ネタバレ注意 シン・ウルトラマンの感想
つっても初代ウルトラマン全39話をギュギュっと凝縮して古い作品故の整合性のなさとか現代との価値観の相違を修正しただけのようなものなので、ネタバレもくそもない気はする。
まぁだから内容について語ろうにも、いつもみたいに背景がどうのこうのってよりかはこのシーンが好きみたいな語り口になってしまうな。
とにかく人じゃないものの描き方が上手かった。前評からさんざん言われてたメフィラスは言わずもがな、ウルトラマンも相当に異質というか不気味というか...なんだったら居酒屋で財布をチラ見してから割り勘を持ちかけるメフィラスよりよほど冒頭のウルトラマンの方が得体の知れなさがあった。
一部に女性を煽情的に描くシーンがあってそれが喧々諤々議論を呼び起こしているんだが、俺はあのシーンあった方がよかったと思う。観客は是非はどうあれあの描写に性的な物を感じるんだが、ウルトラマンはあくまで事務的というか義務的で素っ気なくてコイツはやっぱり人間が好きっつってるけど完全には人間じゃねーんだなってのを感じさせてくれた。終盤に行くにつれてウルトラマンに親しみを覚えて忘れてしまう冒頭での強烈な違和感を思い出させてくれる、大事なシーンだと思う。
おれもまぁ初代のウルトラマンをちゃんと観たことはないし、なんだったらちゃんと自分の意志で見た最初のウルトラマン作品なわけなので偉そうなことは言えんわけだが。
ウルトラマン然りゴジラ然り仮面ライダー然り、あれらは続編を作るつもりがないまま企画が動いていたからそれゆえの思い切りの良さは絶対に後続作には出せないんだよな。リメイクすることでしか出せない味。あれはずるいわ。
庵野の「どうせ原作には勝てないんだから徹底的に要素を煮だして現代に合わせる」って方針は師匠の宮崎駿の「原作のここがクソだから要素だけ切り出して俺色に染める」って方針と好対照だよな。似てはいるが正反対。
冒頭の作り方は上手かったなぁ。オタクは全自動でこの部分は○○に似てるってのをやりだすから、見覚えのあるシーンを並べとくだけで勝手に背景まで推察してくれるから描写を省けるんだ。あれだ、いわゆるナーロッパシステム。
東富士演習場でMLRSぶっ放す映像は絶対にシン・ゴジラと同じ素材なんだけど、MLRSの映像ってそんなに少ないの?
ゴジラもなんだけどシンと原作たちの一番の違いって我々にとって身近なのが戦争か災害かって違いだろうな。勿論、一人の人間が戦闘機に乗って秘密作戦も遂行してウルトラマンにも変身するってスーパーマン的な主人公像が受けなくなったってのはあるんだろうけど。
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