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独り言
_夜桜が舞う。普段外に出ない私がこんな時間帯に外に出ると言うのは、相当珍しかった。春だと言うのに風は冷たく、咲き始めて間もない桜は少しずつ散っていく。大きく丸い月はうっすらと雲が重なっている。 「…私は、」 言いかけて、やめた。言ってどうする?言って何が変わる?私なんかの言葉が、誰に届く?無駄なだけなんじゃないの?柔らかい月明かりが私を照らしている。髪がふわりと風になびく。肌を切るみたいな痛みが私の肌に走った。 「………嗚呼、綺麗だな」月が、あきれた気がした。
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