凪湖のボード

凪湖のプロフィール | 発言 (凪湖の最後の書き込み: 「幼い頃のことだ。 姉...」 @凪湖のボード [2019年3月16日 21時] )

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ケーキバース
ケーキの凛月とフォークの転校生
転校生がフォークで自分がケーキだと見抜いた凛月が血の提供を条件に転校生に契約を持ちかける話

凪湖 (プロフ) [2018年2月18日 2時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

林檎のように赤い唇が艶かしく動く様を、私は何もできずに見つめていた。ごくり、と喉がなる。
どーお?と彼が笑う。
「ねえ、俺がおいしそうに見える?おいしそうだよねえ、わかるよ、その気持ち」
「ち、ちがう……」
ふるふる首を振る私を追い詰めるように、彼はゆっくり言葉で私を囲って、逃げ場をなくしていく。それは、さながら狩りのように。
「なにが違うの?違わないよねえ。だってあんた、さっきから俺のことすっごく熱い目で見てるんだよ?よだれでも垂らしそうな、ものほしそうな顔でさあ。フォークじゃないなら、俺にそーゆー情があるってことになるよ?あーあ、あんたってばいつからそんな子になっちゃったんだろうね?」
「……っ、ごめんなさい」
目の縁に涙を溜めたまま、震える声で謝罪すると、凛月くんはちがうよ、と優しい声で言った。
「俺が欲しいのはそんな言葉じゃない。もっと、端的に。もっと、単純に。もっと、わかりやすく」
彼が何を求めているのか、私はこの時点でとっくに理解していた。それでもしらを切った。
「……凛月くんが、何が言いたいのかわからない」
「そう?じゃあ俺から言ってあげる」
そう言うやいなや、彼は私のリボンタイをグッと引っ張った。勢いに流されるがまま、前のめりになって、彼の顔の目の前で止まる。お互いの息がかかるほどの至近距離。彼は血のように真っ赤なブラッドレッドの瞳を細めて、私に最終宣告を下す。
「俺に血をちょうだい。そうしたら、俺もあんたの糧になってあげる」

凪湖 (プロフ) [2018年2月18日 18時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

「は、え……糧?」
「そ、糧。それともエサって言ったほうが良かった?」
クスクスと唇を歪めて笑う彼は、リボンタイを掴む手で、首筋に触れた。ひんやりとした指先が肌に触れて、びくりと体が反応する。
「ずーっと、美味しそうだって思ってた」
真っ赤なブラッドヴィジョンの瞳がきゅうっと細められる。心から楽しみで仕方がない、といった表情に見えた。
「前さぁ、針刺して、指、怪我したじゃん?あのときの血のニオイが忘れらんなくてねぇ」
つつ、と指で首の筋──頸動脈のあたりをなぞられる。
「俺、はね。あんたの血がどうしても欲しい、今すぐにでも。でも、それじゃ俺にしか得がない。あんたにアンフェアだ。騎士を名乗ってる以上、レディに不公平なことはさせちゃいけないじゃん?だから、どうしたらあんたから血が貰えるかなって考えてた」
そしたらさあ、と彼の声が弾む。
「あんたがフォークだってわかった!しかも、あんたのケーキは俺!」
神サマとか基本信じてないけど、あのときほど神に感謝したことはないよ、と饒舌に語ったあと、恍惚とした表情で私に告げた。
「ね、早くうんって言って。俺のになって」

凪湖 (プロフ) [2019年3月8日 2時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]
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