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突発ネタ

ペンネグラタン (プロフ) [2019年5月22日 0時] [固定リンク] 携帯から [違反報告]

「……セイム」
マントを少し引っ張られた青髪の青年は振り向く。
少し頬を赤らめた、紫髪の少年が、その灰色の目をさまよわせながら、控えめに言った。
「その、今夜……」
すると、セイムと呼ばれた青年は察したようで、ほわりと微笑む。
「もちろん、いいよ。シリンならいつだって」
シリンと呼ばれた少年は恥ずかしげに顔を俯けると、こう続けた。
「……今日は僕が上でもいい?」
シリンの発言にセイムは驚いたように黒い目を見開いた。それから悪戯っぽく笑う。
「どうしたの? 積極的だね」
「その、たまには……と思って」
そっか、とセイムが笑い、優しくシリンを引き寄せた。それに応じてシリンが、セイムの頬に口づけをする。それでは飽きたらぬというように舐めるように頬から唇へ。その口づけは徐々に熱く、深くなっていった。
拙く絡められる舌を愛しく舐めとるセイム。シリンと繋がっていられることが嬉しくて、その紫の綺麗な髪に触れた。正確には紫がかった灰髪なので、シルバーに透けてシルクのようだった。
「ぁっ……」
熱を帯び始めたセイムのそれにシリンの右手が布越しに触れる。気持ちいいとも思ったが、布越しの感触がもどかしくて、ねだるように腰をシリンの方へ寄せていく。
そうしたら、シリンが背中に腕を回し、優しく膝から崩れて、セイムを地面に押し倒した。乱暴さはない。シリンの繊細な動きの一つ一つにセイムは愛しさが溢れて、更に深く、息を絡める。
溺れるような苦しさと共に、愛欲にまみれた気持ちに体が支配されてきて、シリンが口を離すと、セイムは思わず「もっと……」と呟いてしまった。
「いつものことだけど、セイムは欲張りさんだね」
欲張りにさん付けだなんて、シリンも可愛いなぁ、といつもの調子で言おうとしたが、マントを払われ、ズボンに手をかけられて、シリンが本当に自分に、という思いに囚われ、それどころではなくなってしまった。
耳まで紅潮しきったセイムの様子に、シリンが「可愛い」といつもの意趣返しのように耳元で囁いてやると、セイムはあわあわと言葉を探せない子どものように口をぱくぱくとさせた。
シリンがそれに触れると、セイムの吐息が艶めいたものに変わっていく。もうセイムはわけがわからない快楽が怖くて、シリンにしがみついた。
「大丈夫、僕だよ」
シリンのその言葉に、緊張していた体からするりと力が抜けていくのを感じ、同時に全てをシリンに委ねることにした。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月23日 23時] 1番目の返信 携帯から [違反報告]

「また自傷したんですか」
呆れたような声が赤髪の青年に降りかかる。弾かれたように見上げると、青年の前には黒髪に金色の目が印象的な女性とも男性とも取れる人物が立っていた。もっとも、赤髪の青年は目元に包帯を巻いていて、それが見えているのかどうか、定かではない。
金目の……彼は扉から入ってきたようで、咎めるような目を向けながら、静かに扉を閉める。
視線の先には赤髪の青年の左手首。そこは切り裂かれて、赤黒い液体がだあだあと流れていた。
「アイラ、いくら自分の血を流したって、過去の罪はなくなりませんよ」
「わかってるよ、キミカ。だが」
アイラと呼ばれた赤髪は俯き、その長い前髪が、包帯までをも覆い尽くすように影を射した。
「俺はもう、自己嫌悪する以外、どうしたらいいかわからないんだ」
いつも通りの受け答えだった。アイラとキミカの日常茶飯事。キミカも呆れながら、それを治療しようと手を伸ばし……それからふと、何を思ったのか、流れる血を舐め始めた。
手首の上を滑らかに滑っていく小さい舌の感覚に、アイラからはひゃ、と悲鳴のような喘ぎのようなおかしな声が出る。アイラも妙な心地だった。自分の血なんて穢いからやめろ、と言いたいのに、どこか気持ちよく思って、やめろと言い出せない自分。
自分の血を舐め、貪るようなキミカの姿に官能的なものを覚え、アイラがふるふると首を振る。どうも調子が狂っておかしい。
手首を離そうとするが、キミカがその大人しげな風貌とは裏腹にがっついてきて、逃れられない。
「……ふふ、美味しい」
キミカはふわりと香る鉄錆の匂いに酔ったかのように、そんなことを呟いた。ぶわりとアイラの中の熱が身体中を巡り、一ヶ所に溜まっていく。
少し苦しくて、解放したい気持ちに囚われていると、それを見通したかのように、キミカがそれに触れてきた。布越しでも、固さを持っているのがわかる。
「ぁ、やめ……」
「やめてなんて言うんですか? あなたの体は、やめてほしくなさそうですが」
そのまま、ずるりと剥き出しにされ、布が擦れただけで反応してしまい、成長したものが飛び出す。
「血が美味しかったですから、こちらはどうでしょうね」
キミカの舌がそれに触れる。やめろと言いたいのに、快楽がその言葉を薄れさせていく。
やがて波に呑まれながら、アイラはキミカにすがった。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月24日 13時] 2番目の返信 携帯から [違反報告]

つ、つ、とそれの輪郭をなぞっていくキミカの舌。アイラのそこは敏感にびくびくと反応する。
アイラも、気持ちよさに言葉にならない喘ぎをこぼしていた。それがキミカを煽っているとも知らず。
キミカはやがて、焦らすのをやめ、それを口にくわえた。じゅる、と音を立てながら、吸い上げていく。その快感にアイラの全身が呼応して、熱くなっていく。力が抜け、ぱたりと床に倒れると、労るようにキミカが腰を撫でる。その細い指の感覚が体が熱いせいで、細やかに感じ取れる。ひやりとした指が、アイラの体の線をなぞり、まさぐる。ぞくり、としながらも、それは悪寒ではなく、むしろ熱は増して、キミカにくわえられたそれはもう破裂しそうなほどに膨らんでいた。
キミカが留めのように口内で器用に扱き、アイラは絶頂に達する。
少し放出された量が多かったようで、口を離したキミカが咳き込み、口の端からそれが少し垂れたのを拭っていた。
それを見たアイラが、拭った手を奪い、手の甲をちらりと舐める。キミカがびくん、と反応した。
意趣返しが成功したのをいいことにほとんど裸の姿にされたままのアイラは起き上がり、今度はキミカを押し倒す。突然のことにキミカは目を白黒とさせるも、やがて受け入れるようにアイラの頬を撫でた。
アイラは吸い寄せられるようにその唇と唇を重ね合わせ、キミカを吸い尽くすように貪る。
キミカの表情が恍惚に蕩けていく。やがて、息が荒くなり、少し冷たかったキミカの肌も熱を帯び、赤らんできた。
そこでアイラはキミカの首元の服をはだけさせ、首筋にかじりついた。
ぴりっとした感覚におかしくなった快楽中枢が喘ぎを出させ、覆い被さるアイラを抱き寄せる。少しくらりとするが、その感覚が堪らなく、癖になりそうだった。
アイラは血を吸っていた。キミカが愛しくて。
キミカは興奮覚めやらぬようだったが、少し顔からは血の気が失われ、アイラは自制を働かせながら、キミカから口を離す。
そのとき、何の反動か、アイラの目を覆っていた包帯がほどけた。宝石のような藍色の目が露になる。
「やっぱり、綺麗です……」
恍惚を残したままの笑みを浮かべ、キミカが思わず呟くと、アイラが笑った。
「お前の目も愛しいよ、ア、ル……」
呟いてしまった名に、アイラの自己嫌悪が復活する。キミカは固まるアイラを抱き寄せて囁いた。
「いつか、私の名前で呼んでくださいね」
それまでは身代わりでいいから、と。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月24日 14時] 3番目の返信 携帯から [違反報告]

「あいん、すきー」
「誰ですかフランに酒飲ませたの」
不思議な双子がいた。一卵性なのだが、容姿も性格も一切似ていない。
アインと呼ばれた少年は茶髪蒼眼で見るからに生真面目そうだ。対して、今ぐでん、とアインの肩にのしかかっているフランは翡翠色の髪に琥珀色の目をしている。普段は長い髪を縛っているフランだが、帰ってくるなりほどいて、ふわふわとした髪がアインの肌に触れる。
何もかもが違う二人。だが、彼らは双子だった。
詳しく説明すると長くなるが、一卵性双生児の片方の遺伝子をいじくる、というマッドサイエンスなことが成された結果、こうなった。
同じ顔になるはずだったフランを見ると、アインはどうしようもなく胸が痛くなるのだが、今はそんなことより酒臭い。
「あいんー、すきー」
「はいはい、誰に飲まされたんですか?」
「ありあー」
「全く、あの子は……」
アリアは同じくらいの年頃の友人だ。普段は真面目なのだが、時々こうしてちょっとふざける。主に迷惑を被るのはアインだ。
悪意がないので何も言わないが。
「あいんー」
「はいはい」
片手間に答えると、フランの手が首に巻きついてきて、吐息が近づいてくるのがわかる。いやに生々しかった。
ふ、とその吐息がアインの耳にかかる。
「──好きだよ」
わりとはっきりと言われたことと、耳元で囁かれたことにアインはくすぐったい思いをする。
ただ、問題とするならば、フランの言う好きが兄弟愛から逸脱しているように感じられたことだ。考えすぎだろうか。
「……フラン、水飲んで寝てください」
「あいんはおれのことすき?」
酔っ払いは言うことを聞かなくて困る。
「いいから寝てください」
「……きらい?」
う、と言葉に詰まる。酔っ払いの涙目は思ったより効果があった。
アインはそっとフランの髪を鋤くように撫でる。
「……好きですよ、安心してください」
言うと、がばっとフランがアインを床に引き倒した。
「じゃあ、いっしょにねよー」
むにゃむにゃと早速微睡み始める酔っ払い。
体温が高くなっているので、暑いと思って、離れるように言おうと横を向いたら、
唇が重ねられて、口内が蹂躙されて、どこか切ない嬉しさが、アインの口内に充満した。
しばらくすると酔っ払いは寝た。アインの口の中に香るのは、フランが飲ませられたのであろうテキーラ。
「なんてものを……」
アリアに若干の怒りを向けた。
キスが気持ちいいなんてきっと酒のせいだから。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月24日 17時] 4番目の返信 携帯から [違反報告]

金髪の奥に碧眼を隠した青年が、自らの部屋の扉を開ける夜半。部屋で待っていた、金髪に琥珀色の瞳を持つ女性が、おかえりなさい、と言いかけて、彼の雰囲気に気づく。
「イリクくん? 何かあったの?」
イリクと呼ばれた青年は、ベッドの縁に腰掛ける彼女に向かい、黙って歩を進める。前髪の奥から、ぎらりと燃えるような緑の光が覗いて、女性は息を飲んだ。
彼女の前に来ると、イリクは一も二もなく、彼女の顎をぐいと持ち上げ、その唇に噛みつくように口づけた。女性は困惑していたが、されるがままだ。
交わってくる吐息が熱い。その熱に女性は浮かされて、涼を求めて口を細く開く。それを狙っていたかのようにイリクの舌が侵入してきて、口内をぐねぐねと掻き回す。その乱れ方はさながら荒れ狂った竜のよう──なんて思ったのは、イリクの内から漏れ出す激しさのためだろう。
イリクの熱に掻き乱され、女性の体からは徐々に力が抜けていく。それを逃がさないとでも言うようにイリクはきつく抱きしめ、接吻を続行した。
「あう……」
激しい口づけに感じてしまい、女性──ルチルの顔が蕩けてくる。やがて弛緩し、完全に自立する力を失った体にイリクは満足したのか、優しく、ルチルをベッドに寝かせた。
ルチルはぱさりとその金糸を広げて倒れながら、口の中に残るイリクの残り香に酔っていた。いつもの花のような甘い香りと、少し洋酒の匂いがする。
イリクは大企業の社長だ。ルチルはその妻。自分の立場も夫の立場も理解している。イリクはそれを嫌うが、きっと、飲みにでも連れて行かれて、嫌な思いをしたのだろう。若くして社長になったイリクを妬む前社長派の人間も、中にはいるから。
「……ごめん」
やがて、イリクが謝ってくる。これが完全に八つ当たりだとイリクも理解しているのだろう。
別にルチルは気にしていなかった。ルチルはイリクの妻だ。夫のそういうやるせない感情を時には受け止める存在として必要であることは理解している。元よりイリクのためにあろうとここにいるのだから、キスの一つくらいで怒るつもりは毛頭ない。
だが、いいよ、大丈夫、とルチルが答える前に、イリクが吐き出すように告げた。
「無理矢理、他の女性を抱かされた」
さすがに、ルチルもその琥珀の目を見開いた。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月26日 12時] 5番目の返信 携帯から [違反報告]

イリクがルチルと結ばれるまで、性別を問わず、様々な人々を抱いてきたのをルチルは知っている。イリクが誠意として、結ばれる前にルチルに話してくれたのだ。
そんなイリクの誠意にむしろルチルは惚れ直した。イリクが誠心誠意、ルチルと結婚してからは、他の誰かを抱くことはなかった。
それが……
「……抱かされた?」
ルチルがその琥珀色を向けると、イリクはふい、と目を背ける。気まずいのだろう。
けれど、イリクは誠意から、ぽつぽつと語り始めた。
「……飲みに行く、と言われたのまでは、まだ、よかったんです。でも、行った先が娼館で……」
察する。イリクの顔なら娼館ではさぞかし媚を売られたことだろう。
「それでも、娼婦に抱きつかれただけで抱いたとは言えません」
「キスもされました。体も触りましたし」
「それくらいで、私は怒りませんよ」
イリクくんの意志じゃないでしょう、と問いかける。
イリクが顔を歪ませる。今度はルチルが見ていられなくなった。
ルチルは黙って、ベッドにぺたんと座り直した。
ぽろぽろと涙が零れ落ちてくる。
「イリクくんが、そんな顔する方が、悲しい」
「ルチル?」
イリクが慌てたように歩み寄る。
ルチルがゆらりと顔を上げる。それは涙で腫れぼったくなっていて、うるうるとした上目遣いだった。不謹慎にも、心臓がとくん、と高鳴る。
「……だったら、その事実を忘れられるくらい、私を抱いてよ。滅茶苦茶にして、いいから」
女性の口からここまで言わせておいて、引き下がったら、男が廃るというものだ。
イリクはベッドに腰掛け、ルチルの頬を撫でる。すると、ルチルがするりとイリクのネクタイをほどき、イリクのシャツのボタンを外していく。
「ルチル……っ」
ルチルの細い指が、イリクの素肌に触れ、イリクの中に何とも言えない感情が駆け巡る。官能、愛欲、穢いのに尊く感じられるもの。
ルチルのその手に触れて、やめさせる。やはり、ルチルの手と娼婦の手とは違うのだ。ルチルにされている、と考えるだけで、頭の中がわけがわからないほど幸せな感覚に満たされる。
やっぱり僕は、ルチルがいいんだ……
そう確信しながら、ルチルの服に手をかけた。
シャツタイプのワンピースのボタンを一つずつ外していくたびに、イリクの中から理性が飛んでいく……

(^ー^) (プロフ) [2019年5月26日 15時] 6番目の返信 携帯から [違反報告]

露になっていく白い肌。それに愛しく、唇を寄せる。その感触にルチルがぴくりと震える。
彼女の下着のレモン色に手をかけた。ルチルがはっとして声を上げるが、イリクの耳にはもう喜びにしか聞こえなかった。
「あっ、だめ、やめて……」
やめて、とは言いながら、剥き出しにされていく肩にさわりと通る風に心地よさを感じていた。
肩紐が外され、その乳房が露になる。ルチルはどうやら着痩せするタイプのようで、普段見ていたときに思っていたよりも、その双丘はふくよかだった。
「あっ、ん……」
白い乳房の片方に触れられ、甘い声を出すルチル。イリクの手は思ったよりひやりとしていて、興奮に熱を持ち始めたルチルの体には刺激が強かった。
ふにふに、と柔らかく滑らかなそこを手で味わいながら、ルチルの矯声を飲み込むように口づける。イリクとルチルの息が絡み合い、二人は互いの脳が溶け合っていくような感覚に陥った。
イリクの手はルチルの双丘をいじるのをやめ、つ、とへその辺りまで指でなぞる。ルチルがぴくんと反応し、涙を浮かべる。それは何の涙なのか、よくわからない。けれど、ルチルの中はイリクで満たされていた。わけがわからないくらい、感じるのはイリクの手によってだと思うと、尚のこと嬉しい。
イリクは口を離すと、ルチルの眦を舐める。塩辛いはずの涙さえ甘く感じる。
「ルチル……」
名前を呼んだことに意味はない。敢えて言うなら、これからその秘められた場所に手を伸ばすことを示したかったのだろう。
下着の中に手をそっと入れると、ルチルがはっと息を飲む。
「や……っ……ぁ……」
キスや胸だけで感じるだけ感じきっていたルチルのそこは既に濡れていて、羞恥から頬が上気していく。
舐めるように前面から指を中に滑らせていく。少し反発するように、ルチルがイリクの指を両側から締め付けてくる。触れられたことがない場所のように、それを許容することを拒んでいるようでもあった。
「……ルチル、もしかして、初めてなの?」
少し戻ってきた頭で問いかけると、ぷい、と顔を逸らされてしまった。その耳は赤々と染まっている。
図星なのだ。ルチルはこれまで、どれだけ言い寄られようと、誰かに体を許すことはなかった。どんなに遠い理想だろうと、イリクだけを望んでいたから。
それが叶うことがとても嬉しくありながら、少し怖くもあった。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月26日 15時] 7番目の返信 携帯から [違反報告]

「指では固いですかね」
そう呟くと、イリクはルチルの下着を脱がせ、その秘めやかな場所を露にしてしまった。ルチルが足を擦り合わせて、なんとか隠そうとするが、イリクによって開かれてしまう。
イリクは足先から順々に、丁寧に口づけてルチルの快楽を誘っていく。ルチルは口づけられるたび、声を出してしまい、震えていた。
その敏感な肌も、反応も、一つ一つがイリクには愛しくて、一つ聞き取るたびに、脳が痺れるような気持ちよさを感じていた。
とうとう、秘部に辿り着き、そこをぺろりと舐める。「あっ」という艶かしい声がルチルから上がり、イリクはどくりと熱を体の下半身に溜まらせた。
表面だけでも、こんなに感じてしまうのに、中に入られたらどうなってしまうのか──と考える暇もなかった。イリクの舌が、中に侵入してくる。
うねうねとうねりながら、奥まで入っていこうとするそれに、ルチルはもう声も出なかった。
ベッドのシーツを、これでもかと握りしめ、頭がおかしくなりそうな快楽に耐える。が、そんなルチルの努力も虚しく、イリクの舌先が、絶妙なところに当たった。
「ぅああああっ」
目の前がくらくらとするような感覚。どこに力が入っているのか、もしくは入っていないのかさえ、ルチルにはもうわからなかった。ただイリクの舌が這って、ルチルを貪っていく感覚だけが生々しく伝わってくる。
そして、決定的な場所に柔らかな感触が当たる。ルチルは、だめっ、と叫んだ。
「で、ちゃう……っ」
幸せのあまりに、自分の中から何かが出てしまいそうなのを感じた。下半身から、放出されたがっている熱を。
けれど、イリクはかまわず、吸い上げた。
まるで、いいよ、と受け止めるように。
ルチルは耐えきれず、それを出してしまう。イリクが飲み込んだのを感じて、顔が紅潮してしまう。
けれど、ふとその熱が冷めた。
……イリクは今まで何人も抱いてきた。こんなこと、慣れっこなのだ。初めての自分と違って。
「あ……」
涙がほろほろと流れていく。悲しみに満ちた心が、塞き止めていた感情を溢れさせる。
──自分だけ感じて、達して、馬鹿みたいだ。私ばかり気持ちよくなって、イリクくんは全然なのに。
感覚の違い。それを感じると、イリクに抱かれて喜ぶ自分が馬鹿みたいに思えて、もうやめて、と呟いた。
イリクが離れていくのを感じて、ほら、と思った。
所詮私はこの程度。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月26日 16時] 8番目の返信 携帯から [違反報告]

「やめるわけないでしょう?」
「……え? あっ」
イリクの腕に抱きしめられて、自分の秘部に、イリクの熱を持ったものがあてがわれる。
突然のことに、理解が及ばず、口づけをされたことにすら、気づくのが遅れた。
「僕が薬なしで昂る相手なんて、君しかいません」
「っ」
息を、飲む。
イリクは様々な人を抱いたり、抱かれたりしてきたという。けれど、猛るためにはどうしても薬が必要で、薬頼りの愛のない行為に、イリクをつまらない男と断ずる者も少なくなかったと聞く。
そんなイリクが、薬もなしに、こんな熱を……昂らせて、固くなって。
「ルチルだけだ」
耳元で囁かれると同時、挿入が始まり、ルチルが目を見開く。イリクの言葉に返す余裕も失っていく。
中に熱を孕んだ肉棒が挿入され、慣れないその感覚に、ルチルは中をぎゅうぎゅうと締め付けてしまう。
イリクはそれに感じ入ったような喘ぎをこぼし、ゆっくりとなじませていく。
はっ、はっ、と落ち着かないルチルの呼吸を宥めるようにイリクが呼気を送り込む。
そうして二人で呼吸を深く何度か交わし合うと、そのうちにイリクのものはルチルの中に入りきっていた。
「あっ……わた、しの、なかに」
「ああ……入ったよ」
喜びで視界が滲む。感慨に浸る間もなく、イリクが中の粘膜を突き始めた。
「ああっ」
「んっ」
締め付けがひどくなり、イリクも苦しそうになる。それでも抜き差しを続けた。
ぐるぐると掻き回されていく感覚に頭が追いつかない。
「やっ、イリクく、おかしく、なっ」
「おかしくなっていいよ」
イリクが低く囁く。
「俺も君と一緒に堕ちてあげる──」
その言葉が耳の中に染み込んで脳を駆け巡って、溶けていく。
「い、りく……」
名前を呼ぶだけで、精一杯だった。けれど、イリクにはそれだけで充分だった。
今まで、呼び捨てしてくれることがなかったその名を呼ばれるだけで。
「ああああっ」
イリクのいちもつは更に熱を増し、ルチルの中を押し潰していく。
ルチルはもう頭の中が真っ白で、ただ欲望のままに動いていた。すり寄っていく腰、何度も何度も打ち付けられても、その痛みは快楽に変換されて。
「っ、いく……」
「ああああっ……」
中にぶちまけられ、ルチルは先程より一層の絶頂に飛び込んだ。
その熱が冷めないまま、唇を重ね合わせ……何度も何度も、二人は愛を確かめ合った。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月26日 16時] 9番目の返信 携帯から [違反報告]

色素の薄い赤髪を、さらりと揺らしながら、少女は目元に巻いた包帯をチェックした。
少女は別に盲というわけではない。ただ、目の色が特殊であるため、差別されやすいのだ。
それに特定の色を見るとある衝動に駆られるという奇病にもなっている。目なんて、見えない方がいい。
そう思うのだが。
「アカリ、おはよう」
「おはよう、ヒカリ」
同性だから世間体としては恋人とは呼べないヒカリという愛しい存在を見られないのは、少しの寂寥を孕んでいた。目を見えなくしているアカリの代わりに目になると息巻いてくれているヒカリ。ヒカリもアカリと同じ奇病なのに、よく付き合ってくれると思う。
気分転換、と連れて行かれた昼間の散歩。季節特有の匂い、街の人々の声、ヒカリが時々食べさせてくれる屋台料理。どれもが目が見えないからこそ、より明瞭に味わえるというのは利点だが、アカリはやはり寂しかった。
ヒカリはいつも楽しそうにしている。けれど、アカリは包帯を巻いているからそれが見えない。ヒカリが何に喜び、どんな表情をして、何を見ているのか……隣に立つのなら、それを共有したかった。けれど、アカリの目には緑色が映ってしまってはいけない。目の色で差別される。だから包帯を解けない。
手をずっと握っていることでしか、ヒカリを感じられない。
……それは夜になると変わった。変えられたの方が正しいか。
ヒカリはアカリを味わうように口づけし、アカリの体から服をはだけて、アカリの首筋、肩、胸、へそ、腰、にキスを落としていく。目を塞がれた状態だと、いっそう感じてしまい、アカリはされるがまま、喘ぐしかない。
ふと、ヒカリが包帯に手をかける。アカリは止めない。いや、力が抜けきって、止められない、の方が正しいだろうか。
するりと丁寧に解かれた包帯の下から現れるのは少し火照った頬と、紫色の瞳。ヒカリの琥珀色の瞳がこちらを見ている。長い赤みがかった金糸がさらりと垂れて、アカリの頬をくすぐった。
「綺麗……」
ヒカリだけが、アカリの紫の瞳を綺麗と言って、慈しんでくれる。吸い込まれるように顔を引き寄せ、額と額をこつりと合わせる。
そこから動きがないので、アカリは思わず呟いてしまった。
「……しないんですか」
呟いた意味を自分で咀嚼し、あっ、と恥ずかしがる頃には、何を言う暇もなく、アカリはヒカリに口を塞がれていた。

(^ー^) (プロフ) [2019年5月28日 14時] 10番目の返信 携帯から [違反報告]
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