名隠しの町

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👋 (プロフ) [2018年5月13日 13時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

今日もつまらない一日だった。
人気のない森の奥。大きな木の枝に乗りながら悪魔は思う。
長命な我等悪魔にとっての一番の敵は暇である。
特にすることもない、人間達に求められる機会も昔に比べればかなり減ってしまった。
勿論、それは過去に比べ人間の欲深さが失せたわけではない。しばらくの間、彼等の前から姿を消したくらいで悪魔の存在はすっかり忘れ去られてしまったのだ。
「うぅむ。納得がいかん!我等悪魔は高貴な血族の筈だぞ!それなのに人間共め!」
ムキー!!と手足をバタバタさせて怒りを露わにする。
こんな悪魔に願い事をする人間も中々いないと思うが、悪魔は自分を不出来だとは思わなかった。
悪魔は生まれたときから孤独である。
叱ってくれる親もいなければ、遊んでくれる友人もいない。
ただ一人で、決められたことをこなしながら生きていくだけだ。
思えば、悪魔界も人間界も自分が暫く眠りについている間に随分と変わってしまった。
王も、政策も、街を行き交う種族達も。
自分の知っているものは残っていなかった。
それも、そうだと思う。
悪魔だって寿命はある。
長く生きているのは膨大な魔力を持ったもの、又は職務をこなせなず魔力を使うことのない出来損ないのどちらかだ。
勿論、この悪魔は後者である。
人間に忘れられた悪魔は、願いも、代償も、何も得ることは出来ない。
悪魔は塵と同等だった。
頭の悪い、忘れられた彼は必要のないモノだった。

👋 (プロフ) [2018年5月13日 13時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

重々しい足音が、暗い森の中に響く。
「クソ……だりぃな」
ぼやきながらも木々をかき分け、奥へ奥へと進んでいった。
後ろからは、数々の軽快な足音がしている。
吸血鬼である彼は、妖であると同時にマフィアでもあった。
追われる理由が思いつきすぎて、最早なぜ追われているかわからなかった。
「あいつらは…俺を祓いに来たか、それとも、殺しに、来たか………」
逃げていても仕方がないと判断したのか、彼は走るのをやめ振り向いた。
相手が銃を持っていることを確認すると、“ああ、殺しに来たのか”と判断した。
全く…本当に面倒くさい。
人間は、一つのモノを追い出すと、捕まえるまで追い続ける。
おもむろにピストルを取り出して、何人かの追っ手に向けて撃った。
瞬時辺りに血が舞って、足音は自分のもの一つになった。
「はぁ……」
地面に倒れる奴らに近づき、首筋に噛み付いた。
新鮮味はないが、腹は膨らむので別に良い。
吸血鬼は、血を吸わねば生きてはいけなかった。
その上彼の場合、味覚障害にでもかかったか…血の味以外を感じることは、できなくなってしまっていた。

松壱@おそ松さんgirls (プロフ) [2018年5月13日 14時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

銃声。
平穏なはずのこの森に何発かの銃声が鳴り響いた。
しかも、この近くである。
「ふぅむ。珍しいこともあるものだな。居るのは人間か、それとも別の何かか」
考えても仕方ない。悪魔は銃声と血の匂いのした方へ足を進めた。
何にせよ。いい獲物だ。
争いには願いがつきものである。命を奪うにせよ与えるにせよ。その願いさえあれば悪魔はなんでも叶えることができるだろう。
そうして、暫く歩けば直ぐにその惨状が目に入った。
「おーおー、これはまた酷いな。どこかの野犬にでも噛み付かれたのか。いやいや、聞こえたのは銃声。つまりはこれも人の子の仕業か」
ふむ。と悪魔は一人で納得した。
生きているやつは居るのか。そう思って辺りを見渡せば死体の首元に噛み付く一人の男が目に入った。
うげぇ、あんなもの一体何が美味いんだ。と眉を顰める。
悪魔には食事の概念がないので美味い、不味い、をあまり気にすることはないんだが、この惨状に加えてそんなものまで見せられてしまっては流石に参ってしまう。
しかし、生存者がいたのはいいことだ。
彼が何か願いを持っているとすれば、もっとラッキーである。
久しぶりに誰かに会った喜びかしら、機嫌の良い悪魔は警戒することもなくその男に話しかけた。
「やぁ少年!随分と酷い光景ではないか!この悲劇は君の仕業か?だとしたら大した腕だ。尊敬に値する」
銃撃戦はおろか願いを叶える以外では化けることしかできない無能はそう言って男を褒めた。
勿論、この言葉は嘘偽りない本心である。

👋 (プロフ) [2018年5月13日 14時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

ガリ、と首筋の血管を噛んで、血を吸い出す。
そんな決まった動作を繰り返していれば、後ろから声をかけられた。
こんなことしてる奴に声をかけれるなんて、相当肝が据わってるか、または馬鹿のすることだろう…
しかも言ってきたことが、彼にはよくわからなかった。
大した腕?尊敬?俺は人を殺してんだぞ?
口の周りどころか、腕やらコートやらまで血塗れにして振り向けば、そこには一人、男が立っていた。
手の甲で口を拭いつつ、
「……お前は」
はて、どこかで会ったことがあるか?
見たことがあるような気がするが…
そう思い首を傾げるが、彼もあまり記憶力が良い方ではないため、思い出すことはできなかった。
「…どうも?」
なんとなく褒められたんだろう、と考えて礼を言ってみる。
が、本心から言っているかは不明だった。

松壱@おそ松さんgirls (プロフ) [2018年5月13日 15時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

振り返った彼は、何処で見たことがあるような顔をしていた。
はて、おかしな話だ。自分はここ1000年近く眠りについていたせいか地上はおろか天界にさえも知り合いなんていない筈だ。
気のせいだろう。と目を伏せた。
「それにしても…君はそんなものを飲み食いして美味いのか?…俺にはどうも理解ができん。そんなの鉄の味がするばかりじゃないか」
んべぇ、と舌を出して不味い不味いといった顔をする。
こんなことを言う悪魔も美味いものは食べたことがなかった。
悪魔は食事を必要としない。勿論、栄養に換算しなければ食べることはできる。物理的に。
しかし、腹が減って食う飯は美味いのかもしれないが、そうでないものはどれだけの高級料理であろうと、泥水のように美味しくないのだ。
悪魔は、未だに食の楽しみを知らなかった。
「嗚呼、そういえば血を糧に生きる種族もいたような気がするな。御伽噺の登場人物だけかと思っていたが、実在していたのか」
最近はいろんな場所でいろんな種族を見かける。
昔は隠れて生活をしていた異質な者達が、今では堂々と街を歩いている。
ここ数百年で何があったのかは知らないが、この少年もその一種なのだと思った。

👋 (プロフ) [2018年5月13日 19時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

「…まぁ、うん。俺もその一種……吸血鬼。」
血がなければ生きていけない…そんな下らない種族だ。
因みに言っておくが、飲まないと生きていけないから飲むだけで、別に好きなわけじゃない。
それに、どうせ飲むなら小さい子供の生き血の方が、新鮮で美味しいのだ。
それにしても、こんな森の中まで逃げ込んでしまっていたとは、驚きだった。
まぁ正直、此処が何処かなんて彼にとってはどうでもいいことだった。
どうせ帰るところなどない。
マフィアのアジトがあるが、そこは人間でいう家というものにはならない。
これ以上、この者と話をする意味があるだろうか?
元々物事を行うのに対し、人一倍やる気のない彼にとって、
他人と話すことは、面倒事以外の何物でもなかったりする。

松壱@おそ松さんgirls (プロフ) [2018年5月13日 20時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

「ほう!それはいいな!俺は悪魔の次くらい吸血鬼がすきだぞう。闇夜に交じり獲物を狙う彼等は格好いいではないか!」
昔読んだ本に出てきた吸血鬼は、それはそれはかっこよかった。
人間の血肉を貪って生きる彼等は、野生の狼のような強さがある。
それに憧れたし、俺も生まれ変わったら次は吸血鬼をやりたいと思ったほどだ。
まぁ、いつ生まれ変わるのかは置いとおこう。
それを考えるのは死んでからの話だ。
「それにしても、吸血鬼の君がどうして人間達に追われているのだ?この人数を見るに、何処かの組織の刺客だろうか。」
死体を木の棒で突きながら尋ねる。
こいつらの格好を見るに軍警には見えない。
晒された肌から見える悪戯な落書き…今でいう刺青というやつだろうか。
こんなものを喜んで入れる奴はきっとそこらへんのゴロツキ共だろう。
全く、親から貰った体に傷をつけるなんてけしからん奴らだ。
そもそも、痛くないんだろうか

👋 (プロフ) [2018年5月13日 20時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

「ああ…俺はマフィアの裏で動くいわゆる殺し屋だからな……」
銃と生まれ持った牙と爪で狙った敵は必ず殺した。
その彼を狙って、相手の殺し屋が動くのは時間の問題だったわけで。
仕方がないから一度組織から抜け出して身を隠していたが、見事見つけられてしまったのだ。
だからこうして逃げていた。
人目につくところでこいつらを殺せば、自分が妖であることがバレかねないから、森まで逃げてきた。
それが真相だった。
「ここはあんたの棲家か…?だとしたら、こんな奴らの血で汚して悪かった………」
一応彼にも礼儀はある。
そう言うと、ぺこ、と頭を下げた。

松壱@おそ松さんgirls (プロフ) [2018年5月13日 21時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

「ふむ、この時代ではマフィアというのか。どうりで街中に重火器を揃えた奴等がわらわらと…」
昔から同族間でも異族間でも争い事は絶えない。
生き物は欲深いものだ。
傷つけるためには力が欲しい。
楽をするためには殺さなければいけない。
だから皆、願うのだ。
力を寄越せ、彼奴を殺せ。
そんな醜く汚い素敵な願いが悪魔は大好きだった。
「ん?いいや、そういうわけではない。悪魔には帰る場所などないからな。歩くのも飛ぶのも疲れてしまったから休んでいただけだ」
だから、ここが汚れようが自分に害はないのだ。
美しい場所が穢れる様を見るのは好まないが、仕方のないことである。
世界は穢れを汚い場所に隠そうとする。しかし、そんなもの上手くはいかない。
汚い場所から溢れた穢れがどんどん綺麗な世界を侵食していく。
この世界も、昔に比べればずっとずっと汚い。
だから、これくらいの汚れが増えることなんて今更だった

👋 (プロフ) [2018年5月15日 6時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]

「…そうか。ならいいが……
…ていうか、あんた、悪魔なんだな。」
初めて見た、という感じに、目前の悪魔を首を傾げながら見つめた。
が、すぐに悪魔に背を向けると、人差し指の爪を死体の首に突き刺し、
慣れた手つきで切り落とした。
死んでから少し経っているため、滲む程度で、流血まではしなかった。
この首は全て、アジトに持ち帰り自分の手柄を示すことができ、手っ取り早く昇進できる。
因みに首から下の体の方は好きにしていいと言われてるため、血だけを抜き後は埋めるのだった。

松壱@おそ松さんgirls (プロフ) [2018年5月15日 16時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
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