オリキャラ自由高校

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「……ん?」
鬼頭 陸が彼に気付いたのは、偶然であると言えば偶然であったし、必然であると言えば必然であった。
先生である陸は、黒板の前に椅子を持ってきて、それに座って理科室内全てを見渡していた。
……テレビ裏に隠したテレビゲームが見つからないように内心ヒヤヒヤもしていたのだが。それは、目の前の生徒達には気付かれていないだろう。
陸の表情筋は、そんな内心に反応するようには作られていない。
そんな陸が気付いた事。
それは、一人の男子生徒が、実験器具に手を付けていなかった事だ。
「あの子は……、えーっと、暁くんだっけ?」
下の名前は知らない。
綺麗な水色の瞳は薄く細められ、気怠げに理科室の天井を見上げた。
あまり難しい実験にした覚えはない。
中学生でも出来る。顕微鏡を使うだけの実験だ。
本当は、その見るものも自分で調達して欲しかったが、何にせよ長休暇の後でもあった為に、此方から用意した。
その代わり、実験自体に一時間も掛けていないのだが。
それに、陸は、その結果のレポートの方を特に見たいわけで。レポートは長休暇の後と言えど、甘くつけるつもりは毛頭ない。せいぜい頑張れ。
「よっと。」
陸はだらだらと立ち上がる。助手にやって貰ってもいいのだが、ただでさえ深刻な運動不足が深刻を極めてしまう。
男子生徒の元に、気怠げに歩み寄った。
そして、言う。
「暁くん。もう、時間終わっちゃうよ?」
【専用】

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2017年3月31日 19時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

「……あ、忠告ありがとうね。だけど、こっちも仕事だし。」
陸は、彼と同じ机で実験していた子供に、微笑む。
彼らの忠告はきっと正しいだろう。だからと言って、放っておくのも何か違うと思う。
怒るのは自分にも跳ね返って来るようであまり好きではないし、どうしようと少々の間、途方に暮れた。
光の加減で、藍色にも見える髪に手を当てて、暁と言う少年について思い返してみる。
確か、実験の時に限って、出席率が悪い子だったような。実験が嫌いなのか。
それでも、今回の授業に出たのは、殆どぬきうちのようなものだったからだろう。
今回の実験はレポートでも見てみようと言う、陸の気まぐれである。いつかはやらなきゃいけない実験だったし、やる予定だった授業の準備が間に合わなかったと言うのもあるのだけど。
「前々から実験するよー。って、連絡してなかった僕も悪いんだけどさ。……授業中にヘッドフォンをするの、やめてもらえるかな? 準備して授業してる先生的にかなり傷付くんだ、それ。」
陸は、話しかける。
放っておいても、評価を低くつけるだけなのだが、流石に人が話している最中にちょいと感じ悪くないだろうか。
この子、大人になったら大丈夫だろうか。
心配になるところだ。
煩いだろう。説教っぽくなってしまった。それを聞き入れなくても、陸はまた同じことを言うだけだ。諦めることは主義に反する。
まあ、陸が、そんな煩く説教が出来るほど、出来た人間ではない事くらい、陸が一番知っていた。

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2017年4月3日 11時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]
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