ネタバレ注意 Dr.コトー診療所の感想
TVの放映当時は4つだった。小学校はイルカはいらないかの頃に再放送をばあちゃんと見た記憶があってタイトルをかろうじて覚えている程度。
別の映画を見に行ったときに予告編で主題歌の「銀の龍の背に乗って」を聴いて朧気だった記憶がぶわっとよみがえったのだから音楽の力は偉大だ。青い青い南の海をバックに長い坂を自転車で登るコトー先生の姿。
これは見に行くしかないなと。
まぁ内容は言っちゃいけないんだろうけど、典型的な日本映画だ。お医者さんが頑張って頑張って島の人と協力しときに対立し苦悩し人の命を救っていくお涙頂戴の話だ。
ただこの物語は一貫して過疎化と医療の崩壊が進む離島というか過疎地の現状に向き合っていることには好感を抱いた。そしてそれがTV版の2003年当時から20年でどうしようもないくらい加速していることも。
第一作では余所者であるコトー先生がやってきて島民の信頼を勝ち取り志木那島の医療体制は維持された。ただそれは劇場版で指摘されているように医師一人の頑張りをシステムに組み込み、システムそのものの構造が誤っていることから目を背けて半ば強引に維持されてしまった。
そして今作ではとうとうコトー先生が頑張れなくなってしまい、島の医療体制が崩壊する危機が再びやってくるわけだ。結局のところ今作でもコトー先生の限界以上の頑張りと周りのサポートと幸運によってどうにかなってしまい、作品としてこの問題に解答を出すことは避ける形になってしまった。
とうか判斗先生は俺と同い年だったのか!?
今作には判斗先生って新任の医師が出てきてこの辺の構造的な問題についてビシビシ指摘していく。多分このキャラクターがいなければ本当に典型的お涙頂戴になってしまって観れたものではなくなっていたかもしれない。今作で最重要のキャラクターは間違いなく彼。
この映画ではおそらくあえて結論を出さずに終わらせたのだろうけど、現実に生きる我々はそうはいかない。失われた20年とか30年と言われる年月の間にこの辺の人口減少にまつわる問題は放置され続けてしまった。
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