思いついたものを綴っていくぜ

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『殺し屋と警察官のお話』

柑橘系ねこ (プロフ) [2022年6月2日 15時] [固定リンク] PCから [違反報告]

「お前、そこで何してんだ。見たところ未成年だろ。今、何時だと思ってる」
人気のない路地裏。今の時刻は午前0時。こんな状況で、未成年を補導しない警察は、あまりいないと思う。
_____それこそ、返り血まみれの少女だったなら、尚更だ。
それに関して、特に疑問を抱くことはない。実際、私はまだ15歳だ。
私が不思議に思うのはそこではない。
「.........貴方、ヤの付く職業の方ですか」
「よく言われるが、俺は刑事だ」
私に声を掛ける警察官の見た目が、あまりに極道みたいだったからだ。
黒いスーツにサングラス。そして片手には、先程口に咥えていた火のついた煙草が握られている。完全に見た目がヤバい奴だ。
だが、もう一つの手が持っている警察手帳が、この人が本当に警察であることを示している。
普通は焦るべきであろう。何故なら私は殺し屋で、今日も上からの命令で、お偉い政治家を暗殺してきたのだから。
それでも私が、この目の前にいる男を、持っているナイフで刺して、その場から逃げようとしないのは______
「ねぇ、人を何人殺せば死刑になれるの」
もう、人を殺してまで、生きたくなかったから。
殺さないでくれと頭を床に擦り付ける様も、唯一無二の肉親を目の前で殺され、泣き叫ぶ子供の悲鳴も、刺したナイフから伝わる内蔵の感触も、血の臭いも。
この全部から逃げたかった。
「ねぇ、教えてよ、お兄さん」
お菓子をねだる子供みたいに、男に訊ねる。
「さぁな。その殺しが、お前自身が望んだものか否か......そこら辺で変わってくんじゃねぇの」
「ふっ。なにそれ。殺しに望みとかあるの?大体の殺人鬼は、自分が殺したかったから、人をころすんじゃない」
私だって、そうじゃないか。 自分が生きるために、人を殺した。
結局は、自分が一番かわいいのだ。
「俺は、お前がそんな極悪人には見えねぇよ。だってお前、良い奴じゃん」
この私の、どこが良い人に見えるのだろう。
そう思って、男に訊ねる。どうして、そう思ったの、と。
男は答えた。刑事の勘だ、と。
私は思わず、笑ってしまう。
「あははっ!お兄さん、面白いね。私、お兄さんになら、手錠かけられても良いよ」
そう言って、両手を男に差し出す。
男はズボンのポケットから手錠を取り出し、私にかけた。
「0時15分。殺人容疑の疑いで逮捕する。......死刑になんなかったら、会いに行ってやるよ」
「それは嬉しいね。たったの15分で、こんなにも絆されてしまうとは」
貴方のそのサングラス越しに見える、ツンとなっていて怖いけど優しい目が、どこか穏やかな、低い声が、うっすらと香る、その煙草の匂いが、また感じられる日を、何十年でも待っていよう。
もし、死刑にならず、刑務所から出ることができたら、真っ先に、貴方に会いに行く。
_____だから、それまで待っていてね。名も知らぬ刑事さん。

柑橘系ねこ (プロフ) [2022年6月2日 15時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

めっちゃ長くなりましたね、はい。
この刑事さん、名探偵コナンの松田刑事を意識しています。
ハロ嫁、めちゃくちゃ最高だった.........!!
語れる人を、募集中(о´∀`о)

柑橘系ねこ (プロフ) [2022年6月2日 15時] 2番目の返信 PCから [違反報告]

コナンの夢小説、書きたいんだけどなぁ

柑橘系ねこ (プロフ) [2022年6月2日 15時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

( っ'-' )╮ =͟͟͞͞♡ブォン
好き。

花陽 (プロフ) [2022年6月2日 19時] 4番目の返信 PCから [違反報告]

キュンっ

柑橘系ねこ (プロフ) [2022年6月2日 21時] 5番目の返信 PCから [違反報告]
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