Espoir.

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『へぇ、いいの撮れたじゃん』
「はい!自分でもそう思います」
数日後の放課後。部室にて。
プチコンテスト用の写真を提出した所、彼の写真を見た部長がそう呟いた。
どこか誇らしげに笑った彼女を見て、部長もくすりと笑みを浮かべてからプチコンテスト用の封筒に写真をしまい込む。
そのままミーティングとまでは言わないがプチコンテストについての軽い話し合いを済ませて、今日の部活はお開きになった。
外の様子を確認すれば、既に夕暮れ時。慌てて腕時計で時間を確認すれば、いつもはもう屋上について写真を撮っている時間帯になっていた。
友人に「一緒に帰ろう?」と誘われ一緒に帰りたい気持ちはあるものの、いつものお楽しみである夕暮れ時の写真を撮るためにやんわりと断りを入れて鞄とカメラケースを肩にかける。
さすがに屋上まで行く時間はないので、割と見晴らしのいい階段まで行き夕暮れの空を写真に収めた。
ここで撮る写真ももちろん綺麗なのだが、屋上で撮る夕暮れ時の空が1番綺麗だと、彼女は思っている。
それからまた何枚かを写真に収めていたのだが、気付づけば聞き慣れた下校を告げる放送と音楽が耳に届いて今日も慌てて靴箱へと向かった。
急いで上履きからローファーへと履き替えていた時。ふと、中庭の方から彼が出てきたのが見えて更に慌てて靴を履く。
「桜庭くん…!」
彼が帰らないように、遠くにいる彼を呼び止めるため少し大きめ声で初めて呼ぶ彼の名前。
突然呼ばれた事に対して驚いているのか、それとも別の理由があるのか、なんとも言い難い表情でこちらを振り向いた彼に急いで駆け寄った。
「今帰りなんですね」
少しばかり走ったので少し息は上がったのだが喋れない程ではないのでにこりと笑いながら直ぐに口を開く。
「伝えたいことことがありまして。
あの写真、今日部長に提出したんです。それで、プチコンテストは明後日から始まる事に決まったので明日の放課後に写真を貼り変えることになりました。」
と。
彼の写っている写真をプチコンテストに提出したので、一応その報告を明日しておこうと思っていたらしい。
けれどもナイスタイミングというべきか、丁度のタイミングで彼と出くわしたので今報告をしておくことにしたのだ。
「あの写真、部長も褒めてましたよ」
なんて、嬉しそうにそんな事も付け加える。

うる (プロフ) [2019年3月25日 18時] 6番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

たどたどしく、どこか言いづらそうな表情で自分の名前を呼ぶ彼。
その表情が何となくひっかかって、自分の名前に続く言葉に全集中力を注いでから耳を傾ければ『本当に俺なんかの写真でよかったのか』と、そう問いかけてきた。
一瞬彼の問いかけた言葉が理解出来なくて思わずキョトンとした表情を浮かべてしまったが、直ぐに頭をフル回転させて真剣な表情で彼を真っ直ぐに見つめる。
「“俺なんか”なんて言わないでください。桜庭くんの写真がいいんです…!」
詳しい理由を言えと言われれば言葉に詰まってしまうのだが、直感と呼ぶべきか…自分の心が惹かれたからこそ、それを信じたいと思った。
何度その写真を見てもあの時の感動や衝撃、風の音も花の匂いも木漏れ日の温かさ。整った彼の横顔も綺麗な黒髪も色白な肌も。
その時の状態を全部思い出すことが出来る…心が惹かれるというのはこの事を言うんだと。
絶景と呼べるようなものを今まで見てこなかったのかと問われればそういうわけでもなく、毎日のお楽しみである夕暮れ時の景色も息を呑むほど綺麗じゃないのかと言われれば絶対にそうじゃないと断言もできる。
けれど、それらを全部引っ括めた上で彼の写真が良かった。
あんなに無意識のうちにシャッターを切ったのは初めてで、視線も心もその全てが彼に惹き込まれたのだ。
そう思った彼の写真は、自分にとっては“とっておきの1枚”。誰がなんと言おうとも特別な1枚なのだと胸を張って言える。
あの状態で心が惹かれたのは他の誰でもなく彼だ。あの日、あの時、あの場所で、彼だったからこそ心が惹かれたのだと思う。
「あんなに心惹かれた写真は初めてなんです!あの写真以上にとっておきの1枚だ!って、胸を張って言える写真は私が撮ってきた写真の中にはありません…!!」
と、決意の篭った瞳で彼をじーっと見つめた。
“俺なんかの”なんて言わないでほしくて、どうにか彼にもあの写真を素敵な写真だと思ってもらいたい……。ただその一心で、そんな言葉を口にする。

うる (プロフ) [2019年3月26日 0時] 7番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

気持ちはちゃんと伝わったのだろうか。
という不安を抱きながら『それだけ?』と問いかけた彼の言葉にコクリと頷いた。
言いたいことは言えたと思うし、なにより自分にとってあの写真がどれだけ大切で大好きなのかというのも改めて知ることができて良かったと思う。
興奮気味だったとはいえ、あんなに熱弁してしまった事を後悔はしていないがどこか恥ずかしさというみのはあった。
ふぅー…。と、小さく空気を吸い上げて肺に送り込めば、ゆっくりとその空気を外に吐き出す。
そうすれは、頭の中がスッキリとした。先程までの興奮しきった感情はどこかに消えていってしまったらしい。
冷静になった頭で先程のことを振り返っていれば、とある事に気が付いた。
(あれ…?私桜庭くんに名前言ったっけ…?)
話すきっかけとなった数日前のことを1つ1つ振り返り確認をしていくが、名前を言った覚えはやはりない。
ましてや彼自身が彼女の名前を聞いてこなかったというのもあり、自己紹介をする機会も全くなかった。
ということはやはり、自分の名前を彼に言っていないのだ。
けれども彼は先程の会話の中で『橘さん』と平然と名前を呼んだ。語尾にはてなマークを付けない感じだったということは、彼は彼女が『橘』であると言うことを確信している上で名前を呼んだということになる。
「あ、の…桜庭くん。さっき私の名前呼んでましたよね?何で私の名前を知ってるんですか…?」
私名前言ってませんよね…。なんて、付け足すように呟いてからちらりと彼の横顔を見た。
1年生の頃は全く話したことがなく、だからと言って彼女が目立つような事をしていたのかと言われればそうでもない…そんな平凡な自分は彼に認識すらされていないと思っている彼女にとって、それは衝撃以外の何者でもない。
ただただ驚きの眼差しで、彼を見つめることしか出来なかった。
彼からの返事に、じーっと耳を傾ける。

うる (プロフ) [2019年3月30日 18時] 8番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

1回も話したことのない自分の名前を彼が覚えてくれていたという事に、驚きと共に嬉しさを感じた。
深い理由はないにしろ、やはり誰かに自分の名前を覚えてもらえていたということは喜ばしいことで、頬が緩んでいくのがわかる。
けれども、彼の『君こそ僕の名前忘れてたろ』という言葉により緩んだ表情がキョトンとした表情に変わった。
(もしかして忘れてると思ってるのかな…。)
確かに今思い返せば彼が『俺、2年2組の桜庭だから』と言うまで彼の名前を多分呼んでいなかった気がする。
呼ぶ機会がなかったとも言えるが、彼の名前を呼んだのはそう言われた後の事だったので彼からしてみれば名前を忘れていたのだと結論づける以外ないのだ。
そっか~。と1人心の中で納得すればにこりと小さく笑みを浮かべて彼の方に顔を向けた。
「ふふ、覚えてますよ。桜庭 清泉くんですよね。清いに泉って書いて、清泉くん」
そう呟けば、彼は微かに驚いているような表情を浮かべてちらりとこちらを見る。そんな彼の表情を見ればやはり彼女が自分の名前なんて覚えていないだろうと思っていたのは明確で、またクスッと笑みを浮かべた。
そのまま、上記の言葉に続けるように口を開く。
「クラスの名簿を見た時に、綺麗な名前だなぁって思ってて。」
以前、彼女がまだ1年生の頃に友人から『桜庭くんは自分の名前が嫌いらしい』という話を聞いた事があった。女の子っぽい響きの名前が嫌いなのだと。
彼女自身、自分の名前を嫌いだと思ったことはこれまで1度もない。
『和花』なんて、のんびりとした名前だと感じたりはするものの嫌いとまではいかず、寧ろのんびり屋な自分にぴったりな名前だとも思っているので名前が嫌いだという彼の気持ちはわからない。
わからないが、彼の名前は素敵だと思うのだ。
それに、彼の雰囲気にはピッタリの名前だとも思うのだが、その事は彼女の心の内に閉まっておくことにした。
数日前は少ししか会話も出来ず、1年生の頃は全く会話をしなかった彼と、今こうやって沢山話せている事が、彼女にとっては嬉しくもあり楽しくもあり笑みを深める。
とはいえ、人の名前を1年で忘れるほど馬鹿じゃないということは、1年生の頃のクラスメイトの名前を彼は覚えているのだと、人の名前を覚える事を苦手としている彼女は密かに素直に関心していた。

うる (プロフ) [2019年3月31日 17時] 9番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

彼の言葉を聞きながら、笑みを浮かべた表情で首を横に振った。
特別何かが可笑しいわけでもない。ただただ彼と話せている事が嬉しくもあり楽しかっただけである。
だから『何にも可笑しくはない』という意味を込めて首を横に振り、その気持ちを伝えようと更に言葉を付け足した。
「違うんです。ただ、嬉しくて」
そう言えば、ちらりと彼の様子を伺うように視線を向ける。
すると、彼女の発言に彼は驚きとけれどもどこか不思議そうな。そんな表情を浮かべていた。
たった数日のちょっとしか話していない間柄ではあるものの、彼からは大人っぽい雰囲気をいつも感じている。現についさっきまでもそうだった。
そんな彼が上記のような子供っぽい幼さを感じる表情を浮かべていた事にほっこりと心が暖かくなるのを感じるのだ。
新しい一面を知ることが出来たみたいで更に嬉しさを感じる。
自分の頬が更に緩んでいくのが分かった。
「1年生の時は全く話せなかった桜庭くんと、今こうして沢山話せている事が嬉しいんです。嬉しくて、楽しくて。だから笑ってました。」
人との出会いというものは本当に不思議なものだと、そんな考えがふと頭に浮かぶ。
どんな事がきっかけで関係が築かれていくなんて、誰も分からないし想像もできない。
きっかけなんて、運命や神様以外誰にも分からないのだ。
だから、彼とのきっかけだって誰も予想もしていなかった事でましてやそのきっかけとなったものが盗撮もどきの出来事だなんて。
彼女も、もちろん彼も、周りの人達も。誰も予想なんて出来ていなかった。
(神様ももう少しまともなきっかけを作ってくれても良かったのに。)
なんて、心の中でボヤいてみる。
まぁ、どんなきっかけであれ、彼とこうして話せる事は彼女にとって喜ばしい事に変わりはなく、出会わなければ良かったと悔やむことはないのだ。
ただ、もう少し、ちょっとだけでもいいからまともな出会いをしたかったというだけの話である。
とはいえ、彼女自身、彼と話せている事が嬉しいことに変わりはない。
けれどそれは、彼女だけの話。彼もそんな気持ちを持っているとは限らないのだ。
放課後休んでいる姿をいきなり許可もなく写真に撮られ、ましてやそれをプチコンテストに提出したいなんて我儘を言われて。
彼にとって、これは面倒事以外の何者でもないだろうなぁ。と、今更ながらに思うがもう遅い。手遅れである。
「桜庭くんにとっては面倒事に巻き込まれたって感じかもしれないんですけどね。すみません。」
あはは、なんて小さく笑みを零しながらそう呟いた。
申し訳なさと、でも隠しきれていない嬉しそうな笑み。そんな複雑な笑顔を表情に浮かべ彼の方に視線を向ける。

うる (プロフ) [2019年4月19日 23時] 10番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]
(C) COMMU