しじみごはんのボード
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ねこうさぎ (プロフ) [2019年10月6日 0時] 4番目の返信 [違反報告]王さまには息子と娘が居ました。王さまは二人が愛しくて愛しくて、毎日がとても幸せでした。しかし、愛しい愛しい息子が今、物言わぬ骸となっていました。娘も姿を見せません。王さまは雷のように跳躍し、太陽のように駆けて方々を探し回りましたが、娘は見つかりませんでした。
王さまは泣きました。泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて………途方もない悲しみに、ついには神に自らの死を願おうとします。ですが家臣たちは王さまに死んでほしくはありませんでした。この王国は王さま無しには成り立たなくなってしまっていたからです。
家臣たちは外国からやって来たという魔法使いにお願いして、王さまと国民全員に強い魔法をかけてもらいました。そして、「王さまに息子は生まれていない、娘も存在していない」ことにしてしまいました。
王さまは再び、民が願う理想の王さまになりました。しかし、魔法使いはとてもいじわるだったので、いじわるな魔法のせいで王さまはもう二度と、「笑うことも怒ることも悲しむことも喜ぶことも出来ない」王さまになってしまいました。やがて王さまはただ平和な国を保つ為だけの人形となり、その顔は常に無感情な微笑みが張り付きました。
唯一、偶然、暗示が解けた王さまの娘はサーヴァントを奪われたクリプターと共に、観測所のマスターに助けを求めました。
彼は微笑みを浮かべながら、息子のものとは違う、「乖離剣」を掲げた。