狂音 李莉のボード

狂音 李莉のプロフィール | 発言 (狂音 李莉の最後の書き込み: 「「天の川の形は、ちょ...」 @狂音 李莉のボード [2016年10月11日 12時] )

メッセージ一覧

「にゃあん」
「……キミ、美人だねぇ。こんなに汚れて可哀想に」
「……」
人懐こい野良猫を撫でてやると、例の通りゴロゴロと喉を鳴らした。
警戒心を感じさせない。恐らくは飼われていたのだろう。普通の猫。HLではなく、アメリカの猫。
この街じゃ、キミはいずれ食べられてしまうんだろう。
撫でているうちに愛着が湧いてしまって、この子のそんな姿を想像するだけで胸が痛くなった。
「ね、うちに来る?」
撫でる手を止めそう話し掛けると、声に反応して耳をピクリと素早く二度動かし、此方を見た。
「にゃー」
「ふ、それって返事なの?」
バッと立ち上がると、驚いたのか、猫は少し後退る。
が、数秒ほどすると、何事もなかったかのように私の足元をゆっくりと回り始める。
所謂マーキングや、縄張りと言ったものだろうか。随分と懐かれてしまった。
「はいはい、OKって事で良いよね? うーん、ケージとか買った方がいいのかな……」
優しく抱きかかえると、抵抗する様子も無くすんなりと持ち上がる。
うん。ペットショップか専門店にでも寄って、そのまま家に帰ろう。

狂音 李莉 (プロフ) [2016年6月24日 7時] [固定リンク] PCから [違反報告]

「うわぁ、結構重いね……しかもお金使っちゃったー、またバイト探さないとなぁ」
店を出て、ケージに入れた猫、ご飯、(店員に聞いた)必要そうなものを改めて荷物として抱えると、可成の重量があった。こんな状態で家に無事帰れるだろうか。
「……桜花流・桜流し」
自分の背中の方から結構な大きさの瓦礫が飛んできた。
また騒がしいな、今夜は一体何があったんだ。
術名を唱え、発動させた。背後に盾の様にバリヤーが張られ、瓦礫を受け止めると、その勢いと共に陶器が割れるような音を立てて崩れる。まぁ、術を使うには対象が小さかったから魔力を抑えたが、今は両手が塞がっているので仕方無い。子猫もいる。
だって、こんな小さな命を無駄には出来ない。
明日死んでしまっているかも知れないこの儚い命を、生きていけると言う幸せを、護りたかった。
嗚呼、ヘンなコト思い出しちゃった。
さっきの音に吃驚したのか、猫が小さくにゃあにゃあと鳴いている。
「ごめんごめん、早く帰ろーねー」
無闇矢鱈に魔力を消費する訳にもいかない、最近は魔力補給も大変になってきたんだし。そう思い歩みを早めた。
その一部始終を、誰かが見ていたとは知らずに。

狂音 李莉 (プロフ) [2016年6月24日 18時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

「ふぁ」
ベッドから起き上がると欠伸が出る。ついでに涙も。
頭がボーッとして、目が乾いて、行動する気が全く起きない。
が、しかし、昨日の晩にあったことをふと思い出すと、のそりのそりと動いてキッチンの棚を開けた。子猫には一日三回、だっけ。大体生後1~2ヵ月だろうと言われた。
弱ってるだろうから、昨日は布団で一緒に暖めて寝て、それから朝起きてご飯をやろうとして……あれ? 猫は何処だ?
「猫ー?」
何となくそう呼ぶと、にゃんと鳴き声。リビングか?
半開きにしていたリビングへ続く扉を開けると、窓辺で朝日を浴びてすたすたと歩き回っていた。
本当に昨日まで捨てられていた子猫なんだろうか。
「ご飯だぞ」
皿を手に呼び掛けると、今度はひょこひょこといった感じで寄ってきた。
ご飯の場所まで移動し足元に皿を置く。お前の食事場所は此処ですよ。
意外と元気じゃないか。なんだ、早めに里親でも見つけよう。
とりあえず今日はペットシッターかなぁ、9時間でいくらだ……?
「え、いや、250ゼーロは高いよ……!!?えぇ……でもこんなもんだよなぁ、これを暫く毎日は無理だなぁ……」
猫が呑気にキャットフードを平らげた。
「はは……アブない仕事でもする? なーんちゃって」
満足気ににゃあんと鳴く。気楽でいいねぇ。
「じゃあ頼んどくかな、朝からで申し訳ないけど、此方は夜まで仕事だからサ」
1時間後に来てもらえるようにコールする。予約無しで大丈夫なところは結構少なかったが、猫が大丈夫ならそれでいいか。
「じゃ、準備が済んだら私は出掛けるよ。ハヴ ア ナイスデイ、猫」
毛繕い。人の恩は忘れるタイプの様だ。

狂音 李莉 (プロフ) [2016年6月24日 19時] 2番目の返信 PCから [違反報告]

「お母さん!ねぇ、お母さんってば、」
「なぁに、どうしたの桜香、ちゃんと聞いてるよ」
「あのね、今日もカレン達と一緒にかぞくごっこしたの!」
「好きねぇ、今日のお母さんは誰かしら?」
「今日はわたしだったの!カレンが女の子で、ベスとマリーはおともだちの役だったよ!」
「あら、桜香だったの?みんなには優しくしてあげた?」
「うん、お母さんみたいに優しいお母さん!」
「そうなの、ご飯は何を作ってあげたの」

狂音 李莉 (プロフ) [2016年6月30日 23時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

瓦礫が降っている。
空を飛ぶ何らかの機体が、空中で分解されたようだ。
金属で出来たそれは、軌道に沿い一直線に延びていく。
幸い、高いところから空気抵抗で落ちるのは遅く、街の人々は避難しているため、被害はまだ少ない方だが、それでも出ている。
数人倒れている人や異界のものもあり、あちこちで血が舞っている。
その騒動の中で、泣き叫ぶ少年が一人。足を負傷し動けない母親のそばで立ちすくんでいる。その少年に大きな瓦礫が落ちていくのを、レオナルド・ウォッチは見ていた。
「危ないッ!!」
「桜香流白魔術・桜流し」
「へっ」
女性の声と共に、空に……少年の頭上を中心に、5m×5m程の半透明な板が現れた。
その板は、落ちてくる瓦礫を防いでいる。が、いくつか瓦礫を受け止めるとすぐに亀裂が入り、今にも割れそうである。
その間に、声の主である女性は少年の母親を横抱きにし、少年と共に避難を始めていた。レオナルドの方――既に瓦礫が地面に落ちており、恐らくもう降ってはこない方――に向かい、彼に気付くと、「強いのか弱いのか知らないけど、自分の身は自分で守ってね? 逃げるんなら早く逃げないと知らないぞー」と声を掛け、足早に去っていった。
しばらく呆然としていたが、はっと我に返り、「ちょ、ちょっと!!待ってください!!」と彼女のあとを追った。

狂音 李莉 (プロフ) [2016年7月5日 7時] 4番目の返信 PCから [違反報告]

着いたのは病院だった。セント・アラニアド中央病院。さっきの騒動のせいか、いつもより混雑している。女性は少年とその母親を院内に連れていき、十数分ほどで帰ってきた。
「はー……」
「あ、さっきの……男の子と女の人を助けた人ですよね?」
「あ……? ああ……さっき、あっ、た……っけ……」
「え、うわ!? ちょっと、大丈夫ですか!?」
レオが声を掛けると、その女性はぐらりと揺れたあと、レオにもたれ掛かるようにして倒れた。その顔は酷く疲労しているようで、レオは慌ててチェインにコールした。

狂音 李莉 (プロフ) [2016年7月5日 7時] 5番目の返信 PCから [違反報告]

「馬鹿ね……この街でいちいち人助けなんてしてたらキリが無いわよ」
コールすると、ライブラの事務所にいたはずのチェインが一分もしないうちにレオの横にストンと靴の音をたてて立っていた。
「すみません……この人が変な……術? 使ってたんで、もしかしたら知ってるかなと思いまして……」
「術?」
チェインは一瞬悩んだ表情になると、レオがベンチに座らせた女性の顔を覗き込んだ。
「……成る程。彼女、ライブラに入る子よ」
「…………えっ!?」
衝撃の事実に思わず驚く。それを気にも留めず、女性の説明を続けるチェイン。
「魔術師の弟子で、その師匠って人からライブラに入れるように言われていたのよ。
こちらとしてもかなり有力らしいから、今日糞猿が迎えに行く予定だったんだけど」
「え、じゃあザップさんに連絡した方が……」
「……そうね、癪だけどしておくしかないわ。ミスタクラウスに連絡しておいて」
「は、はい!!」
レオは携帯を取り出すと、背を向け今度はクラウスにコールした。
「だけど……情報と違うわね、こんなに非力なのかしら」
小さく顔を歪め、ベンチに座る彼女を見た。そのまま、チェインはザップに電話を掛ける。
「あ? 何だよ犬女、こちとら新入りが居なくてイライラしてんだよ」
「そう、銀猿もそのまま寿命が縮めばいいのにね。その新入りは今ここにいるわよ」
「はぁ!?」
電話の向こうから怒りの混じった驚きの声があがる。チェインは思わず耳を離した。
「うるさいわよ、いきなりデカい声出さないで。今はセント・アラニアド中央病院の前にいるわ。彼女はそのままライブラの事務所に連れていくから、銀猿も戻って」
「なんで病院なんかに……チッ、俺に指図すんな、旦那か番頭には伝えたか?」
「今レオが電話してる」
「……ったく、連れて来る途中で殺したりすんなよ」
ブツッと雑に切られる音がして、やがて通話終了のツーと言う音が聞こえてきた。自身も通話終了のボタンを押すと、携帯を閉じた。

狂音 李莉 (プロフ) [2016年7月5日 8時] 6番目の返信 PCから [違反報告]

「あー……あれ、もしかしてここライブラですか……ミスタクラウスがいる、あ、ライブラだここ……え、ライブラだ!ここ!!」
「気分は如何かな、ミスクロカワ」
「は、初めましてミスタクラウス!!ほ、本日よりライブラに所属することになりました、桜香・黒川です!!よろしくお願い致します!!」
「ねぇ……あ、私はチェイン。チェイン・皇。聞きたいことがあるんだけど」
「は、はいチェインさん!!」
「あなた……特に怪我が無い様子で倒れたらしいけど、どうかしたの?」
「あ……い、いえ……私、雨宮師匠と契約してたんですけど、解除してから一週間ぐらい経ったので……魔力が足りなくて……」
「契約……?」
「特定の相手と契約して、そばにいることで魔力回復出来るんです。魔力が無いと力が入らなくて……けど、今はいないし、さっき使っちゃってほぼ0ですし……」
「なんだよお前、今は非力な一般人より役立たずじゃねーか」
「すみません……早く契約相手見つけます……」

狂音 李莉 (プロフ) [2016年7月5日 8時] 7番目の返信 PCから [違反報告]

「レオくん!!」
「はい……?」
「家こっちなの!?」
「まぁ……はい」
「じゃあさじゃあさ、契約してみない!?」
「……はい……って誰が言うんですか!!どういう話の流れ!?」
「ライブラの誰かにお願いしようかと思ったんだけど、家が近いならレオくんがいいなって……」
「そういう……と言うか、具体的に契約って何なんですか……」
「うーん……レオくんにとってのデメリットは、物理的に運が悪くなるってことかな」
「……物理的……って、それだけ? 魂を捧げるとか、そんなんじゃないんですか?」
「魂じゃないけど、命に危険が及ぶこともあるよ」
「誰がOKするか!!」
「ごめんごめんって、契約の誓いとして、私はキミを護らなくちゃいけなくなるんだよ」
「誓い……」
「だから、キミがその不運に見舞われようものなら、私が死守するから安心してってコト。ね、契約しようよ」
「ええ……でも、しないと魔術? 使えないんスよね……」
「そりゃあ勿論……今は魔力ほぼ0だし」

狂音 李莉 (プロフ) [2016年7月5日 8時] 8番目の返信 PCから [違反報告]

「……契約したァ!?」
「はい……なんか、説得と言うか……力説されました……」
「じゃあ何だよ、こいつ今はつえーの?」
「何だったらザップさん凍らせようか」
「やめろバカ結構だ」

狂音 李莉 (プロフ) [2016年7月5日 9時] 9番目の返信 PCから [違反報告]
メッセージ返信
メッセージの一覧に戻る
(C) COMMU