死者殺し

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ロル7

666 (プロフ) [2020年3月22日 14時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

「っ、………」
はく、と息を呑む。そして言葉が見つからないというように、視線をさまよわせて幸葵の方を見た。狼狽えたような、そんな表情。
「せん、せい……」

Littorio (プロフ) [2020年3月22日 14時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

「……」
黙ったまま口元を抑え、幸葵は首を振る。俺は実家のあの部屋に戻るつもりもなかった。だから今、この部屋に入るのも躊躇われます、と少し早口気味に言う。
出来れば征花さんが見てきてください、と少し開けてから幸葵は言う。
「……俺の部屋は、見たことくらいあるでしょう。……今、俺には入るだけの余裕がない。頼めますか」

666 (プロフ) [2020年3月22日 14時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

「…わかり、ました……」
小さく頷いて、幸葵の手を離し、征花は1人で部屋の中に入る。先生が、狼狽えていた、動揺しているような顔をしていた。まあ、自室なんて再現されたら、誰だって狼狽える。それが、高校時代まで使っていた方のだとしたら、尚更、先生には。

Littorio (プロフ) [2020年3月22日 14時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

部屋の外で壁に凭れ、幸葵はしゃがみ込む。いつもなら音に気を遣うのだけれど、そこまで意識できず、少しばかり鈍い音がする。
ずるずる、としゃがむ。頭を抱える。トラウマとも呼べるような、過去の記憶。高校生時代の、部屋。
部屋自体は整頓されていて綺麗だけれど、妙に人の気配のない空間だ。本が本棚に収まっている。机の上にノートが何冊か収まっている。
けれど、人が使ったような気配がない。
「……机の、引き出しの、鍵は……俺の、好きな本の、栞代わりに使っていました」
部屋の外から幸葵がそんなことを告げる。

666 (プロフ) [2020年3月22日 14時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

「……はい……」
本棚から、幸葵が好きだと前に言っていた本を見つけて開く。発言通りに、鍵を見つけて、手に取ると、一応の確認をするために扉の向こうの幸葵に話しかける
「……先生…あの、引き出し、見て、大丈夫ですか?」

Littorio (プロフ) [2020年3月22日 14時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

「……構いません」
どうせ日記しか入れていなかった、と言う。それに、と乾ききった口を誤魔化すように幸葵は続けた。
何かを隠すなら、鍵の掛かる場所に入れるでしょう? と。
「……実際、どこまで再現できているのか……気にはなりますが」

666 (プロフ) [2020年3月22日 14時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

「……わかりました」
1人、頷いて、征花は机の引き出しの鍵を開ける。日記しか入れていなかった、という言葉の通り、引き出しの中には日記として使っていたのであろうノートが、数冊。
1冊、手に取って躊躇いつつも開いてみる

Littorio (プロフ) [2020年3月22日 14時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

一冊の日記帳。……中のページに文字はない。ただ、所々に朱い色が落ちてはいる。参加したような赤。どちらかと言えば、黒に近いような錆びた色。
……恐らくは、血に近いような。

666 (プロフ) [2020年3月22日 14時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

「………血……」
ぽつり、と呟いてその赤に触る。乾き切って、酸化しているのだから手につくわけがないけれど、それでも何度か触って。深く、ため息を吐き出した。

Littorio (プロフ) [2020年3月22日 14時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]

血、という単語に幸葵は苦笑する。どの日記を開いたのかは分からないけれど、後悔にも近いような感覚がある。仕方ないけれど。
「……奥の方に、まだ空いた空間があるはずです。引き出しは外して、机の上に広げてみてください」

666 (プロフ) [2020年3月22日 14時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
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