終焉無き紫霧

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「叔父さん、喜んでくれるかなぁ?」
一人部屋で。
上機嫌な様子で安物の箱に花を敷き詰めている少年が居た。
神無月 春雨。
病弱で重い病を患っているSランクの一人である中等部三年の面倒くさい性格の持ち主である。
るるるん。と、滅多にない鼻歌まじりの上機嫌っぷりで敷き詰めた花の中に蜘蛛をそれはもう大量に投入する春雨。
それは、自分にとって叔父さんにあたる「先生」への心を込めて用意したプレゼント(嫌がらせ)である。
「ささ、喜びますように。ごほごほっ。」
中等部三年。
嫌な年だ。と、春雨は思いながら職員室に向かう。
叔父さん、いるといいな。なんて思いながら、たたたたたっ。と、小走りに職員室に向かう。
(専用です。)

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2016年5月24日 21時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

「叔父さん、遊びに来ましたよ!」
職員室の扉を軽くノックしてから、バンと力いっぱい扉を開けた。
そんな春雨の表情はきらきらと光るような笑顔。
純粋そうに見える笑顔だが、その手には、先程用意した大量の蜘蛛が入ったプレゼント(嫌がらせ)がある。
先生と呼ばずに叔父さんと呼ぶのだから彼に用があるのは間違いなしだった。
この学園に春雨にとって、叔父さんと呼べるティーチャーたる者は彼しかいないからだ。
「あれ? 叔父さんいないのかなぁ?」
目的の人が居ないことに気付いた春雨は、目的の人の席に勝手に座った。
他のティーチャーは見て見ぬふりと言うか、今、職員室に殆どいない。
みんな、授業に出払っているのか。
まぁ、それは、春雨が知るところではないだろう。
今日だって、今なら他の先生いなさそうだな。で、実行に移してしまうのだから恐るべき行動力である。
それを、勉強に活かせばいいものを、勉強となるとその行動力はなりを潜め、蝸牛なみになるのだから重症だ。
ごほごほっ。と、一度咳き込んでから
「叔父さん、悩みがあるんで聞いて欲しいんですけど。」
と、春雨は言った。
その表情は至極真面目であり、嘘はついていないように見える。
「手土産も用意しましたから、聞いて下さいよ。ね?」
そう笑顔で、その中で大量の蜘蛛が蠢めいているであろう箱を彼の席の机(デスク)の上に置くのであった。

yuiyui(*^_^*) (プロフ) [2016年5月25日 19時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]
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