国の下の王選街

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馬刺 (プロフ) [2017年8月14日 21時] [固定リンク] PCから [違反報告]

血飛沫と武具の残骸がそこらに飛び散る光景をいつ見ても心躍るのは性なのだろう。
戦うのは嫌いじゃない。寧ろ滾るし好きだ。だが黄衣に血が付くと目立つし落ちにくいため今回は参加せず自分の店でくつろいでいた。
そこら辺の酒場か食事処で乱闘が終わるまで待つつもりであったが、店がやっていないようだった。外で適当にふらふらと歩いて時間を潰すのも有りかと思ってが何処に行っても即戦闘が始まりそうな雰囲気を街中からしているため、外に長居するのは良くないと自分のテリトリーに戻ってきた。
敵意ある者に対しては入店を拒む鈴を付けた扉があるためきっと街中で一番の安全地帯だろうと店主は考えたからだ。

その店は上流階級の人間が住む区画に近いところにある。得意先に近く、静かなところでその店の主人は痛く気に入っていた。
といっても放浪癖があるためほとんど店には居ないのだが。
その店は商いを営む子供が経営しているが、店内には商品らしい商品は一切ない。家具も椅子と来客用のソファ、それに机くらいだ。そのほかに店内には、売り物にならない程に色あせた大量の古本が収容された本棚に胡散臭い魔道具がそこらへんの床や壁掛けに乱雑に置かれてあった。
部屋の中央に置かれた椅子の背に黄衣のローブを掛け、深く座りながら出入り口についている小窓から外を眺めていた。

此処まで長く契約が続くとは思わなかった。
大抵契約したその場で願いを叶え、寿命をごっそり持って行ってハイ終了。
願いを叶えるために数日間下僕のように付き従ったこともあったが今までにない展開ではないか。
主従のような上下の関係ではなく横と横のような関係は何気に初めてで、柄になく心が躍る。

考え事をしていたせいだろうか。気が付けばチリリンと扉の鈴の音が聞こえ、出入り口の扉が開いていた。
専用 【乱闘イベ?】

馬刺 (プロフ) [2017年8月14日 23時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

どうしてこう、周りの人間は殺気だてるんだ。少女は苛立ちのような困惑のような感情を抱きながら、殺伐としている街中を走る。
そんなに長く走っていないのに、心臓が驚くほど脈打ち、喉が焼けるように痛いのは体が強くないからで、その体のせいで捨てられてしまった彼女。だからなのか一等自分が嫌いだった。
「はっ……!」
少しでも気を抜けば絡まってしまいそうな足に脈打ち、目的地へと急ぐ。
その道中1人の少年の事が頭に浮かんだ。
一言では言い表せない複雑な関係。
彼のように強ければ、もっと身内に重宝されて愛されていたのだろうか。母親の温かみを知り、父親の寛大さを知れたのだろうか。なんてありきたりな本のヒロイン思考、このヒロインはだいたい恰好いい王子様に出会ってハッピーエンド。
けれど、こんな街中で頬から血を流している女に魅力を感じる王子様なんてこっちから願い下げだと嘲笑じみた笑みを浮かべる。
もうそろそろ本当に限界だという所で、やっと目的地である場所の扉が見えて力が緩む。
「きつ……っ」
やっとの思いで絶対安心である店へと入った。

あ い こ (プロフ) [2017年8月15日 0時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

店に顔見知りの少女が入ってきた。息が乱れているあたり走ってきたのだろう。
信用されるというのは何ともむず痒いものだ。適当なところで裏切って絶望と悲嘆の底に契約者たる少女を突き落とすつもりだったが情が湧きそうで正直怖い。
椅子から立ち上がり少女の方に向かって歩く。頬を伝う血は外の騒ぎに巻き込まれたからだろうか。

「やあいらっしゃい。そしてお疲れさま」
血を拭くといいさ。
そう言いながらハンカチを取り出し、水魔法で適度に湿らせて手渡そうとする。
バタンと扉の閉まる音の前に図太い男の声が聞こえてきた気がし扉の小窓を見た。
店はそこら辺に散らかしてあるどれかの魔道具のおかげか外の音が聞こえてこないため扉が閉まると外の様子は窓からしかわからない。
こんな路地にある店の周囲でも戦っているのだろうか? それともストーカーか変態趣味を持つ貴族だろうか。採光用の窓と扉の小窓しかないこの部屋からは見えないため詳細は分からない。外に出るのは面倒臭く、相棒の大太刀持たずに修羅と化している外に出ることは得策とは言えない。

馬刺 (プロフ) [2017年8月15日 10時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

店の中へと入り蹲る。
五分程走り、戦った少女の体は思いのほか危険だったようだ。
息が思ったように吸えないし、吐けない。喉が痛くて、心臓も変な高鳴り方をしている。
顔見知りの少年にハンカチを差し出されているのは分かっているが、受け取る余裕どころか返事をする余裕さえなくただ自分の胸辺りを抑えるだけ。
男は嫌いだ、私のことをペットのようにしか思っていないから。
男は苦手だ、自分の欲望を消化するために自分勝手に私を押さえつけるのだから。
先程だって最初は路地裏に無理やり連れ込まれそうになったから彼女は戦いを始めたのである。
「気持ち、わる、っ」
呼吸が上手くいかないからか、寒気が少女を襲う。ポロポロと目から涙を流す姿は静かな店内で異様としか言いようがない。
少女は体を守るように、自分の体を抱きしめるが思ったように治らないらしくより一層縮こまってしまった。

あ い こ (プロフ) [2017年8月15日 10時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

蹲る少女の様子を観察する。
外で何かあったに違いないが、呪いを掛けられたりしたわけでは無さそうだ。
「治癒魔法をかけるか───いやしかし小さい傷を塞ぐだけで気休め程度の効果だし……」
小声で呟きつつ、こういう時の為に魔法を学んでおけば良かったと後悔し、どう対処すべきか思案する。

身体強化の魔法を掛けるべきだろうか? しかしアレは魔力を使うし一時的な物だ。そこら辺に散乱している魔道具から使えそうなものを探し出す? 時間が掛かりすぎる。得策では無い。
だが面白そうな奴を早々に逝くのはとても良くない。
ただでさえ人間は脆弱だ。その中でも特に体が良くない彼女は目を離したらすぐにでも天に昇っていきそうだ。
だから彼は契約を持ちかけた。
「辛そうだし君の受けている苦しみを僕が肩代わりしようか? それとも苦しみを感じない体にしようか? 魔力さえ、君の残りの寿命さえくれれば君の望みを何でも叶えるよ」

馬刺 (プロフ) [2017年8月15日 12時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

蹲って数分、やっと少年の質問に答えれるまで回復した少女はゆっくり息を吐きながら答える。
「いい、大丈夫です」
彼女は一つ嘘をついた。大丈夫なのは本当だが、契約をしたくないというのは嘘。本当は今すぐにでも自分に少なからず興味を持ってくれている彼に甘えたいし、 甘やかしてほしい。
けれど今の今まで1度も愛を受け止めたことがない彼女は、自分の愛の表現方法を知るはずがなくドロドロとしたものが胸の中で質量を増やしていくだけ。
「浅黄は参加しないんですか?」
できるだけなんとも無いように努めて話しかける。少しばかり冷たく聞こえるが、人の顔色を伺いやすい彼女がらこのような話し方をするのは彼ぐらいだろう。
まだ貧血気味だが、このまま床に座っているのもいけないと腰と足に力を入れて立ち上がろうとしたのだが、少女が少し驚いたような顔を見せて大きなため息を吐いた。

あ い こ (プロフ) [2017年8月15日 13時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

「……そうですか。いつか契約したくなったら言ってくださいね。
名を呼べばどこでも召喚出来るのでいつでも喚んで」
にっこりと朗らかな笑みを顔に浮かべながら返答する。
人の好さそうな外面と違い、心は彼の褐色の肌よりも黒く汚泥よりも汚いが決して外には出さない。人の破滅を心から喜び歓迎するなどと噂が流れればとても困る。
「騒ぎに興じるのは嫌いじゃないけれど相棒……大太刀を今は持っていないので出る気はないですよ」
鈍器のように殴り叩き振り回すなどぞんざいに扱ったせいで刃こぼれが酷く魔法で修復を試みているのだが如何せん専門外でうまくいかず困っているなど口が裂けても言えない。
とはいえ誘われたり誰かに喚ばれたら行きますけどと付け加える。客人を床に座らせていることに今更ながら気付いた。それに茶も出していない。
「この前良い茶葉が手に入ってね。茶を出すからよかったらそこのソファに座って。立てそう?」
問いかけながら浅黄は少女に手を差し出した。
5つ下の子供と同じほど身長が小さいせいでひどく滑稽な絵面だろうが気にしない。姉を助けようとする弟に見えなくもないがそこら辺は考えない。

馬刺 (プロフ) [2017年8月15日 14時] 7番目の返信 PCから [違反報告]

「腰抜けるとか嘘でしょ」
まさにガックリという効果音が似合う誰にいうでもない独り言を零し、自分の腰をさする。
見た目的には明らかに弱そうな少年の手を借りなければ立ち上がれない状況に、街中を走っている時以上にショックを受けた。
本当に自分は情けない、体を鍛えようにもすぐに呼吸器官が異常を起こして運動などではなくなってしまうのだ。
「新しい茶葉ですか」
未だにショックは回復していないが、新しい茶葉と聞いて興味を引くものがあった。そもそも彼女は性格的にも女性らしく、好きなことは裁縫というとてもお淑やだ。だから紅茶も例外はなく嫌いではなかった。
記憶力の良さからか、1度も見たり習えば平均以上できる彼女が唯一初めて失敗した紅茶。
窓から見えるのは、怒号だったり大きな音だったりと平和とは程遠いがこの店だけはゆったりとした時間が流れていた。
少女はこの店の雰囲気が好きで、ここのお茶の味も好んでいた。だから何か1人では耐えられない事があった時は決まってここで1杯だけお茶を飲んで心を落ち着けていたのだ。

あ い こ (プロフ) [2017年8月15日 15時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

「外が外ですし仕方ないですよ……杖でも使いますか?」
非力な子供にしか見えない自分を容赦無く襲ってくるような輩が居るんだ。悪夢と呼ぶに相応しいほど恐ろしかったにちがいない。
近場に置いてあった杖の魔道具を手に取る。酔っていた時に仕入れた物で魔力を流すと杖の長さを調整出来る代物だ。魔力を扱える物が少なく、そして自分用に作った方が安いため売れ残っていた。
その杖に魔力を流して少女の使いやすいであろう長さに調節し、渡そうとする。

「いつも出している茶葉を買いに行った時に緑茶を貰ってね。勿論いつものお茶もあるけどどちらがいい?」
入り口の反対にカウンターと食器や菓子の入った棚がある。
軽食を作れるようにと食材を収納した箱なども置いてあるそこに浅黄は向かう。水魔法と熱魔法を使って湯を作る魔道具に魔力を与えながら菓子やカップを出し盆の上に置いていく。

馬刺 (プロフ) [2017年8月15日 16時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]
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