筋肉が付いていて、吃驚した。
「いま、家にじゃがいもの三箱があるので……あと二箱あるんです。だから、また近い内に」
消費するのが大変で、でも発芽すると勿体無いですし。そういうと少しだけ不思議そうにするから、付け足す。
「うちの兄二人が……いま、北海道の農業高校に入っているもので、時々送ってくるんですよ。『じゃがいもなら腐る程あるから』って。」
腕に鍋を抱えて、ほら、と右ポッケに仕舞い込んでいたスマホを起動させる、LINEのトークを開く。【春と秋】と三人分のアイコンと【こはる】【秋斗(弟)】【あきらくん@受験頑張るゾ】
アルバムをタップして、流れるようにスワイプすれば、つなぎを着込んだ、鏡合わせの双子。
牛の毛並みを整えてる秋斗にぃ。脱走した豚を確保しようとして盛大に転けた秋羅にぃ。
自分達の手で収穫した野菜を段ボール詰めにしている二人。
機嫌の悪い馬に蹴られそうになって、目を真ん丸にして回避した秋斗にぃとそれに爆笑していたけど牛の尻尾が顔に当たった秋羅にぃ。
じゃがいもを両手に抱えて変顔をかましている写真は、不意打ち過ぎて焦ったけど、海知お兄さんは噴き出すことなく見てる、けど一瞬、肩が震えた、ように見えた。
……いつの間にか、普通に笑えるようになって気持ちが楽になった気がする。
「まだまだ、じゃがいもは沢山あるので、お裾分けは気にしないで受け取って下さい。」
寧ろ、こちらが助かるので。
そう言うと、そっか。とポツリ。
「はい、じゃがいもばかりで申し訳ないですけど、ちょっと工夫したりしますのでっ!
あっ、海知お兄さんはチーズ、食べれますか?今度はじゃがいもとベーコンのチーズ焼きにしようと思ってて……。」
ニコニコと微笑ましいと言わんばかりの表情で、昼より多少温くなった分悪戯な風が黒蜜みたいな髪を直すように撫で付けて。
__さっきは気付かなかったけど、風から守ってくれてるんだ。
そう思うとじんわりと暖かい感情が胸を占めて、笑顔になる。少しずつ深くなる夕闇に反して、拭い取ったように気持ちは明るかった。

飴ん子 (プロフ) [2019年8月20日 11時] 10番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

じゃがいもが三箱、という言葉に思わず首を傾げてしまい、追加で差し出された言葉にへぇ、と頷いた。兄弟の存在。羨ましいな、と思うし、良いね、と優しい気持ちにもなる。海知は生まれてこの方両親以外に血の繋がった誰かを知らないし、兄弟なんてものを考えてみたこともない。兄がいたとして、姉があったとして、下の弟妹が存在していたとして。
……きっと寂しくはないけれど、互いに迷惑を掛けてしまうだろう。だから、話を聞いても欲しいとは思わなかった。
見せられた携帯の画面をふむふむ、と軽い相槌を打ちながら眺めて、途中で流れてきたおかしな写真たちに思わず肩を震わせる。吹き出さなくて良かった。
「そっか。……そっか」
まだまだ沢山じゃがいもがある、という言葉に小さく頷いて、それから薄く微笑んだ。じゃがいもの料理と言えば何があるだろう。やはり肉じゃがは鉄板。
話を聞くところベーコンとチーズと一緒に焼くという。美味しそうだ。というか、美味しいに違いない。実際大売り出しされていたじゃがいもを衝動的に買い込んだとき、そう言う食べ方をしたことがある。
大丈夫、僕はあれ好きだよ、とところどころで言葉を挟んで、それからにこにことした笑みで彼女のことを見詰めた。自分より幾分か小さな少女は、やはり、人間らしい。可愛らしい。
「……ああ、そうだ。世間話ついでに」
好きなお菓子を聞いても良いかな、と話の切れ目で海知は口を開いた。それから薄く薄く目を開けて、小春の柔らかくなった表情を見遣る。
「いくらあるからって、もらってばかりだと気後れしちゃうからね。出来れば、好物のお菓子を作ってお返しさせて欲しいかなぁ」
なければじゃがいもだけ分けてもらって、それでちょっとしたケーキを作っても良いけれど、と金色の目で明るくなった彼女の表情を伺った。そろそろ話にオチを付けないと、時間が遅くなってしまう。

666 (プロフ) [2019年8月20日 13時] 11番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

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666 (プロフ) [2019年2月26日 17時] [固定リンク] スマホ [違反報告・ブロック]

じいちゃんみたいだ、と言われて嬉しくはないが、ただの憎まれ口だと判断して悠夢は彼女の言葉を流しておく。
日影で汗が流れ落ちるに任せておき、レトロな自販機で何かを買おうと画策する彼女のことを眺めた。ぱっと見た感じ、お茶と水とスポーツドリンクは売り切れのようだ。この暑さでは当然でもある。では何を買うか。
見ていれば、彼女は苦く笑ったあと紫色の缶を選んでいた。確かあれは、ブドウジュース。
「どれがオススメ?」
最近では少なくなってきたルーレット仕様の自販機の当たりを引いたらしい。悠夢に意見を求めてきた。何がいいのだろう、この暑さではあまり甘さを感じない方がいいのではなかろうか。そんなことをぱっと考えて、「……サイダー」と選んだものを口にした。
がこん、がこん、と重い音が落ちてくる。サイダーの炭酸が抜けたらどうするつもりなのだろうと思いつつも、その缶の爽やかな色合いに少しだけ清涼感を感じ取った。
と、手の平に置かれ、疑問に瞬くと受け取れ、と言われる。……奢りではない分、断りにくい。いや、断らない方がいいのか。
ありがとう、があまりに小さすぎた。
聞こえなかったのか返事をもらえず、そんな自分に内心で眉を寄せつつカシュリとプルタブを起こした。むわ、とした熱気の中にサイダーの炭酸臭と砂糖の甘さが混ざってきて、ああ、やはり夏だな、と。
元いた壁に背中を預け、缶を浅く傾けると悠夢は彼女の方を見た。遠くを見る、何かに焦がれるような目。
「……何に悩んでいるんだ」
恋煩いか何かかと考え、「好いてる奴でも居るのか」と尋ねた。穿ちすぎたかと一瞬危惧したが、彼女の反応にそうではないなと判断する。
飲んでいたブドウジュースの缶を握る手に力が入り、怒ることでもなかろうにはぁ!? という怒声をもらってしまった。言い当ててしまったか、と内心で頷いて、現実では肩を竦めておく。表情には何も出ていないはず。
「暑いな」
彼女の顔の赤さを見なかったことにしてやり、そんな言葉を代わりに投げてやる。相談なら乗るけれど、言って欲しくなければ黙るけれど、と小さく付け加えていき、それから悠夢は溜め息にも似た呼気を吐き出した。
「まぁ、所詮。俺たちは、学生だ。……惚れた腫れたの話も、悪くはない」
決めるのはお前でしかない、なんて、そんなこと分かりきっているだろうから言わないけど。

666 (プロフ) [2019年8月7日 13時] 5番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

何を言い出すと思った。対して関わりのない異性に(異性だぞ、異性!)恋愛相談すれば?なんて。
読めない、何一つ読めない。サイダーをチビチビと飲んでる姿から何ひとつ。善意か、あるいは興味か。或いは打算も含めて?リークでもするつもりか、恩を着せて女子を紹介させようとしているのか。と過ったが、いつも派手目の汚ギャルやDQNを筆頭にマウント系陽キャの踏み台役として合コンとかにも呼ばれていたりするし、必要ないのかも。
……よく考えてみたら、逆に関わりをもってない人間だからこそ、気を使わなくてもいいのかもしれない。とさえ思い始めた。
これがあの三人の友人(仮)なら、食ってかかって「誰?」「どんな人?イケメン?」などとピーチクパーチク、蝉と同じように喧しく、好き勝手に囃し立てて、求めてもないエグい(えげつない、或いは下世話なものだ)アドバイスを語ったと思ったら、愚痴大会(多分、■■■による転校していった高木との遠距離恋愛ネタetc)に入るだろう、目に見えてる。
それと、この年頃の女子の友情(笑)なんざイケメン絡みだと崩壊、または軋轢しか生まないから駄目だ。今更人間嫌いから人間不信に進化したくない。
かといって、家族といった身内に打ち明けたくもない。寧ろ願い下げだわ。
そう思ったが最後、えい、ままよ!どうにでもなれ!と一気にブドウジュースを飲み干し、嚥下した後、酸素が足りなくて息を吐いてから、ぽつぽつと話す。置いた缶が思うより強く、かん高い音を立てた。
「……つい最近、学校の補習の帰り道、ここの駅で見かけない男の人が居たんだ。」
そうだ、じめじめとした熱気の、蜃気楼。この踏切で彼を見てから、この火種が生まれた。
思わず、1つに結い上げた髪に触れる。
「目を奪われるくらい綺麗で……格好いいじゃなくて、綺麗だったんだ。」
そう、金糸の猫っ毛に黒のスラックスに映える透明度のある白魚の肌、紺碧の眼と形容すればひどく陳腐で在り来たりな物に為ってしまいそうだ、表現出来そうにない。
けどその輝きは、一幕は瞼に焼き付いてる。
「き、気持ち悪いかもしれないけど、本当に綺麗だって思ったんだ。」
汽笛の音が、風鈴の音が、缶の転がった音が嫌に耳から離れない。
「それから、あの人の事が忘れられなくて。ずっと、覚えてるんだ。」
意味もなく、温くなり始めた缶のプルタブを人差し指で弄る。
「だけど……だけど、恋だとは思えないんだ。だって証明が出来ないし、一回見ただけで惹かれて、好きになるって理由としては軽すぎるって思ったんだ。」
それに私は釣り合わない。見た目が凡平凡で目付きの悪さに定評がある三白眼。
取り分けお洒落でもスタイルが良いわけでも、性格がいいとも言えないし、何より私の深層は歪んで、ひねくれてる。可愛げがない。
自分でもこう思うんだから、他人から見ればもっとそう見えるんだろう。
「だから、きっと、これは恋とかじゃない。」
そう言えば最後、恋愛相談じゃないと思ってしまって嗤った。
恋ってなんなのかね?と声に出して、自嘲するしかなかった。
瞬間、ぶちりと何か切れる音に、風を遮断するような肩回りの妙で慣れた重さ。はらりと耳にかかる擽ったさ。
__ゴムが切れるとか最悪。
千切れたゴムの残骸を拾うこともなく、乾いた笑いだけを遺して。

飴ん子 (プロフ) [2019年8月7日 16時] 6番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

何を考えているのかと思えばぐい、とジュースを呷って彼女は話し始める。かん、と置いた缶の音が思った以上に響く。湿っているせいだろうか。
訥々と流れ落ちていく言の葉に目を伏せ、サイダーの弾ける感覚に息を吐いた。綺麗だと表現した。格好いいとは違ったと言う。……けれど理由が軽い気がすると。
自己完結してるな、と小さく口にした。うん、と髪が落ちた彼女が自嘲混じりに頷いた。
「……恋とは、思いたくないんだな」
地面に落ちた髪ゴムを疲労でもなく置いたジュースの缶を捨てるでもなく尾を引いた乾いた笑いを消さないままの彼女に、少しだけ目を向けた。表情に出さない自分を彼女は捉えにくいと思うかもしれない。けれどそれでもいい。そういう存在だと既に自分を定義できているから。
なら、それでいいだろう。
口にしたそんな言葉に彼女は驚いたようだった。恋とかそんなラベルを貼りたくないがために、それ以外の選択肢も考えられなかったのかもしれない。
サイダーを飲み干して、続きを促すような彼女に延長を申し立てる。
かしゃん、と缶を握り潰すと近くの錆びた鉄のごみ箱へそれを放り投げて、ようやく口を開いた。
「俺は、さっき言ったから分かるだろうが。……ラベル付けというものに拘りがない。まだ、高校生だ。……まだ、まだ、これから先、長い。今、言葉に出来ないことも、それでいい。……言葉にしたら、失われることも、あると思う。なら言葉にしなくていい。……“恋”と呼ばなくて良い。恋でないなら、と名前を探す必要もない。もう少し、待てば良い。それでいつになっても、分からなくとも……そういうものなのだ、と言葉にならない宝として抱けば良い。……今、そこに、その想いに、言葉が必要なのか?」
珍しく長文を口にしたからか。それとも問い掛けられたからか。“彼女”は思案するような素振りを見せて、困惑するような表情を見せて、それから、「……違うと思う。」という言葉を選んだ。ああ、なら、それでいい。
頷いて、じゃあ決まりだろう、と目線をずらした。
線路の向こうへ。枕木の合間の陽だまりへ。陽炎かと見紛う、向日葵畑へ。

666 (プロフ) [2019年8月7日 17時] 7番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

「大人になれば分かるかな。」
答えに行き急ぎすぎだ、お堅い、発想力が乏しい、二択でしか考えられない。と今は亡き祖父に言われたのを思い出したのだ。だから、
「やっぱり、ジジイみたいだ。」
心底、そう思ったのだ。独りだけ年食ったオトナみたい。
その言葉を向けたものの、当の本人は鼈甲飴の畑を眺めてる。
一方で私は、丸い果肉を取り出せないか、ひっくり返して掌の上で振る、ポンと軽い音はするが、やはり出ない。
いよいよムキになって必死に振るが、うんとも寸とも言わず。三時を過ぎたとは言え炎天下。無駄な運動で汗をかいて胸元のシャツを摘まんで扇ぐ。
「あつい。」
誰かに当てた訳でもない、ただの独り事。
そんな独り事、蝉より大きな声をあげて、かん、かんと点滅しながら鳴り響く遮断機は縦から横に、来るもの隔てるとうせんぼ。風鈴が風を告げて……。
__あ、あの時と、同じだ。
もしかして、と予感めいたものを覚えて、姿を探す。望んでいたものはそこにあった。
既視感を覚えてクラリとくる、幻影、或いは白昼夢。一枚の現代画。切り取って閉じ込めた一幕。胸を占めるのは歓喜でも切望でもなく……弾けそうな■■。火種はもう付いて、もえあがる。
__線路内の、影ひとつ。
金糸のような猫っ毛は風に吹かれて顔を隠す。あの目は見えない。透き通る蒼穹は見えない。だけど、間違いない、あれは__焦がれてやまない彼だ。

飴ん子 (プロフ) [2019年8月7日 19時] 8番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

やっぱりジジイみたい、とか、嬉しくはない。嬉しくはないが、それも一つの褒め言葉なのだろう。達観しているとか、諦観しているとか。綺麗な言葉で飾るなら成熟している、だろうか? 悠夢はそこらのラベルに興味がないのだけれど。
ムキになってジュースの缶を逆さに振る彼女を、おかしなものを見るような目で見て、それから意識を向日葵畑に戻した。太陽であり太陽の神であるアポロンに焦がれた女性の神話が基になっているというあの花は、夏という、最も太陽が強い時期にしか命を続かせられない。焦がれすぎたために、命すら太陽に委ねてしまったのかもしれない。
下らないとは言わない。けれど、そんな人生は単一すぎて、何かに寄りかかりすぎて、重いものになるのではなかろうか。そんな風に思う。実際のところは、神話の中の当人たちに聞かないと分からないけれど。
「あつい。」と彼女が自分と同じような意図で言葉を零した。ぱたぱた、と胸元を仰いでいる。汗も流れ落ちた。……やはり、この夏は、暑い。悠夢は夏という季節を、どうしても愛すことは出来ないだろう。好きではあるのだけれど。
ふと、風が吹いて、古ぼけた駅には不似合いの風鈴が音を奏でた。遮断機が下りる音がする。かんかん、かんかん。赤と黒の警報器。踏切が線路と道路を分ける。がしゃん。古びた道具はいつも、いつも軋んでいる。
「……あ」
と、音が消えたような錯覚に陥った。流れ星の尾のように細い金髪。風に揺れているせいで瞳は見えない。けれど、その表情は笑み、のように思える。
一瞬が間延びする。写真のシャッターを下ろしたかのような光景。向日葵畑がただの背景に成り下がる。
彼女が待って、と叫んだような気がした。
「っ」
ごうっ、と通り過ぎた鉄塊に意識を引き戻され、途端に混乱する。待て、待て、待てと。
俺は今“違和感を覚えていなかった”。線路の“内側に居る”あの青少年に、何一つ“違和感を覚えていなかった”。
自分のことなのに理解、出来ない。
けれどそれが彼女の言った相手だと、感じたから、口を開けなかった。アドバイスをした直後なのだ。
「……あれなのか」
問えば「うん。」と返ってくる。それが、むしろ安堵を呼び起こした。
綺麗な景色ではあったのだから。

666 (プロフ) [2019年8月7日 22時] 9番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

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666 (プロフ) [2019年2月14日 18時] [固定リンク] スマホ [違反報告・ブロック]

あらま?

666 (プロフ) [2019年8月12日 21時] 126番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

企画が落ち着いた休日のうちに顔出し

五十崎@命 (プロフ) [2019年8月16日 7時] 127番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

お、お疲れ様です(o´・ω・)ノ

666 (プロフ) [2019年8月16日 7時] 128番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

死んだよね笑

五十崎@命 (プロフ) [2019年9月27日 16時] 129番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

お疲れ様です!!!!(´・ω・)ノ

666 (プロフ) [2019年9月27日 16時] 130番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

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666 (プロフ) [2019年2月14日 18時] [固定リンク] スマホ [違反報告・ブロック]

んん?
そうなんですか?

666 (プロフ) [2019年8月5日 13時] 297番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

きゅうけい

五十崎@命 (プロフ) [2019年8月5日 16時] 298番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

(o´・ω・)ノ

666 (プロフ) [2019年8月5日 17時] 299番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

終わった

五十崎@命 (プロフ) [2019年8月5日 19時] 300番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

お疲れ様です(o´・ω・)ノ
252にどうぞ~

666 (プロフ) [2019年8月5日 21時] 301番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]
(C) COMMU