シン・ゴジラのネタバレを書くぞ。考察とかしないぞ。できないぞ。ひたすらネタバレだぞ。見ないことを強くお勧めするぞ。なるべくどーでもいいよな情報で隠すようにするぞ。
ひたすら怖い映画というのが第一印象。それが最も強い。アレだけゴジラを怖いと感じたのは十数年ぶりだ。さながら最初にゴジラを見た時のような...それとあの日のことも。もうすでに五年も経つのか。
やっぱり面食らったのが「蒲田のアイツ」。得体のしれない不気味さがあった。うみほたるでの爆発はさながら水蒸気爆発。呑川を遡上してゆく様はあの日そのもの。現れるのは比較的小さな(それでもデカイ)カエルの化け物。第一形態、第二形態はいわば現実の恐怖。
と、同時に虚構でもある。漁船大のカエルなんざいやしないからな。アレは「観客のゴジラに対する固定観念をぶち壊すためのもの」らしい。なるほどな。現実と虚構の間の怪物が一気に観客を虚構に引きずり込む。
第三形態は何も言えん。出番短すぎ。でも第三形態で初めて観客はあのキモカワはゴジラだと気付かされる。ヘリコプターも攻撃を見送る。無理に定義するなら警告か。
第四形態。あれやばい。怖すぎる。恐怖そのもの。映画のだいたい半分くらいか。ここに至ってはじめて僕らのよく知る「ゴジラ」が現れる。圧倒的嫌悪感を伴って。姿かたちこそゴジラだが本質は、その嫌悪感は「我々のゴジラ像」とは別種の、それでいて初代の描かんとした自然への畏怖とか科学技術への恐怖とか、そういう何か恐怖の象徴的なものなのだ。
自衛隊の総攻撃にもびくともしない。「155mmりゅう弾砲の初弾命中だぞ?頭部への一点攻撃だぞ?ほとんど狙撃だぞ?もっとビビれよ。」って感じ。庵野先生はさすがだ。この状況下に燃えポイントを挟んでくる。その辺の燃えポイントはそこからも随所に現れる。フセイン絶対○す爆弾とか、幾十年かのやられっぱなしの歴史を終わらすべく立ち向かう新幹線と山手線たちとか。富士をバックに放たれるMLRSもよかった。
そして放たれる内閣総辞職ビーム。あの辺でもう震えが止まらなかった。効きすぎるエアコンや直前に飲んでしまったドトールコーヒーも手伝って。エヴァとかで散々描かれた絶望ビームとドロドロコンクリートの死の海。アレはヤバい。やばいとしか言えん。まさしく神の化身。
そんな感じでひたすら真っ黒い絶望が描かれるんだが、同時に光も描かれる。人間たちの行いは荒ぶる神を鎮められるのだろうか。鎮められたのだろうか。
人物の配置が巧みすぎる。マンションとともになぎ倒される家族。蒲田のアイツにスマホのカメラを向ける人々。ひたすら爆走する鎌倉のJK三人。のろのろ、よく言えば慎重な対応する政府。地震の時は通信がマヒってたんだがまああんな感じだったんだろう。
そして我らが変わり者「巨災対」の面々。カレーを作る自衛隊。おにぎり差し入れするおばちゃん。プラントを全力稼働させる職員。「入隊した時から覚悟はできています」って木更津隊。彼らの頑張りがひたすら眩しい。原発事故の時の署長さんを思い出した。
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白アザラシ (プロフ) [2016年8月17日 20時]
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