百合SSを集めたい
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箸レーゼ (プロフ) [2023年3月16日 19時] 1番目の返信 [違反報告]***
「ねぇルカ、ボクが髪切ろうかなって言ったらどうする?」
カタリ、とソーサーが音を立てる。
動揺したように、ルカが振り返った。
その視線の先では、綺麗な長いツインテールの右の方をブラシで撫でながら、ミクが窺うようにルカを上目で見つめていた。
「……」
ルカは飲んでいた紅茶を飲み干すとティーカップをテーブルに置き、ただ何も言わずにミクのもとへ歩み寄る。
「リンとかメイコ姉みたいにさ、短くするのもいいかなって…」
「そう。良いんじゃないかしら」
言葉とは裏腹に、ルカの表情は冴えない。
右手で左耳に髪を掛けながら、ルカはもう一度言う。
「いいんじゃない?似合うと思うわよ」
その返答になぜかむくれたミクは、ブラシの手を止める。
かと思えば、今度は左の髪を撫でつけ始めた。
しかしその手つきは先ほどとは打って変わって乱雑なものであった。
「…………ルカのばか」
「どうして?似合うって言ってるじゃない」
「そっ、それは嬉しいけど…でも違うの!ばか!!」
「馬鹿って言われても……」
「乙女心は複雑なの!」
「失礼ね、私だって一応乙女なのよ!?」
平行線な二人の会話は、この後の日課である散歩によって終わりを告げた。