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ハッと息をのんだ。
あまりにも、彼女が綺麗だったから。
しばし見惚れてそこではたと我に返る——私は今、なんて最低なことを考えたのだろう。
涙に濡れた睫毛が震え、ゆっくりと上下する。
泣き顔を隠すためか、彼女はもう一度きつく私を抱きしめた。
耳のすぐ横で聞こえる嗚咽。
私には、彼女の背と頭を撫でてやることしかできない。
“その人が笑っていると自分も嬉しくて、その人が泣いていると自分も悲しい”
恋の定義でよく見かけるものだ。
それは今の私にピッタリと当てはまっていた。
熱い雫が頬を伝い落ちていく。