シリエージョ・クロニクル
メッセージ一覧
ある日、俺達兄妹は母親に呼び出されたんだ。
ようやくはっきり喋れるようになったばかりの妹にも真剣な顔をしてた母さんが怖かったのを今でも覚えてる。
「二人とも、よく聞いて」
「貴方達の父上はね――――本当の父上ではないの」
俺は何も言えなかった。
なんでも俺と妹は、母さんが他の男と恋に落ちた末に生まれた子供だったらしい。
でも仮にも貴族の一人娘、それもまだ成人してないにも関わらず二回も出産してしまった母さんが、両親や親戚から受け入れられた筈もなかった。
母さんは有無を言わせずにチルニアの王子に許嫁として差し出されて、俺達もそのままチルニア王室の養子になった。
何より俺達の本当の父さんは、一体どこにいるのかが分からないらしい。
「今まで隠しててごめんなさい……この国に売られた時から、ずっと貴方達に言うべきか迷っていたの……貴方達が、まさか正式なチルニア王族の子ではないのを知ったらどうなるのかが怖くて……」

