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【ほやのSS】
おえと中央の女の子(夢主想定)の話

$3 (プロフ) [2023年5月3日 22時] [固定リンク] PCから [違反報告]

北の森は静かだ。
怒りがふつふつと煮えたぎっていても、オズに説教(物理)された後でも、まるで誰かに脳を弄られたように穏やかな気持ちになる。
新しく降り積もった真っ白な雪が、僕の真っ黒に染まった心を優しく包み込んで、隠して、殺していく。
日に焼けてボロボロになった紙切れを両手で握り、掠れた文字の羅列をただ眺める。
また会えたら、なんて馬鹿げた盲信でしかない。北の魔法使いに実力のみで対抗しようとする中央の嘘つきなお子様に感化されたのだろう。
彼奴は正義感が強くて、中央生まれらしい性格だった。
「……こうなるなら、心臓のひとつでも取っておくんだった」
「お前と違って、俺らや彼女は人生一度きりなんだぞ」
「そんなの知ってるよ。騎士様はそんなことも分からないの」
分かってる。分かりきってるんだってば。
僕がどんなに抵抗したって、宿命には逆らえない。
この世界に、年に一度必ず<大いなる厄災>が訪れるという宿命があるように、彼女もいずれ散っていくという宿命があった。
それが想定より早く訪れただけ。
「先に帰ってて。僕はまだここにいる」
「そう言われても、今回は共同でって賢者様に…………」
「分かったなら早くここから立ち去ってよ。邪魔しないで」
「日が暮れる前に帰って来いよ!」
僕と同じ双眼が暫く見つめてきたあと、何かを察したように横にずれた。
雪を踏んでいく足音がだんだん遠ざかっていく。そして全く聞こえなくなると、再び静寂に、雪の冷たさに包まれていく。
「……」
僕は彼女と"約束"した。
世間知らずな彼女に"魔法使いが結ぶ約束"について一切教えずに、無理やり。
人間がする約束と変わらない、口先だけでのこらない薄っぺらいものと勘違いした彼女は、簡単に僕と約束した。
約束は僕を……魔法使いを縛って、彼女も縛る。
僕のすぐ側へと。
首からかけたペンダントの装飾を指の腹で撫でる。
ぼやけた太陽が反射してきらりと光る表面には、雪に埋もれた紙切れがうつった。
彼女は僕が死ぬまで、永遠に僕に縛りつけられる。
僕の身体も、彼女に縛りつけられる。
これは、僕たちの約束で狂った運命なのだから。
「ずーっと、君の不幸は僕のもの。」

$3 (プロフ) [2023年5月3日 22時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

未完成
なんかの拍子でやる気が出たら続き書きます

$3 (プロフ) [2023年5月3日 22時] 2番目の返信 PCから [違反報告]

「死ね」
マントの裏からトランクを取り出して素早く鍵を外し、奴の前に突きつける。
自ずと隙間から三つの顔を覗かせた猛獣に首元を噛み付かれた女は、激痛に顔を歪ませて必死に藻掻く。
足を滑らせて冷たいコンクリートに倒れ込んだのを確認して、ケルベロスを無理やりトランクにしまいこみ、女の腹の上に跨る。
とめどなく流れる様々な液体を気にせずに女の頬を片手で掴み此方を向かせると、化物を目撃し助けを乞うような、被害者ぶった表情をしていた。
額にまで飛び散った鮮血を辿ると、三つ首に食い千切られて爛れた皮膚や肉が主張していた。
自分がどんな状況に置かれているのかやっと理解した愚かな偽物は、先程までの年頃の少女のような微笑みを作れずにただ震える。
浅い息を繰り返して冷静さを取り戻そうとする女の耳元に口を寄せ、地獄を這うような声で呟く。
「可哀想な女」
ほんのりと赤く色づいていた頬は更に鮮やかな赤で蓋をされ、それを親指で拭うと今度は淡い青に染まる。
「僕がこんな疎い嘘に騙されると思った?」
木の実の色の艷やかな髪、晴天をうつしたような丸い瞳。すらりとしているけど触れたら柔らかい体。
容姿は完璧に近かったけど、お前はお人好しではなかったね。

$3 (プロフ) [2023年6月3日 22時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

「お前はもう用無し。無意味なひとときをありがとう」
皮肉げに肩で笑い、女の首に手をかける。
ああ、人間を殺してきたなんて言ったらどうなるだろう。晶はどんな顔をする?きっと今までに見たことのないような_____絶景だろう。
恐怖で縮こまった女は、朦朧とした双眸で僕を見上げ、言葉を失った。
そうだよ、お前は死ぬんだ。誰にも知られずに、ここで、僕によって。
僕が憎い?悍ましい?……僕を殺したい?
無駄な抵抗。ろくに鍛えてもいない小娘が僕に勝てるわけないでしょ。
「《ポッシデオ》」
「っ、!!!が、ァ……ッ"は……!!?」
首筋に爪を立てた瞬間、頭に……正式には脳に鋭い刃で刺されたかのような激痛が走る。
思わず手を離し、喉奥から絞り出したような声にならない叫びをあげて女の横に倒れる。
全身の血が沸騰しているかのように熱くて、視界が霞む。
鼻や口から溢れ落ちた体液がびちゃびちゃとコンクリートを濡らし、じんわりと染み込んでいく。
……ほんとうに下劣な奴。

$3 (プロフ) [2023年6月9日 19時] 4番目の返信 PCから [違反報告]
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