海の賊

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月の光が輝いている中、街を歩く。
そろそろ一押しの居酒屋につく頃だ。余りゆっくりする事も無かったので、懐かしい感じに襲われる。
古い扉を開け中に入れば、特にうるさくもない程度に賑やかな店内。
居酒屋独特の匂いに目を細めた。
いつものカウンターに座り、オレンジのカクテルを頼む。今日はなんだか人が多く、暑い。
店主からカクテルを受け取り、一口飲むと、甘いなんともいえない味に喜びを感じる。
ふと隣を見ると、いつもの飲み仲間がいないことに気づく。
「今日はいらっしゃらないのですね」
店主に聞けば首を縦に振る。
折角居酒屋に来たのに彼女がいなければ、気持ちも乗らない。
こうして長い夜を一人で飲むのはいつぶりかと思い出に浸っていると、居酒屋の扉が奇妙な音をあげて、人が入ってくる気配がした。

唐揚げ (プロフ) [2017年2月5日 1時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

入り組んだ路地裏を1人スピードを上げながら走る。
ごちゃごちゃと物が置かれている陰に隠れると、今来た道からは数人の走る足音と声が聞こえてきた。
船長ー どこですかー!?という探す声や、何やってんだあの人は!!という怒気を含んだ声も聞こえる。
実は仕事がまだ残ってるのに抜け出して追われてる真っ最中だった。
まあ毎回それの繰り返しなのだが…。
足音が遠くなるのを片耳に聞きながらそっと物陰から出て、また走り出す。
街に出てほどなくすると、気に入っている居酒屋に着いた。
店の前で汗を拭う。
彼女は今日は来てるだろうか?と思いながらそっと扉を開いた。
店の中に入ると、店主はこちらに気づいて微笑んでくる。
そのままいつもの席に向かうと、その隣に彼女がいることに気づいてほっと息をつく。
「瀧、久しぶり」
そう言って彼女の肩を叩くといつもの席に着き店主にいつもの赤ワインを頼むと、走ってきたせいで上がってしまった息を整える。

らみ (プロフ) [2017年2月5日 8時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

肩を叩かれ振り返れば、最近会うこともなかった彼女の姿が目に止まる。
「お久しぶりです」
私が返事をすると、彼女は席に着きいつものワインを頼んだ。
隣を見ると、少し息が荒いのがわかる。走ってきたのだろうか。
そういえば前、仕事を抜け出す事があると言っていたのを思い出す。今日もそれだろうか。
彼女はいつものワインを飲み、満足気な表情をしていた。
なにか話すことはないかと話題を探していると、一匹の猫が足元にいるのがわかる。迷子だろうか。
私は猫を抱き上げ膝の上に乗せた。
「猫...お好きでしたっけ?」
嫌いだったら申し訳ないと思い、私は彼女に問いかけた。

唐揚げ (プロフ) [2017年2月5日 22時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

ワインを飲んでいると急に猫が好きかどうか問いかけられ、隣を向く。
問いかけてきた彼女の膝には、1匹の猫がいた。
そのことに気づき一瞬目をパチクリとさせると、いつもでは表情に出ないが、今回は明らかに目が輝きだす。
「あれ、その子どうしたの?」
そう言いながらワインをカウンターに置くと、そのまま猫の頭を撫でる。
猫はというと、頭を撫でられて喉を鳴らしている。
それに対して薄っすらと口角を上げる。彼女にしてはこれも珍しいことだ。
「そういえば、あなたも猫好きなんだっけ?」
猫を撫でながら彼女を見て、今度はこちらが問いかける。

らみ (プロフ) [2017年2月5日 22時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

「猫は好きです...なんていうか、全てを忘れさせてくれる感じがするから」
彼女の問に答え、猫を見る。
彼女に撫でられた猫は気持ちよさそうに喉を鳴らしていた。それを彼女は優しい目で見ている。
あまりに珍しい光景でびっくりしたが、彼女の笑う顔が見れて嬉しく思い、また一口カクテルを含んだ。
どれだけたっただろうか。あまり時間は経っていないと思っていたが、店の中もだんだん静かになり、しっとりとした空間になっていた。
膝の上の猫はもういなく、隣の彼女も少しは酔っていると感じた。
「そろそろ帰ります。貴方とはまた飲みたいです。」
私は店主に金を渡し、古い扉を開けた。
外は少し寒く、少し酔っていて暑い体温には丁度良かった。

唐揚げ (プロフ) [2017年2月5日 23時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

「そうね、私ももう帰るわ」
そう言うと、彼女に続いて店主に金を払って外に出た。
外は少し風が吹いていて、体を冷やしていく。
――そして、次の瞬間には別の意味で冷えることになった。
「船長ー 本当にどこに行ったんですかー!?」
風に乗ってどこからかそんな声が聞こえ、目を見開いて固まる。
隣にいる彼女は、自分が海賊で、挙句の果てには船長だということを知らない…。もしその事実を知ってしまったら…。
そんなことを考えると、身体中から血の気が引くのを感じた。
奥歯を噛み締め、ぐっと体が震えるのを抑える。

らみ (プロフ) [2017年2月5日 23時] 5番目の返信 PCから [違反報告]

彼女と一緒に店を出ると、風と共に声が聞こえてきた。
「?」
その声はあまり良く聞こえなかったが、船長を呼ぶ声だった気がする。
隣の彼女は、下を見て俯いていて顔が良く見えない。
「え、大丈夫ですか?飲み過ぎましたか!?」
私は彼女の方に駆け寄る。
本当にどうしたのだろうか。普段ここまで彼女が酔うことは無いから、少し心配になる。
でも、今日はそんなに飲んでいたか。
余計わからなくなり頭が悶々してきた。

唐揚げ (プロフ) [2017年2月6日 20時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

「あ…うん…」
彼女が心配してくれているのは分かっているが、動揺していることもあり応えがしどろもどろになってしまう。
どうやら酔っていると思わせてしまったようで申し訳なくなる。
けど、どうにか落ち着こうとしても心臓は早くなっていくばかりで収まる気配がない。
「船長ー!」
「っ!」
こうしている間にも、声は段々と近づいてくる。
このままだと見つかってしまう、そう思うと咄嗟に隣の彼女の手を取ってた。
「っ…ちょっと、こっち行こう」
そう言いながら声が聞こえる方と反対側に歩いていく。
行く宛はなかったが、とにかくここから離れたかった。

らみ (プロフ) [2017年2月6日 21時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

彼女は私の手をひいて走り出す。
あまりに急でびっくりした。だが彼女も焦っているようで、何かから逃げるように走っていく。
何処に行くのかはわからないが、たまにはこういうのも良いものだと頬が緩む。
どんどん人気が無くなってきているのは、恐らく時間のせいだろう。
夜は寒くて、少し気温も低いきがする。
というか、酔っているのにこんなにも走って大丈夫なのか...
隣の彼女を見ると、そんな感じではなくて少し安心した。

唐揚げ (プロフ) [2017年2月8日 5時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

人気が少なくなった所で、やっと足を止める。
「ごめんなさいね…いきなり…」
肩で息をしながらそう言うと、自分達が来た道を振り返った。
どうやら向こうには気づかれていないらしく、誰かが走ってくる気配はない。
そのことに安堵すると、段々と心臓の早さが戻ってくる。
そこでやっと、隣の彼女の方に振り向いた。
そこには、まだ少し心配そうな顔がある。
「…ちょっと、今は会いたくない人がいたから」
そう言いながら安心させるように微笑むと、酔ってないから大丈夫よ、と付け足した。

らみ (プロフ) [2017年2月8日 8時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]

彼女の言葉に私はほっと胸を撫で下ろした。
「会いたくない人...」
私は彼女の言っていた気になる言葉について考える。
彼女は何か私に隠していることがあると思う。知られたくないことは誰にでもあると思うから、そんなに詳しく聞けないが...
それでも、情報を集めるのが好きな私にとって、隠し事というのは最も嫌いなことなのだ。
この癖は直そうと思っているのだが一向に直る気配はない。
むしろ悪化している気がする。
私は彼女にバレないようにそっとため息をこぼした。

唐揚げ (プロフ) [2017年2月9日 17時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
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