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(出会い目的の書込は法律で罰せられます→ルール)

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私は彼女を愛していた。
家の繁栄を願う為に用意された許嫁でも、例え彼女の想いが此方に向いていなかったとしても、私は彼女を何より誰より大切にしていた。
此齢になって恋に身を焦がすなんて、と笑われてしまうかもしれない。
若い時に周りと同じ様に色恋に身を焼いて一生を誓える相手でも居たら良かった。
そうすれば、彼女を満足させられる様な愛を詩えたかもしれない。
生憎、私は器用ではないし愉快な男でもないから思い出せる彼女との会話は恋人や婚約者と交わすものでは無く、仕事相手に対してと変わらなかったと思う。
其れでも彼女は、いつも楽しそうに笑っていた。其の儚く美しい姿を私は好いていた。
愛とは恋とは酷く厄介なものだ、自分が望む望まないに関わらず何をするにも彼女の顔が頭の中でチラつく。之ではまるで年頃の女子の様ではないか、と己に呆れた位だ。
そうして__そんな愚男の憐れな恋が打ち砕かれたのは六月も前の事だ。
彼女の家が大きな事業に失敗した。我が家や、其れ以外でも親しかった家が援助をしてやれば救う手立ては幾らでもあったかもしれない。
けれど、そんな不利益しか産まない危ない橋を渡る阿呆等居なかった。
私も、彼女の為に阿呆に成ることが出来なかった。
多大な借金を抱えた彼女の親は、闇市に最愛の娘を売り出すことで其れを返したらしい。
恐らく最善の決断だ。彼女や夫妻が望まぬとも其れ以上の方法は無かった。
神が其れを是だと云うならば、私達は従うしか無い。之で物語は始まることも無く終わる筈だった。
けれど、憐れな私は彼女を忘れることが出来なかった。
闇市を訪れ、人身売買に通じる犯罪者達に僅かばかしの金を与えれば直ぐに彼女の居場所は分かった。
"白髪の美しい女"彼女の麗しい姿に皆目を奪われるらしいが、其の値を聞いては溜息をついて去って行くらしい。
其の情報通り、実際に闇市で再会した彼女は窶れ汚れてはいたものの其の場に於いて異質な程に美しかった。
下劣な笑みを浮かべる商人が"彼処の女は徒花。貴族様は可哀想な女に興味がお在りですか"
其の物言いに多少の憤りを感じたが商人の言うことは間違いでは無い。彼女は不幸な徒花だ。
言い返す気力も湧かなかった私は、只黙って金を渡して彼女の枷を外させた。
「メアリー…」
半年ぶりに見る彼女の瞳には穏やかさも、優しさも残っては居ない。憎悪と嫌悪に満ちた瞳で此方を見る彼女に漸く私は声を掛けた。
「私は…君をどうにかして救いたかった。随分とこうして時間が掛かってしまったが…君を忘れられなかったんだ」
握った手に力が入る。
こんな時迄__、否こんな時だからこそ言葉が上手く出て来ない。
彼女が向ける視線の冷たさに私はきっと恐怖していた。

狐憑 (プロフ) [2019年5月1日 7時] 1番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

其れは、真冬の酷く寒い日だった。刻は黄昏に差し掛かり早く仕事が終わったのなら、自身の屋敷でゆっくりしていたかった。
そんな願いが叶わなかったのは何故かといえば、古い友人に奴隷商へと付き合わされたからだ。
「奴隷は私には必要無い。…興味も無いのだが」
なんて断り文句が受け入れて貰える筈も無く、半ば引き摺られるように馬車に乗せられた。
本当の事を言えば、興味がなかった訳ではなく関わりたくなかったのだ。
奴隷と呼ばれる彼等には自分達と同じ様な人権は与えられ無い。貴族達の気の向く儘に生かされ、殺されていく哀れな生き物、そんな彼等を見る事がショーンは何より嫌いだった。
貴族だろうが、奴隷だろうが、生まれた場所が違うだけではないか。誤差みたいなものだもしかしたら立っている場所が違っていた可能性だって十分にある。同じ種族を如何してあそこ迄迫害出来るのか理解が追いつかない。
異常が当たり前の世界では、何が常識だったのかも分からない。貧しい者を縊り殺して平等を謳う、寒さに凍え死んだ幼子を見て平和だと微笑む。地上は泉下よりも泥黎であった。そんな世界が可笑しいのだと考える自分さえも異常者なのかもしれないな、そうショーンは心の奥で自嘲する。いくら、私は正しいこんな理不尽が通ってたまるかと叫んだところで何も変わらない。
世の中には人が1人足掻いてもどうにもならないことがある。奴隷制がその一つだっただけだ。
諦めて仕舞えば楽なんだろう見て見ぬ振りをして、最初からそんなものは無かったかのように振る舞えばいい。
多くの人がそうやって息をしてきた。
自分だって、そうなるべきだった。
止まった馬車、窓から目に入る牢獄の様な建物に眉間の皺が更に深くなるのが分かる。
其の中には老若男女様々な人が居た。大柄な男、顔の綺麗な女、未だ幼い子供、今にも死んでしまいそうな老婆。
そこに居る全ての者達は総じて薄汚い衣服を纏い身体の至る所に傷を作っていた。首には枷を、檻の前には値札を、之じゃあまるで人間では無く愛玩動物か何かを売り出しているみたいだ。
沢山の人が居るにも関わらず、其の場はとても静かだった。貴族達は下卑た笑みを浮かべながら奴隷を品定めし、奴隷達はそんな暴虐者達の機嫌を損ねない様に息を潜め、それでも最後の矜恃を失わぬ様、憎悪を込めた双眸で此方をじっと見つめていた。
彼等のその瞳が恐ろしくてそっと視線を地面へと落とす。
自分が何か酷いことをした訳では無い。奴隷を差別的な目で見たことは無いし、非人道的な扱いをした事も無い。
然し、それは彼等には関係の無い事で己を助けてくれない世界の全てを敵視しているんだろう。
だから、此処には来たくなかったのだ。
人間の欲と、絶望と、醜さと_穢い物全てが詰め込まれている。異常な空間に吐きそうだった。
然し化け物ばかりの世では、人間の方が異端になる。友人が今日私を態々此処に連れてきたのも其の異常を治したかったからだろう。
"好きな奴を選べばいい、御前もいい加減貴族として上手に生きるべきだ"
余計なお世話だとは、言えなかった彼は私を想っての言葉を呉れたのだから…何度か又考え込んで嘆息を吐く。幾ら考え直しても答えは変えられない。
「…済まない、矢張り…」
私には無理だ。そう口を開きかけた時ふいと一人の少女に目が止まった。

狐憑 (プロフ) [2019年4月13日 11時] 1番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

背の低い、華奢な未だ年端も行かぬ少女。特別美しいわけでは無い、変わった容姿をしていたわけでもない。
そんな少女が唯一周りと違っていたのは其の表情だった。
少女は只、ニコニコと笑っていた。
此地獄の様な場所で、弄ばれる側である筈の彼女が誰よりも愉しそうに無垢な笑みを、浮かべていた。
彼女に瞳を奪われたのは、私だけでは無かった。周りに居た多くの貴族は幼い子供が自分の不幸な境遇を嘆いて狂ってしまったのだと囁く。不気味な子だと1度向けた視線を直ぐに外した。
然し、私は矢張り普通の貴族には成り得ない。気が付けば狂った少女の目の前に居た。不思議で仕方なかったんだ、其の笑みが狂気を帯びたものには見えなかったから。
彼女が此方に気付く、私が近くに寄っても彼女は未だ笑っている。
こんな世界の何がそんなに愉快なんだ、裏切られた筈の君が如何してそんなに幸せそうなんだ。
頭に浮かぶ問はどれも子供に聞くべき事じゃない、結局帰ってくる答えに怯えて其れら全てを聞けなかった。
変わりに腰を落として少女に目線を合わせる。急な事に驚いたのか不思議そうに彼女は首を傾げた。
「急に声を掛けた無礼を許して欲しい…私は君に興味が有るんだ。良ければ名を教えてくれないだろうか。」
我ながら堅苦しい口調だと心の奥で苦笑した。
彼奴も気狂いか、と誰かが呟く声がする。
構わない。其れでも私は彼女と話をしてみたかった。
その無垢な瞳が見詰めていた世界はどんなものなのか、気になってしまった。

狐憑 (プロフ) [2019年4月13日 11時] 2番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

エラー起きたと思ったら…纏まらなさ過ぎて気持ち悪い…

狐憑 (プロフ) [2019年4月13日 11時] 3番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

頑張ってロル返せるようにしたい

狐憑 (プロフ) [2019年4月13日 11時] 4番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

人狼J (ションエマ貴族奴隷パロ)

狐憑 (プロフ) [2019年4月20日 23時] 5番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

つまらない話だ、と心の中で舌打ちをしながらルイは目の前の女性達の話を聞いていた。
勿論、それは顔には出さない。面ではにこにこと笑いながらそうなんですか、知りませんでした、ありがとうございますと適当に頷いている。
「あの森には魔女が出るのよ!」
「貴方みたいな良い男、直ぐに捕まって食べられてしまうわ、」
「今夜は泊めてあげるから森を渡るのはやめなさい!」
ぺらぺらと聞かれてもいないのに、随分とお喋りな人達だ。そういえば、これくらいの年の女性は噂話が大好きだと聞いたことがある。特に悪口や下卑たゴシップ。暇な主婦達にはいいネタになるらしい。
それに、若い男が好きだ。
自分の容姿が優れていることは知っていた。魔女である母はそれはそれは美しい人だったらしい。そんな幻の色香に惑わされた男によって出来たのが自分だ。
それを譲り受けてきたのだから、人目を引いても仕方ないのかもしれない。目立つのは面倒くさいから嫌いなんだけれど。
「大丈夫です。行き先は森を抜けて直ぐですから。ご婦人達の心配には及びませんよ」
にっこりとわざとらしく笑んでみせれば、年甲斐も無く婆達は頬を染めた。その隙を見て、頭を下げながら横を通り過ぎる。
無闇矢鱈に人に行き先を話すのは良く無いな、変な輩に絡まれる。と頷きながら日が暮れる前にと目的地を目指した。
ルイが今訪れようとしている場所は、森の奥にある小さな魔女の家だ。
普通の人間ならば、気味が悪くて誰も近寄ろうなんて思わない。そう、人間ならば。
ルイーズ・シルヴィアはその容姿をしながら人間では無かった。否、半分は人間なのだ。もう半分が、忌々しい魔女の血というだけで。
魔女の隠し子なんて不名誉はあっても邪魔なだけ。魔法が使えるといっても、大した力では無いのだからこれなら無い方がマシに思える。
世の中は理不尽なのだ。望まない力は手に入るし、それを手放すことが出来ない。それでいて周りには虐げられる。
人と関わらない選択をした彼女は間違いではなかったのかもしれない、と今日会うはずの少女のことを思い出した。
彼女はルイが唯一、気にかけている少女だ。
理由なんて考えたことはないけれど、恐らく同じ人ならざる力を持っているからだろう。
最初に会った時は、まだ10にも満たない子供だったと思う。
気丈な姿は勇ましかったが、その背中が少しだけ哀をまとっていたから情が湧いた。
あの頃は、自分にもまだ人間らしい心が有ったのかと驚いたくらいだ。
放浪者である自分が妹のように可愛がっている少女だ。年に数度も会えないが、たしかに彼女に愛は感じていた。
人間らしい愛を。
「あの子を魔女だなんていう奴らの方が、余程化け物らしい」
感情の入らない言葉を吐き捨てて、暫く歩いたその先に変わらないその家があった。
嗚呼、駄目だ。あの子に会うのにこんな醜い顔をしていてはとその無表情を掻き消して、優しいお兄さんの顔を貼り付ける。
もう一年も会っていない。彼女はまた成長しただろうか。元気な姿を見せてくれたらいいけれど。
そんなことを思って小さなドアをノックした。

狐憑 (プロフ) [2019年3月9日 19時] 1番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

悪魔は数千年の眠りから漸く目を覚ましていた。
それは気が遠くなるような永い時間だと思われるかもしれない。しかし長命の生き物にとっては大した時間ではなかった。せいぜい少し寝過ごしてしまった程度のくらいだ。
しかし、悪魔が思う以上に他の種は短命で聡明な生き物だ。
たったの数千年で数え切れないくらいの死と生を繰り返し、過ごす世界を変えていく。
目を覚ましたそこは眠りについた時とは遥かに違う場所であった。
「ふぅむ、あちらの世は昔とはなんら変わりがなかったが…人間はやはり愉快な生き物だ」
しかし、どの時代を生きようがどれだけ進化しようが欲や願いは溢れている。
願いの悪魔が不要になる世界など一向に来ないということをその悪魔は理解していた。
____しかし、悪魔が思っているほとこの世に生きる人間は愚かではなかったのだ。
声をかければ不審者だと罵られ、願いを叶えてやると言えば変な人だと目を逸らされる。奴らは昔から異端に対し厳しい奴らだったがまさかここまでとは思っていなかった。
結果、今の時代に悪魔に願い事を叶えてほしいなんて思う人間はどこにもいないのだ。
「何故だ‼︎欲のない奴は居ない…それなのに何故それを叶えようとしないのだ‼︎」
木の上であぐらをかきながら悪魔は空を仰ぐ、その瞳は悲痛に歪んでいた。
彼にはその他にもいくつかの厄災が振り返っていたのだ。
キラキラの装飾類を烏に突かれ、腰に巻いた布を野犬に噛みちぎられ、今の彼の姿は悪魔が聞いて呆れるほどに無様であった。側から見れば奇襲にあったようにも見える。
悔しそう唇を噛みしめる彼は心底無様だった。
「…同種も見かけたが、天の使いもちらほらと…どうにもやりにくいのは奴らのせいか…」
とついには自分の不幸さえも天使のせいにし始めた。ただ、彼が不運なのは全て彼が悪いのだが此方の世に昔よりも敵種である奴らが増えたのは事実だ。
敵種とは言え天使にせよ悪魔にせよ全ては神の奴隷。人に試練を与えそれを乗り越えさせるべき悪魔と人に救いを与える天使とは似つかないように見えてその本質は同じところにあった。
そんなことはこの悪魔ももちろん分かっている。けれど納得がいかないのはただたんに自分のやることがうまくいかないのは気に入らないからだ。
駄々をこねる子供のように自分の髪をぐしゃぐしゃとかき回し、人気のない道へと姿を消した。その先で敵種もとい自身が嫌う天使に会うなんて想像もしていなかっただろう。

狐憑 (プロフ) [2019年2月27日 11時] 1番目の返信 PCから [違反報告・ブロック]

自分の生まれを不遇だと感じたことはない。
幼い頃から大抵のことは願えば叶得ることができた。美味しい食事も、暖かい寝床も望むことなく手に入れられた。
こんな話を貴族達の前ですれば、何を当たり前のことを言っているんだ。と鼻で笑われそうだが、此れは当たり前のことではない。
此の国は貧富格差の激しい国だ。
貴族達は貧しい人達から巻き上げた税金で好きなだけ贅沢をする。それも自国で使うわけではない。わざわざ他所の国に出向き、綺麗なドレスだ、良質な葉巻だと金をばら撒く。国民から巻き上げた金を他所で使えばどうなるのか。それが分からない程、此の国の金持ちは愚かなものばかりだった。
金が無くなったなら国民から巻き上げれば良い。そんなことばかり考える貴族のせいで、国は更に貧しくなっていく。
なんて馬鹿馬鹿しい話だ。とエリオットは呆れ返っていた。
今日訪れた此の場所もそうだ。
奴隷オークション。貴族の娯楽の為に立てられた酷く愚かで、醜い、人の欲が溢れた場所。
奴隷制度なんて作らずに彼らに普通の仕事を与え、それに相応する賃金を与えればいい。そうするだけで経済は今よりもっと安定する。
けれど此の場所では、奴隷を人として扱うこと自体がまるで間違いだ、異端だ、というようなそんな場所だった。
「嫌な所だ。等しく皆母の胎から生まれたものだということが信じられない…」
誰にも気づかれないように、そっとエリオットは呟いた。
貴族だろうが、奴隷だろうが与えられる命は同じものだ。神から授かった命は母に宿りこの世に生を成す。人間性善説というのもあながち間違いではないのかもしれない。
大事なものは生まれではなく育ちなのだと改めて理解させられる。
嫌な場所だ。早く帰って休みたい。
そう思っても行動に移せないのは今日の同行者が父の兄。つまりは自身の叔父だからである。
彼は自分の思いを必ず通さなくては気がすまない人だ。彼の意見も待たずに帰りたいなどと進言すればまた面倒臭いことになる。それがわかっていたから、息を殺して他の貴族と同じように奴隷を物色した。
沢山並ぶ奴隷をゆっくりと眺めながら端から端へといどうする。値札のつけられた奴隷達はどれも皆やつれていて、男から女、老人から子供まで様々だった。
ふと、視界に赤い長髪の少年が目に入った。
珍しい髪色だったこともあるが、その少年は他の誰よりも美しい顔立ちをしていた。普通ならこういうのが好きな貴族達にあっさりと買われていくだろうに、そうされなかったのは呪われた赤のせいだろうか。
貼られた値札も年頃の男児にしては随分と安いように思う。
気づけば、その少年の前に歩みを進めていた。
「やぁ、こんにちは。君は珍しい髪色をしているんだね」
にっこり、といつものように他人に向ける愛想の良い笑みを浮かべて声をかける。
そこでようやく綺麗な青の瞳がこちらを向いた。

狐憑 (プロフ) [2019年2月4日 12時] 1番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

授業終了の鐘の音を少女は人気のない屋上の隅で聞いていた。
人間である自分はこの世界において非常に珍しい。授業中に席にいなければそれなりに目立ってしまうだろうということも分かっていた。
それでも彼女が教室から抜け出したのは、自分に向けられる奇異の目に耐えられなかったからだ。
「人ではない者達も、やっぱり自分と違う種には興味があるのかしら…。あぁ、そうね。興味があるから私はここに居るのね」
独り言のようにポツリと呟いて少女は目を伏せた。ここにいても、どうせ直ぐに誰かに見つかってしまう。
煩いのは嫌いだ。
元々居たあの世界でも変わった髪と目の色のせいで、酷い思いをしたものだ。
人は異端を許さない。自分と違うものはそれだけで悪になり得る、それだけで虐げる対象になる。
安直で、愚かで、間抜けな考え方だと常々思っていたがそれを一人が吼えたところで何も変わらない。どの世界でも、強いのは意思ある一人ではなく大して深く物事を考えないその他大勢だ。
けれど私は、そんな世界に戻りたいのか。と問われればそうだ。と迷わず答えるのだろう。
特別情に強いわけではない。どれだけ不遇な場所でも生まれ育った場所というのはやはり愛しいものだ。
それに
「兄様が、きっと心配しているわ…」
たった一人の兄は、自分を本当に可愛がってくれた。何も告げずにこんな場所に連れてこられてしまったから今頃酷く心配していることだろう。
生きて、愛する家族の元に帰るためにも気を抜くわけにはいかないのだ。
幸い自分は阿呆ではない。上手に立ち回ることが出来ればこの学園でも生きていける自信があった。人間だからと奇異の目で見られたとしても、人間だならと見下されるようなヘマはしたくない。
だから、あまり自由に行動するのも良い策ではないと自覚している。
次の授業は出なければと立ち上がろうとした時、ギィ、ィ。と扉の開く音がした。
嗚呼、誰にも会いたくなかったのに。まさかこんな所に来る奴がいるなんて。と心で舌打ちをする。それでもその表情にはぺったりと笑みが貼り付けられていた。
「こんにちは、良い天気ね。」
貴方はだぁれ?と別に知りたくもない問いを投げかけるのは、この場所で少しでも"味方"を増やしておきたかったから。

狐憑 (プロフ) [2019年1月28日 20時] 1番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]

ロル置いたり自分でなんかわちゃわちゃ書くとこ。

狐憑 (プロフ) [2019年1月28日 19時] 1番目の返信 スマホ [違反報告・ブロック]
(C) COMMU