シリエージョ・クロニクル

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断片

ゆえ (プロフ) [2015年10月25日 18時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

「貴方は御自分の事を理解なさってください。貴方は仮にも王族の末裔なのですから」
「…え、」
口から感嘆が零れる。
あの小さな国の端で酒場を営んでいた亜人が、本来は大きな城で贅沢をするべき身分だとはまさか思わなかったからだ。
「……言い直せ。没落一門の端くれだって」
足元の石ころを見つめながらルナが言った。
「なんと愚劣なことを。貴方様があの国へ帰れば、また栄えましょうぞ」
「まだ滅んでないのか?」
「前よりはだいぶ衰えましたが。高慢な貴族たちすらも、細々と力を合わせて生活しております」

ゆえ (プロフ) [2015年10月25日 19時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

「……昔はいい生活をしてたんだ。毎日豪華なメシが食えて、暑さ寒さに左右されないちゃんとした家に住んで、何より……優しい家族と一緒に過ごせて」
「でもな……そういうのって長く続かないんだ」

ゆえ (プロフ) [2015年10月25日 19時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

ある日、俺達兄妹は母親に呼び出されたんだ。
ようやくはっきり喋れるようになったばかりの妹にも真剣な顔をしてた母さんが怖かったのを今でも覚えてる。

「二人とも、よく聞いて」
「貴方達の父上はね――――本当の父上ではないの」

俺は何も言えなかった。
なんでも俺と妹は、母さんが他の男と恋に落ちた末に生まれた子供だったらしい。
でも仮にも貴族の一人娘、それもまだ成人してないにも関わらず二回も出産してしまった母さんが、両親や親戚から受け入れられた筈もなかった。
母さんは有無を言わせずにチルニアの王子に許嫁として差し出されて、俺達もそのままチルニア王室の養子になった。
何より俺達の本当の父さんは、一体どこにいるのかが分からないらしい。

「今まで隠しててごめんなさい……この国に売られた時から、ずっと貴方達に言うべきか迷っていたの……貴方達が、まさか正式なチルニア王族の子ではないのを知ったらどうなるのかが怖くて……」

ゆえ (プロフ) [2015年10月25日 19時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

「母さん」
「俺、大人じゃないから母さんの言ってることはあんまり分かんない。でも……だからって、母さんの事は好きなままだよ!」

ゆえ (プロフ) [2015年10月25日 19時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

「お父様ぁ、あの目障りなガキ共を出兵するのはどう?」
「貴方もまだ子供でしょう、ニファ」
「るっさいわよエドウィン!」
「まぁ確かに、アイツらが居ても居なくても俺達は退屈しないしな。別に戦争で野垂れ死んでもいいんじゃねーの?」

ゆえ (プロフ) [2015年10月25日 19時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

葬祭戦争
チルニア王国と大陸支配を目的とするテロ組織「黄龍会」の間に起きた大戦。

ゆえ (プロフ) [2015年10月25日 19時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

王室はなんだかんだ言って、俺達の事はどうでもよかったんだ。
義父である王はすぐに俺達と母さんを追放して、男である俺には厳しい訓練を受けさせた。
それも、王室関係者だったという事実を帳消しにして。

ゆえ (プロフ) [2015年10月26日 22時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

クシェラトニア大陸
大陸全土がひとつの共和国。特例は衰退したチルニア王国のみ。
チルニア王国
昔は栄えていたが、現在は衰退の一途を辿っている。
黄龍会
クシェラトニア大陸の「平等主義」に遺憾を示すマフィア。また、黄龍会が占める土地(国)の総称。

ゆえ (プロフ) [2015年10月26日 22時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]
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