貴族と奴 隷の町メイズ

メッセージ一覧

専用

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2017年12月30日 8時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

知られていない事だが、シャルル・ベルベットは猫が好きだ。
昔、母親に秘密で、迷っていた子猫に餌を毎日与えちゃう程には大好きなのである。
そして、毎日餌をやっていた時に、自分の信頼出来る部下を手に入れるのだから、『好き』は馬鹿にできない。

____ああ、あの頃のあいつは、謝ってばかりであまり好きではなかったな。と、シャルルは暖炉前のソファーに寝転がり目を瞑りながら、そんな事を思い出していた。
「……ふん。」
僅かに口元に笑みを浮かべて、目を開いて暖炉の火を見つめる。
ふと、彼の声が聞こえて、上体を起こした。
「ルイ?」

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2017年12月30日 8時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

「シャルル様、シャルル様ー!」

自分の主人がいるであろう部屋のドアを軽く叩き、主人の名前を呼ぶ。
以前は名前を呼ぶこと、喋る事すら恐怖を感じていたというのに今はそんなものは感じない。
むしろ尊敬、大切な人という感情を抱く様になっていた。

今、ルイはすごくわくわくしていた。
この家の庭を歩いているとどこからか猫の鳴き声が聞こえ、探して見ると植木の近くにちょこんと座っていたのだ。
迷い猫かと思い追い返そうとしたがふと、主人が猫を可愛がる風景を思い出したのだ。
この子を見たら主人は喜ぶかもしれない。
そんな安直な考えに至り猫がいることを確認し、急いで主人の元へと向かった。

るーろん (プロフ) [2017年12月30日 10時] 2番目の返信 PCから [違反報告]

「なんだ?」
シャルルは、わくわくしているような感じのルイに聞いた。
何か良い事でもあったのだろうか。
先程寝転がっていた事により乱れてしまった髪を整えながら立ち上がる。
急いでいるようであったルイに、きょとんとしたように首を傾げた。

シャルルのルイに対するこの反応は破格であった。
常に疑心暗鬼かつ傲慢な態度でいるシャルルは、奴隷に自分の名前を呼ばれただけでも不機嫌な顔を見せたであろう。
ルイに対しても最初の頃はそうだったのだ。

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2017年12月30日 14時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

「!…シャ、シャルル様来てくださいっ」
.
きょとんとして首を傾げる主人を見てルイは驚いた。
今までだったら「うるさい」と睨まれて終わりだっただろう。
でも今は名前を呼ぶ事も、話しかけることも許されている。
でも、今日は驚きだ。
今までよりもふんわりとした雰囲気を纏っている。
“機嫌がいいのかな…”と少し安心し、くっと主人の手を掴む。
.
「緊急ですよ!お急ぎを!」
.
そう言ってふふふっと楽しそうに笑うと庭の方へと歩き出す。

るーろん (プロフ) [2017年12月30日 17時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

「うむ。わかったが、そんなに急いで本当に何があった……?」
くっと掴まれた手に、驚きながら、素直にルイについて行く。
楽しそうに笑った彼に、目を僅かに見開いて、ふっと、力を抜くように笑った。
疑心暗鬼に取り憑かれているような、傲慢さを纏っているような、歪んだ笑みではなく、穏やかで優しい笑みだ。
今日は何故だか、機嫌が良い。
もしかしたら、今日は外に出ていないから、疑心暗鬼に取り憑かれる事がなかったからかもしれない。それか、さっき、とっても良い夢を見たからか。
だから。
庭の植木の上に座る猫を見た時、ルイにすらあまり見せない満面の笑みがふと溢れてしまった。

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2017年12月30日 17時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

「見せたいものがあるんです…!」
.
しばらく歩き、庭に付いた。
そして、植木にいる猫を主人見せた。
どんな反応をするか楽しみだった。
今日の主人ならきっと優しく返してくれるだろう、そう思った。
よければ笑ってくれたりしたら嬉しいな、なんて考えながら主人をみた。
.
「どうですか!可愛いですよ…ね……」
.
彼の表情はいつもと違った。
いつものあの強ばった顔でも無ければ、困ったような顔でもない、先程みたきょとんとした顔でもない。
そう、主人は笑っていた。
おそらくあんな満面の笑みを見たのは初めてだ。
.
嬉しい、そう思った。心から思った。

るーろん (プロフ) [2017年12月30日 18時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

シャルルは、自分が笑った事に驚いたようであった。だが、ルイが本当に嬉しそうだったから、
「ふふっ。」
また、笑った。
「ああ、可愛いな。猫を見ていると、お前と出会った日を思い出すよ。」
にゃあん。
猫が鳴く。その鳴き声を心地良さげに聞きながら、ぽつりとシャルルは言った。
この猫は、あの日の猫に似ている気がする。それは、おそらく気のせいであるだろうが。

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2017年12月30日 18時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

主人はまた笑った。
今日はとても機嫌がよさそうだ。初めて会ったときとは比べ物にならない表情だ。
主人が声を発した。
.
「そうですね、僕達を繋いでくれたのは猫でしたもんね」
.
猫が鳴いた。
“お前は可愛いなぁ”なんて思いながら近づいてなでる。
猫はゴロゴロと喉を鳴らした。

るーろん (プロフ) [2017年12月30日 18時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

「ああ。」
シャルルは頷いた。
そして、ルイが、猫を撫で始めたのを見て、困惑しながら、
「触ってもいいのだろうか……?」
と、呟いた。
触りたい。
でも、動物を触る事を、母親があまり好まないから、撫でた事があまりない。
そわそわと落ち着かないように、期待いっぱいの瞳で、ルイを見つめた。
「どうだろう……?」

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2017年12月30日 18時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]

「いいんですよ…ほら、シャルル様もどうぞ?」
.
猫を触りたそうにそわそわとしている主人を見てスッと差し出す。
ふんわりとした笑みを浮かべ主人の方を見る。

るーろん (プロフ) [2017年12月30日 22時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
メッセージ返信
メッセージの一覧に戻る
(C) COMMU