悪魔と契約とAbility

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木漏れ日が降り注ぐある森の奥深く。
人は滅多に寄り付かないためそこは葉の揺れる音、川の音、鳥のさえずりが静かに優しく響いている。
そんな場所の川の近く、そこにはスケッチブックや鉛筆が転がっていてその側にはまだ若い――いや、見た目は本来の歳よりかなり若い――女が寝っ転がっていた。
いつも見えている紅い瞳は瞼に閉ざされ、長い髪は木々の間を吹き抜ける風によって揺れている。
体の上に何度か鳥や小動物が乗ってきたりしたが、その瞼は開くことを知らないかのように固く閉ざされたままだ。
別に特段疲れている訳では無い。ただ、こういう所だとどうしても現実から離れたくなる。
ここにいる間だけは自分が人間じゃない…悪魔だということを忘れてゆっくりと過ごしていられるから目を開けたいと思えない。
「………」
しかし、今まで閉ざされていた瞼がふと薄く開き、深紅の瞳が姿を現した。
小動物が体に乗っても気にしないで寝ていたが、急に現実に戻された気分だ。
今まで油断してて気づかなかったがこの森の中――もっと言うと、自分のすぐ近くで人の気配を感じた。

らみ (プロフ) [2017年5月16日 23時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

沙羅矢切はとある森の中、ゆらゆらと煙草を吹かしていた。仕事から逃げ、町行く喫煙所にも目をくれず、真っ直ぐと森の奥へと突き進んだ。そこが一番落ち着ける場所であったのは変わらない。ここだと静かに考えことが出来るからである、自分はギャンブルのような騒がしいほうが好きなのだが。
「ギャンブル行くか……?あ、やっぱナンパしよう」
仕事は部下にでも……と思ったのだが、中々昇進できないため部下がいないことを思い出す。こういうのは本当に不便だが、好き勝手出来るのはこの立場の特権故に、ここに居座っている。周りがまだ若い中、かなり年上の自分。どんだけ歳が離れているのかは知らないが、居心地がいいのでそれも理由である。
「………まぁ、いいか。自分に正直に生きよう」
と納得し、森の出口ひと歩を進める。が、立ち止まり腰に帯刀した刀に手をかけた。
「誰だ、可愛いお嬢ちゃんか?」

spkl (プロフ) [2017年5月18日 22時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

自分が寝っ転がっている後ろから声が聞こえた。気配からして人間だろう。しかも男。
ここは人が来ないかと思っていたが、どうやらその考えは見直した方がいいらしい。そう思いながら顔をその人物に向けて紅い瞳に姿を捉える。
そこには白髪混じりの茶髪の男がいた。なるほど、だから『可愛いお嬢ちゃん』か。相手からしたら自分は年下に見えるのだろう。まあ実際は明らかに自分の方が桁違いの年上なのだが…。
ゆっくりと体を起こして相手の方に体ごと向く。
「……誰?」
相手の目をじっと見つめながらそう疑問を口にした。そこには何の感情も映し出さない、いつもの無表情があった。

らみ (プロフ) [2017年5月18日 22時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

「ほう、予想以上に可愛いお嬢ちゃんだ」
おじちゃん嬉しい、と笑いながら刀を鞘に納めた。実質警察の中ではベテランに入る沙羅矢切は女の正体に気がついていたのだが今、この世界では当たり前の存在なので、咎めることもない。元々根っからの平和主義者であるので戦闘を避ける、ということもあった。まぁいざとなれば、刀を抜き討伐するのだが。
「しっかしお嬢ちゃんも物好きだ。こんな山奥、俺の部署は誰も知らんのさ」
沙羅矢切がここに通う理由は様々なのだがあまり、印象に残らない山である。開拓や伐採も行われない森の中、こんなに美しい場所があるのに気がついたのは本当に最近である。
「本当に美しい、目が奪われちゃうよ。この景色より、お嬢ちゃんに」

spkl (プロフ) [2017年5月19日 21時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

相手が刀から手を離したので、取り敢えずは少し警戒を解く。…だが、違う方向でまた警戒心が働く。
この男…明らかに自分を口説こうとしている…。もう警戒を通り越して引きそうになる。
「…ここは私の画材集めスポットの1つなんで。森の奥の方が人が滅多に来ないんで集中は出来るし、ありのままの自然を描けるんですよ」
そう淡々と事務的に自分がここにいる理由を告げる。
そのまま自分の周りに散乱したままでいる画材道具を拾い集めてスケッチブックに描いてある絵をもう一度確認すると、チラリと男を一瞥する。
「……にしても、こんな歳のいってる女を口説くなんて、貴方も相当な物好きですね」
この男は刀を持ってることからして警察か何かだろう。しかもベテランの。纏ってる空気は何やらのほほんとしているが、見たところ結構隙がない。そんな相手なら、自分が悪魔だということも気づいているのだろうと踏んで、わざと鼻で笑うような態度で言い切る。

らみ (プロフ) [2017年5月19日 22時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

沙羅矢切はふふんと笑い、答えた。
「まぁね、実際元が可愛ければ何だっていいのさ。年齢だろうが経歴だろうがね、でも……」
沙羅矢切はちらりと女をみやり、苦笑して見せた。
「………ワケわかんなくなってきた、本当にボケ始めたかも知れないなぁ」
言いかけた言葉を飲み込んで吐いた言い訳は、自分を悲しくさせた。つん、と目頭が熱くなるのを堪える。今は泣くべきではないのだ。
「……不快な気持ちにさせたらごめんよ。でもおじちゃんだって本気じゃないさ。君みたいな女の子は、星の数ほどいるんだ」
また出た言い訳は、「やば」と沙羅矢切を青くさせた。

spkl (プロフ) [2017年5月19日 22時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

突然のことに、思わず目を見開いて戸惑いを見せる。相手が動揺したのを感じたかと思ったら、急に泣きそうな顔をしたからだ。
訳は分からないが、取り敢えず何か話しかけた方がいいだろう。そう思い、自分が持ってきたバッグを漁ってハンカチを取り出すと、立ち上がって彼に近づく。
「あの、良かったら使って…下さい」
動揺のせいで思わず敬語が外れそうになったが、何とか踏みとどまってハンカチを差し出す。自分は何で人間を気遣っているのだろうという考えが頭に過ぎったが、この際気にしないことにした。
「…取り敢えず座ったらどうです?ずっと立ってるのも何ですから」
彼にハンカチを渡してからまた座り、自分の隣辺りを指差す。
その様子からして、どうやら彼が言ったことは気にも止めていないらしい。まあ実際に彼が言ってることは正しいし、と考えるくらいだ。

らみ (プロフ) [2017年5月19日 22時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

そういうところが、本当に似ている。そうやって顔には出さないくせに気遣うところが、まるで生き返ったかのように似ているから考えが揺らぐ。
「あんがとな」とありがたくハンカチを受け取り煙草を取り出す。ゆらゆら揺れる煙を見つめ、はぁと溜め息と共に吐き出した。
この美しい女性が悪魔だと言うことは部署ないでも有名であった。自分は興味など無かったのだが、いざ見ればとても美しい。誰も彼も、この女が悪魔である何て思わないだろう。それほどの美しさを女は持っていた。
「(本当に、母親とそっくりだな…)」
横に座る美しい横顔を眺める。見れば見るほどそっくりで悲しくなってくる。幼い頃から足りない愛情を求めたくなってくる。だが出来ない。女は悪魔である。幼い頃両親を殺害した悪魔。実際、この悪魔が殺害したなんて分からない。だがやはり、幼い頃からぽっかりと空いた穴がまだある。だからまだ、悪魔に対する感情を知らないのだ。
「煙草、一本どうだい?」と隠すように進めた。

spkl (プロフ) [2017年5月20日 12時] 7番目の返信 PCから [違反報告]

「?」
横から視線を感じて隣にいる男の方を見て、顔を眺められてることに気づいて首を傾げる。全くこの男は急に泣きそうな顔をしたかと思ったら人の顔を眺めたりして一体何なのだろうか。自分の顔に何かでも付いてるのだろうかと思って顔を触ってみるが特におかしい所はない。ますます訳が分からない。
そんなことを考えていると彼は煙草を勧めてきた。
「…じゃあ、一本」
自分は今まで煙草に興味を持ったことがなかったため一度も吸ったことがなかったのだが、折角勧めてもらったのだから…と思い煙草を受け取る。人差し指を立てるとそこに小さな火が灯った。そこに煙草を近づけて火をつけると口に含む。
「っゲッホゴホゴホッッ!?」
思いっきり噎せた。まあ普通に考えたらそうなのだが。周りの人は普通に煙草を吸うから油断して思いっきり吸い込んでしまったのだ。

らみ (プロフ) [2017年5月20日 12時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

「あはははは!!!」
つい吹き出して笑ってしまった。久々に見たその反応に腹を抱えるほど笑ってしまう。目尻に浮かぶ涙を掬い、女の背中をさすってやる。次第に咳は収まっていく。
「大丈夫かい、お嬢ちゃん?」
こくりと頷く女の目には光る何かがあり、罪悪感が残る。初めてなら言ってくれても…と思ったが、こっちは警察、しかも帯刀している言いにくいのも当然だろうか。あまりにも可哀想なのでお詫びをすることにする。さてと何処へ行こうか…。あ、そうだ。
「お嬢ちゃん、街の中大丈夫かい?何処かデートに行こう。映画でもスイーツバイキングでも何でもいいしさ」

spkl (プロフ) [2017年5月20日 13時] 9番目の返信 PCから [違反報告]

笑われたことに対してギロりと腹を抱えてまで笑う相手を睨む。何もそこまで笑うことないじゃないか。まあ油断してた自分か悪いのだが…。それに背中もさすってくれたし許してやろう。
涙が溜まった目を擦っていると、何を思ったのか彼がデートに誘ってきた。街は別に嫌いな訳では無いけれど、相手の考えなど露知らず、まだ口説くのを諦めてなかったのかと半分呆れながら断ろうと口を開きかけた。…が、彼が最後に言った言葉に興味が引かれた。
「……スイーツバイキング?」
さっきまでの不機嫌そうな顔は何処へやら。顔は無表情に戻ったが、明らかに纏ってる空気が変わった。心なしか瞳もさっきより光が宿っているような気がする。

らみ (プロフ) [2017年5月20日 14時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
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