Snow
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やな (プロフ) [2018年8月28日 15時] 4番目の返信 [違反報告]ふと思い立って、鏡に触れてみた。
そこにあるはずの鏡は、なかった。いや、正確にはあるんだろう。でも、何故か僕の手は鏡の中の何かに触れた。
そこにいる別人に___ボクに、触れているんだ。
「……え?」
僕の声は、小さな部屋に大きく響く。その声すら、鏡のボクのように思えて 何度も声を出した。繋がりのない、途切れた単語としてもならないもの。
似ているでは足らない、他の言葉で表したいほどにボクは僕だ。今話題の特殊メイク?それともドッキリ?いや、僕にドッキリしてくれる人なんていない。ましてや、この部屋に誰も入れた事はない。
背筋を氷でなぞられたかのように、ぞわっとした感覚が体全体に広がった。
振り向いて、同じ動きをしていないんじゃないかと また鏡を見る。
「誰、なんだ……?」
どろっとした言葉が、独り言を言ったみたいに溶けて消えて行く。
やな (プロフ) [2018年9月10日 3時] 7番目の返信 [違反報告]僕は僕なはずなのに、
僕はボクなはずなのに。
ボクはボクなはずなのに、
ボクは僕なはずなのに。
___________
ぐるぐると頭の中を駆け巡る痛みが、僕を襲う。必死に両手で頭を抑えた。どうにか痛みを止めようとする僕の両手の力も、痛いかもしれない。
浮かんではすぐに無数の記憶の海に沈む、見た事のない記憶。
目の悪い人みたいになった、僕の視界。
輪郭のはっきりとしない視界が、無意識のうちに鏡を映した。
その瞬間、鏡の真ん中から四方向に向かって亀裂が入った。蜘蛛の巣のように張り巡らされた亀裂を境目に、パラパラと割れた鏡の破片が落ちていく。金属製の蛇口に当たった破片は、洗面台に落ちるよりもずっと音を響かせて 洗面台の中へと落ちた。
「どういう、事なんだよ……」
僕の顔が、バラバラに切り裂かれたように鏡に映った。
やな (プロフ) [2018年9月10日 4時] 8番目の返信 [違反報告]そこからは簡単で、早くて、まるで40秒で終わる短い広告を見ているようだった。
そこに鏡はもうないのに、ボクはそこにいたんだ。当たり前だけど、僕じゃないボクが。
ボクは僕の手を握った。鏡を直して欲しいと言うかのように、潤んだ目で僕を見てくる。
「直すから、心配するな」
そう言うと、ボクは まるで口と口の端を手で吊り上げたかのような、ぎこちない笑顔を見せた。
「分かったよ」
ボクの顔が、切り裂けていく。まるで、割れた鏡に映った顔みたいに___。
とんでもない力が僕を引き寄せた。
痛いと感じる時間もなく、僕は暗闇に引きずり込まれる。
微かに、割れた鏡の破片が、カタカタと震えていたような気がした。