Snow

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やな (プロフ) [2018年6月3日 3時] [固定リンク] PCから [違反報告]

薄っすらとした霧のかかる全てに、私は目を凝らす。
頭が回らず、はっきりと視界が開けるのは数秒後の事だった。
霧の奥には、色とりどりの建物や道、そして人間がいた。人の頭上には、数えたら何億個に届くのではないかと思うほどの言葉達。そもそも、そこまで数える気力はないが。
私は何度も目を凝らし、もっと奥を見ようと状況を理解しようとするが どの物も道も言葉も人も、輪郭ははっきりしていなかった。
それでも、全てに表情や色があるように思えた。
悲しい、くすみがかかった青色。
楽しい、輝くような 弾けるような橙色。
それは 私が普段生活している世界の伝え方であって、ここで通用するかは分からない。
でも、確かに私はそう感じたのだ。

やな (プロフ) [2018年6月3日 3時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

この訳の分からない、いわば異世界からしてみれば こちら側が異世界だと思われる確率は高いだろう。
何故なら、今私もその状況に陥っているからだ。
ここは普通の世界じゃない。
私が間違えて踏み込んでしまった、歪みの世界かもしれない。
いや、歪みというよりかは、狭間のような……何かを繋ぎとめようとした、その間の空間なのかもしれない。
ともかく現時点で私に出来ることは、考察を頭の中で行き来させる事だけだ。
体は怖くて動きゃしないし、周りだって何も動かない。動こうとしていない。意思が感じられない。
〝虚無の世界〟
一番しっくりくるような言葉だった。

やな (プロフ) [2018年6月3日 4時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

真っ白な大地。真っ白な空気。真っ白な空。真っ白な全て。
色も形もありきたりで、平凡だ。
私の嫌いな 普通の世界でも個性は少なからずあるはずなのに、この世界は無個性すぎる。
まるで、何も描いていないキャンパスのようだ。
この世界を作った奴は、多分どの個性も持ち合わせていない。言うならば、新品のまま取っておくか……それとも、悩みに悩んで何も描けなかった 優柔不断なタイプだ。

やな (プロフ) [2018年6月3日 4時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

だけど、正直言ってしまえば そんな優柔不断な奴が、個性を持ち合わせていない奴が。
わざわざこんな世界を作って__いや、わざわざこんな世界を作れるほどの能力を持ち合わせているとは思えない。
一体、この世界はどんな奴が作ったのだろうか。
普段生活している場所じゃ、そんなのは気にならないはずなのに……どうも、異世界は空気も考え方もガラッと変わるように出来ているらしい。

やな (プロフ) [2018年6月5日 2時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

この異世界……いや、この霧から抜け出した時 この世界はどんな形や色をしているのだろうか。
今が夜であれば月は黄色でないかもしれないし、今が昼であれば太陽はアノ太陽でないかもしれない。
私が当たり前と思うものが、ここで当たり前じゃないかもしれないという恐怖は体全体に埋め込まれていく。
ここでぼーっと過ごす時間全て、ただ私をこの異世界を取り巻く何かに陥らさせるもののような気がした。

やな (プロフ) [2018年6月10日 3時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

私がここから一歩動くまで、何時間。
霧を抜け出すまで、何十時間。
この異世界から抜け出すまで__何日、何か月、何年。
果てしない時の流れを察すると、余計に体は動かなくなった。
霧の向こうの何もかもも、動かずただじっとしている。ハリボテのようだ。
音だって聴こえない。
空気だって感じない。
匂いだって匂えない。
__じゃあ、私の呼吸の音は?
私の心臓の音は?私の体は?私の匂いは?
私の何かは、知らぬ間に抜け落ちていくのだろうか。
咄嗟に左胸の所へと手を当てた。
まだ、どくどくと大きくなっていくような鼓動を感じる。
その後 すぐに深呼吸をした。
深く、深く、呼吸というものがまるでそこにあるかのように。
すると、すぅと吸う音とはぁと吐く音が聞こえた。
次に 私の服の匂いを嗅げば、柔軟剤の甘い香りが鼻を通った。
まだ私は生きている。
今行った確認事項すべてが、そう証明してくれた。

やな (プロフ) [2018年6月10日 3時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

何も行動していないのに、安心したり怖くなったり不思議に思ったり__結局喜怒哀楽しか表せていない自分にガッカリする。
惨め、と自虐的に喉が嗤う。
ただそれを何度も繰り返して、私はここでぼーっとしている。
お腹はぺこぺこで、今度は まだ見慣れている真っ暗の世界に落ちるような眠りにつきたい。
それでも、気が張っているのか 恐怖心が勝つのかどうかは分からないが 目は見開いている。

やな (プロフ) [2018年6月10日 6時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

このまま何も考えずに寝てしまいたいと思い、ふと地面に触れてみる。
触れた一秒後に思い返せば、これがこの異世界に来てから初めて動いた瞬間だった。
ひんやりとした大地……というよりかは、ひんやりとしたコンクリート。地面だ。
撫でるように手を動かせば、もっと無機質な 人工的な触り心地を感じる。
今まで感じていた空気が、ひんやりと変わっていくような気がした。

やな (プロフ) [2018年6月10日 19時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

__今の自分には、これが精一杯だ。
そう思った瞬間、
「やっと動いたか」
と、頭上から声が聞こえた。
首が小さくごりっと音をたてる程、真上を慌てて向く。
少しムッとした表情に、ふんっと鼻を鳴らし私の隣に座る彼。
容姿は不思議に思うほど変ではなくて、今話題の俳優のように 目鼻立ちが整い隙のない顔立ちをしていた。
私はただ彼をじっと見つめ、唖然としているしかない。
「……何だよ、そんなに俺の顔おかしいか?」
じろりと横目で私のことを見る彼は、ふてぶてしい態度を見せる。
「あ、の……」
精一杯出した声は、彼に届かないほど小さな掠れたもので。
彼の全てが疑問なのに、聞こうにも聞けないもどかしさが苛立ちを大きくさせる。
「あ、もしかして俺に見惚れてんのか? まあ、そうだよな。この世界じゃトップを誇るイケメンだもんな__」
ぐっと息を飲み込んで、私はずいっと彼に近付く。
「あ、あの、この世界って何なんですか?!」

やな (プロフ) [2018年6月10日 20時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]

彼は私の声に驚いて目を見開き、手を後ずさる。
そのまま何秒か過ぎると、彼は〝あぁ〟と何かに納得したような声を漏らした。
「お前、ここに来たの初めてか?」
まるで彼は、聞かなくても分かりきっているが確認のため__と、確信しきったかのような表情をしていた。
私は ずいっと乗り出していた身を元の体勢に戻してから、こくりと頷く。
彼は〝やっぱりな〟と言うと、この世界のことについて話し始めた。

やな (プロフ) [2018年6月11日 1時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
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