あやめ商店街
田舎町は空気が… 2016年10月19日 23時 /赤食精肉店と書… 2016年10月12日 23時 /「よし。」 … 2016年10月11日 18時 /午前7時頃、心… 2016年10月5日 22時 /あやめ 2016年10月5日 20時
メッセージ一覧
清。 (プロフ) [2016年10月19日 23時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]田舎町は空気が澄んでいてとても心地好い。
自転車に乗って下り坂を駈けていると、秋の香りがする朝の風が頬を優しく撫で、何だか清々しい気分になった。
今日は快晴であった。
青々と茂った木の上ではお天道様がピカピカ光る顔を晒して、道を照らしている。
しゃーっと気持ち良い音を立てて勢い良く坂を下ると、いつも通りの桜並木に通り掛かった。
春ならば薄桃色した花弁が風に混じって舞うのだろうが、秋である今ではなけなしの葉っぱが枝の上でひっそり揺れているだけである。少し残念な気分だ。
士族の家計のお陰で田舎に建つには立派過ぎる実家に居るのはどうも息苦しいけど、古びた校舎に蟠る実態の分からないクラスメートと過ごすのもどうも辛かった。
だから登下校するこの時間が何よりも至福であった。
傷みを知らない短髪が掻き上げられ、体の芯の芯まで清々しい。
感嘆を吐くように溜息を付くと、中の悪い気は抜けてまた頑張ろうって思える。
単純な人間だこと。ばあ様はそう、僕を笑ったっけ。
枸杞 (プロフ) [2016年10月12日 23時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]赤食精肉店と書かれた鉄の看板の店奥で、口元が笑っただけの顔をいつも通りに貼り付けながら、蛇腹は準備をしていた。針金のような指で鉈を持ち、肉を捌いてトレーの中に入れ、一定の量の肉がたまるとショーケースに入れる。そんな淡々とした作業をただこなしていた。ふと、時計を見るともうお昼時だった。掛けていたエプロンもまた解体した肉から飛び散った赤いドリップ液で汚れていたが、そんなことに蛇腹は気づいていないようで、そろそろお客さんも来る頃だな、そう思い蛇腹はそのままの格好で店の奥から出ると、でこぼこした古い霞みがかっているガラス戸の向こうで人影が見え、蛇腹は急いで店の内鍵を開けて、その人影を出迎えた。
「ああー、お待たせしちゃいましたか?すいません。なにをお探しですか?今日もいいお肉入ってますよ。」
そうどことなく違和感を覚えるようないつもの笑顔で。
.. (プロフ) [2016年10月11日 18時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]「よし。」
結われた髪を揺らし、片手にもったブラシを止める。
掃除は完璧、お湯の温度もちょうどいい。暖簾をあげるとするか。
腰にかけていた手拭いでぬれた足や手をふき、足袋をはく。
邪魔にならないように、と上げていた袖のひもを解き、羽織りを着る。
暖簾を上げる前に自分の部屋に戻って、両親の仏壇に手を添えた。
「本日も、お店の繁盛のため、よろしくお願いいたします。」
この店を継いだ月から毎日やっていることだった。父さん母さん、いつもありがとう。
部屋の隅に立てかけてあった暖簾を手にとり、玄関に出る。
赤い暖簾を下げれば、開店のあかしだ。
「さて、今日の一番湯はだれだろう。」
サクラギ (プロフ) [2016年10月5日 22時] [固定リンク] [違反報告・ブロック]午前7時頃、心地よい秋風を感じつつ、店を開けるために外へ出る。
「古本買取.リーブル古書堂」と書かれた看板を扉の隣に置き、軽く箒で店の前を掃く。
「あっ、おはようございます」
丁度店の前を通った人影に、にこりと微笑みながら挨拶をして