水辺の蛟
気が付けば 2017年8月29日 14時 /露のように儚く 2017年8月27日 17時 /これは夢 2017年8月22日 13時 /刮目せよ 2017年8月20日 10時 /やるきをください 2017年8月18日 13時 /生の先に、死の… 2017年8月16日 18時 /たとえるならそ… 2017年8月12日 22時 /屍多き暗礁よ 2017年8月5日 9時 /歴史の残滓、遺… 2017年8月4日 23時 /湖の乙女よ、我… 2017年8月4日 23時
メッセージ一覧
馬刺 (プロフ) [2017年8月29日 14時] 1番目の返信 [違反報告・ブロック]気が付けば数年が経ていた
あなたと共に居られた日々は昨日のことのように鮮明に覚えて居ます
あなたを失った日のことは業火に灼かれる程度など苦痛とは感じず胸に穴が空いたような喪失感だけがありました
あなたがいない
寂寥の念は絶えずただ無念でした
何時しか私は17に
あなたと同じ年に並び立ちました
少年が尤も輝く年になり貴方と同じ美貌を持ちあなたと同じく神に祝福された子と呼ばれるようになりました
真に神に愛されていればあなたを失う事などないでしょうにね
英雄の御霊は神がほしがるため早死にするとは言いますが私はどうなるかは分かりません
と笑い飛ばしたくはありましたが今や病床にて死を待つのみ
18になる前には其方へ向かうでしょう
後一月
宣告までに残された時間私はあなたの事を思いだしあなたが此方へ来るまで待ちましょう
馬刺 (プロフ) [2017年8月27日 18時] 1番目の返信 [違反報告・ブロック]露の様に儚く地に堕ち弾け散る
一瞬のような人生だった。
儚く消える我が生に意はあったかは分からない。
誰にも知られず誰の記憶にも残らずひっそりと木陰で咲き枯れを待たずに潰れて消える。
動かなくなろうとしている体を地に預け、寝そべった。
左腕は吹き飛び、未だ血は流れ続けている。二の腕から先が千切れ左手はこの広い戦場の何処かに墜としてきた。
死が目の前にあるのに恐怖は無かった。実感がなかった。
痛覚は無い。血が流れ続ける左腕は温かさを感じる。口は渇いていて水が飲みたいが川は汚泥で飲めた物ではない。
嗚呼眠い。今までどんなに疲れても感じなかった眠気が襲ってきた。この眠気に体を委ねたら帰って来れないと直感した。お迎えが来たのだろう。
どうせ助かるまい。血を流しすぎたし片腕では手荷物でしかない。
空には硝煙が昇り、発煙筒が宙を彩り地には無数の屍が山を作り流れた血が川を作る。
動く者は居らず、撤退したか進軍したのだろう。
願わくば我等に勝利を。
馬刺 (プロフ) [2017年8月5日 10時] 1番目の返信 [違反報告・ブロック]おぞましい旋律と幾千にも及ぶ不協和音が夜を支配していた。
百は優に越えるであろう人間達が黄衣のローブを纏い神を讃える祝詞を口にする姿はまさに狂信者と呼ぶに相応しい。ましてや邪神を喚ぶなど──。
彼等は黄金に輝く蜂蜜酒を片手に主を再びこの地に呼び戻そうと召喚式を紡ぎだしていた。
いあ いあ はすたあ はすたあ くふあやく ぶるぐとむ ぶぐとらぐるん ぶるぐとむ
声に呼応するかのように空の闇が一層濃くなる。暗雲が立ち込み月明かりの侵入を拒む。
あい あい はすたあ
その一節を言い終わるやいなや狂信者達は一斉に蜂蜜酒を飲み干し、そして地に伏せた。
空には突如として穴が現れる。
重い雲の層を風の槍にて貫き、星辰は揃い地獄の釜が開く。
空に狂信者のものと同じ黄衣を纏った長身の人が浮いていた。
否それは人ではない。
黄衣の王と呼ばれる歴とした神だ。
深くフードを被ったその者の顔はなく、フードの中には醜悪な肉塊が包まれている。
黄衣の王は背後に闇を抱えてやってきた。
夜闇よりも色濃く一切の光を受け入れない漆黒のモノを連れてきた。それは世界の全てを覆い尽くさんと空で蠢き、狂信者へと触手を伸ばした。
狂信者たちは我先にと触手へ向かって走り出す。
闇はそれに答えるように速度を上げ狂信者へ手を伸ばす。
私を連れていって!
神よ!私を貴方のものに!
闇は狂信者は歓喜に酔っていた彼等を飲み込んだ。触手で捕まれた者は忽然と姿を消し、同時に黄衣の王のローブの中は膨れあがって行く。
地にはサバトの残り香と神を降臨させた召喚陣。蜂蜜酒が入っていた瓶が無数にあったが人の姿はなかった。
黄衣の王は闇を携え人里を捜し空を駆ける。
agggggggggggggga!!
この地球を再び支配地に置くために闇を携え主は行く。神は歓喜の雄叫びを上げ空の果てに消えていった。
馬刺 (プロフ) [2017年8月5日 0時] 1番目の返信 [違反報告・ブロック]最初から負け戦だったんだ。
なんせ大国が相手なんだ。うちみたいな小国なんて一瞬で蹂躙されると分かっていた筈だろう………そう柄にもなく憶病風に吹かれてしまう。
しかし仕方ないのではないか。敵軍は地平線の果てから絶えず現れ続け、自軍の大半は地に伏し動かぬ屍となった。
仕えていた主は護れず先に黄泉路へと発ち、共に仕えた同僚は大粒の汗と血を流し奮起している。
狙うは敵将ただ一人。主を失った事に嘆くよりも主の願いを叶え、主の後を追うために剣を振るう。
敵軍から弓矢が雷雨のように荒荒しく激しく降り注ぐ。
その中でも敵は此方へとやってくる。仲間の攻撃で身が傷付こうとお構いなしにやってくる。
無象に湧く蛆のような敵兵の群を見据えていると戦場だというのに鎧も着ず軽装で居るひょろっとした男と目が合った。
男は直刀を握り締め、私に向かって駆けだした。それに呼応し私も走る。戦場で相手が居ないのなら私がなろう。
数秒が経ち、間合いに入った瞬間にほぼ同時に私たちは剣を打ち合った。
びりびりと手から衝撃が伝わってくる。一合でこいつは強いと直感した。
剣と剣が重なる時の何ともいえない興奮と快感に酔う暇などない。
猛り滾り血肉躍るこの感覚はこの世のどの葡萄酒よりも甘美で美味だ。
そんなことを留鳥に戦場で考えていたせいだろう。相手は手練れだというのに一瞬とはいえ油断をした。
男の剣が関節部に出来る鎧の隙間にぬるりと水のように流れる動きで入り込み皮膚を破き鮮血と肉を引き摺りだす。
肉を貫き、肉を抉る。
左肩を深く斬られ左脚の太股を刺された。左腕をもと振り下ろされた剣を右腕のみでなんとか受け止めつつ、右膝で男の鳩尾に強い蹴りを入れると泡を吹いて男は気絶した。
そうして倒れた男の首を刎ね飛ばす。傷の具合をみるといつの間にかできた無数の矢傷で少量とは言えずっと出血をしていたせいか体が重い。左肩を深く斬られたのか左腕が上がらなくなっていた。
今すぐ止血しなければ死ぬ程には血を流した。しかし止まることは出来ない。救護する者など何処にも居ないのだから。
さあ死に参ろう。主の前へ帰るのならば手土産を。
徐々に固くなっていく体を動かそうと気を奮い立せ剣を強く堅く握り締め敵軍の中へと走り込んでいった。体から力を抜き倒れ込んで死を待つなど私には合わない。死ぬのならば道連れを。
痛覚は既に無い。幾ら走ろうが血が濁流のように矢傷から流れるだけだ。
手負いの獣がやってきた! 気を付けろ! 死を覚悟した人間は恐ろしい!
そんな声が聞こえた気がしたがだんだんと聴覚が衰え、次第に聞こえなくなった。ただ一心に剣を振るった。主の忠義に、自軍の勝利の為に。
馬刺 (プロフ) [2017年8月4日 23時] 1番目の返信 [違反報告・ブロック]主神よ!純白の騎士を守り給え。
教典の一幕が映されたステンドグラスから日の光が微かに差し込む広大な白亜の聖堂に三人の人間がいた。
純白の鎧を纏う立派な肉体を持つ青年と実り豊かに育った稲穂を彷彿とさせる金髪の女性と礼服で身を包んだ聖堂の主たる老人だ。
女は騎士の首にロングソードを当てる。刃先ではあるが、儀式用のなまくらで非常に脆く鈍器の程の価値もない剣だ。
騎士は女へ誓いを述べる。
この剣は貴女の為に振るうと声高々に剣と主神を模した石像へ誓い、女は主神に門出を迎え新たな騎士となる青年の無事を願う。
主よ。どうかこの者に祝福を。
乙女よ。この者を導き給え。
王よ。どうかこの騎士を導き給え。