Snow

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やな (プロフ) [2018年6月19日 1時] [固定リンク] PCから [違反報告]

「バッカみたい」
と、彼女は笑った。
瞳には花火のたくさんの色が映っていて、その中にはちゃんと僕がいたんだ。
ただ息を切らして、彼女を見る僕が。
浴衣を身に包んだ彼女の視線は、ぱちりぱちりと違う方向へ向く。
その視線の先には何があるのだろうか。
そう思い、ついつい追ってしまうほどの凜とした瞳。
いつもストレートで、ふんわりシャンプーの香りで包み下ろしていた髪の毛は、満開に咲く花のようになっていた。
うなじが見えるほどの高さのその髪型は、まるで花束だ。
夜空に咲く花火のように、美しい。
思わず見惚れてしまうほどだった。
「……ごめん、遅くなった」
花火は、ひゅ〜と、呼吸の音と混じるように一筋の光として空に上がっていく。
その光は、真っ暗闇に消えたかと思うと、ドンっと大きく咲いて 散って夜空を彩る。
花火の音が耳に残った。
彼女は、僕から目を逸らすように、少し高めの茶色のガードレールに手をかけて花火を見上げる。
まるで、花火の色は頬に色をつけるのを楽しんでいるように たくさんの色を塗っていく。
僕もガードレールに手をかけて、ふっと下を見ると 浜辺には歓声を上げて花火大会を楽しむ人達がいた。

やな (プロフ) [2018年6月19日 2時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

「夏も、終わっちゃうね」
一つ間を空けて、彼女はそう言う。
僕は、その彼女の声に応答はしなかった。
何故なら、僕と彼女の夏はまだ始まってもいないのだから。
僕の夏は、もう既に一ヶ月ほど前から始まっている。
でも、僕と彼女の夏はまだ始まっていない。
多分、今はゴールの見えない夏を作る事しか出来ないだろう。
でも、僕はそれでいい。
ここで花火のように散っても、散らなくても、まだ夏は終わりやしないから。
__夜空の花束は、僕の背中を押してくれているような気がした。
「終わらせないよ」
ぎゅっと、彼女の細い手首を片手で握る。
視界には、夜に咲く花束と、昼に咲く花束しか見えない。
他のものを見ることなんて出来ない。
彼女は、ずっと僕の目を見続ける。
何も言わず、ただジッと__大粒の涙を、流す。
彼女の瞳からは 濁りのない、ただ透明な涙だけが溢れていった。

やな (プロフ) [2018年6月19日 5時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

昼間の花束と、夜間の花束。
貴方は、どっちが好きですか。
__貴方は、どっちを受け取りますか。

やな (プロフ) [2018年6月19日 23時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

やな (プロフ) [2018年11月22日 3時] 4番目の返信 PCから [違反報告]

やな (プロフ) [2018年11月22日 3時] 5番目の返信 PCから [違反報告]

やな (プロフ) [2018年11月22日 3時] 6番目の返信 PCから [違反報告]

やな (プロフ) [2018年11月22日 3時] 7番目の返信 PCから [違反報告]

【__夏
花束に代えて、彼女を】

やな (プロフ) [2018年11月22日 3時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]
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