Snow
メッセージ一覧
やな (プロフ) [2019年6月30日 3時] 1番目の返信 [違反報告]人間には表の白色と裏の黒色があるもので、いつも黒色 裏になりきっていた君はいつしか色を失っていった。何色かも分からないほど色褪せてしまった君に何色が似合うだろうかと考えるのは夏の交差点のど真ん中にいる俺。
あの人の服の色に染めてしまおうか、あの人の声の色に染めてしまおうか。
子供の頃絵の具セットを開くと何色もの絵の具があって、それがカラフルだと言えるほどに揃っていたにも関わらず、こんなにもワクワクしなかったのは色を付けるのが彼女ではなく雑に下書きされた画用紙だったからだろうか。
それとも何色だとも表せない色達が俺の目の前に〝どうぞ使ってください〟と沢山用意されているからだろうか。
いずれにせよ彼女に色を付けなければ。あんなにも美しく、面妖で、死んでしまった瞳でさえも何故か生の魅力をどこかで感じてしまうような人間はどこにもいない。
そう思って何度も色を探し、その色に染め出すも、結局彼女に似合う色は見つからなかった。
思い切って彼女に聞いてみることにした。
「何色が良い?」
「あなたの色が良い」
背後に這う彼女の何色にも染まっていない腕はまるで蛇のように絡みつき、俺の色に噛み付いていく。
何色か言い表せないヘンな色を好きになるなんて彼女も変わり者だし、俺の色をあげてしまいたいなんて満足感と独占欲と、まぁ何でもかんでもそこに感情を詰め込んでしまう俺も、最初から俺が君を染め上げてしまえばよかったなんて思う俺も案外変わり者だ。
「俺の色はどうよ、」
「素敵ね」
なんて、夏の暑さが残る夜の終わり。