5─1蒼真くんと憂夜さん
「えっと、如月蒼真です!!よろしくお願いします!!」勢いよくお辞儀すると、目の前にあった教卓に頭をぶつける。頭を押さえつつも、痛そうにせず笑う
「という、ことだ……仲良く、してやってくれ……」憂夜は少し心配そうに蒼真を見ながら言う。クラスメイト達は笑っているのでまあ大丈夫だろうと、憂夜は少しだけ肩の力を抜く。
「あー、ごめんな!今のは緊張してる訳じゃないからな!勘違いすんなよー!...あ、先生!俺の席どこ??」キョロキョロと教室中を見渡す
「あそこだ……」憂夜は苦笑を零し、窓辺の席……一番温かい席を指さす。その場所なのは憂夜の配慮であり、窓辺は一番生徒達が集まり易い場所であった。「転ぶなよ……?」
「うぃー!...っとっと!」躓いて、転びそうになるも何とか耐えて何事もなく歩き出す。席に座ると窓からの風景を見て嬉しそうにする
「初限は、俺だ……から、自由時間に、してやる……好きに、話せ」憂夜は時計を一瞬見ると生徒達にそう言う。……15分後には教室は楽しげな喧噪に包まれていた。蒼真への質問攻めやらなんやらかんやら……憂夜はただ、心配そうにもそれを見詰めていた。
「んー?好きな食べ物?唐揚げ!!好きなことは縄跳び!趣味は走ること!好きな場所は...って、質問多いな~。まぁ、落ち着け落ち着け!」はっはっは!と元気よく笑い、皆を宥める。そして、質問された順にきちんと質問に答えていく
「……心配ない、か」天性のムードメイカーということを見られて安心したのか、憂夜は少し顔を緩める。心配したこと……転校生への虐め……は起こらないだろうと、そう安堵して。
質問が終わり、皆がそれぞれ他の友達と喋り始めたりした頃、本を読んでいたが時々大きなあくびをした「眠い...。...いや、本読む!...いや、眠い...」目を眠そうに開いたり閉じたりする
「寝る前に次限の用意、しろよ……」呆れたように憂夜は蒼真の近くに寄る。時間表を差し出して、頭を軽く小突いた。
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