追想
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666 (プロフ) [2019年9月8日 14時] 2番目の返信 [違反報告]──四つの柱があるんだが、知っているかい?
一つ目は自己犠牲と平等を謳う、【中立の柱】。彼らが裏社会の調整を図っている。決闘の立ち会い、世代交代の宣誓、裏切り者への裁き。彼らがいることで多くの組織が安定して存在できている。表社会へ手を出そうものなら、こっぴどく彼らからの裁きを喰らうからね。表からの介入も、こちらから表への介入も、全て防いでくれている。
けれどこの柱は中立、平等を謳いながら、同時に自己犠牲をも謳っている。この意味が、分かるかな?
……彼らは天秤だけではなく、短剣を併せ持つ。その本質に、己の死ですら手段とする彼らは、常に傷だらけさ。己の価値を正しく見ながら、軽視するんだ。
君には辛いかもしれないね。
二つ目は破壊と守護を謳う、【矛盾の柱】。彼らは破壊工作や暗殺を多く請け負う柱だ。その実力の高さの代わりに、彼らは多くの報酬を要求する。そのために傲慢、強欲の柱とも呼ばれることはあるけれど、彼らがいることで一種の秩序が保たれているのもその通り。力がないものが、その身を差し出す覚悟で最後に賭けるのが、ここだ。
けれどこの柱は破壊、矛盾を謳いながら同時に守護をも謳っている。彼らを示すものに、盾がある。
彼らは竜として描かれるけれど、そこには多くの意味が内包されているんだ。本当に守りたい者ができたとき、失いたくないものができたとき、彼らは竜のごとく怒り一人のためだけに……一つのことだけに力を振るう。
君はそういう者に成れるかな。
三つ目は自己愛と知恵を謳う、【情報の柱】。彼らは裏社会の情報を網羅しているようなものだ。それゆえ彼らは厄介者扱いされることが多い。情報は武器になるからだ。彼らの情報網は広い。全てとは言わないまでも、予測を併せれば大局を見通せるからだ。対価なしには動かない柱だけれど、彼らを動かすことができれば情勢がひっくり返る。
けれど彼らは、知恵を謳うくせに自己愛も謳っている。彼らは嘘を吐くんだ。誰も愛せなかった代わりに自分を愛して、自分のためにと嘘を吐くんだ。情報を集めても、いくら知恵を付けても、彼らは寂しいままさ。
描かれるゴブレットは、空のまま。満たされない彼らは、愛を知れば愚かになる代わりに、孤独から解放されるんだ。
君は、孤独かい?
四つ目は堕落と創造を謳う、【虚偽の柱】。彼らは多くを扱うが、一番多いのは麻薬なんかの流通かな。運び屋や何かとして働いて、じわじわと組織を自分たちの傘下に置く。……ああ、【中立の柱】なんかとは仲がとても悪いよ。よく、対立してドンパチしているね。表社会へ手招きしたりも、するから。悪魔とも呼ばれることが多い。自己愛でも何でもなく、快楽から罪を犯すからね。
けれど彼らは、堕落を謳いながら創造も謳うんだ。彼らは堕落した後にあるところから、何かに変わろうとするんだ。何になれるかは、分からないけれど。
蛇は悪魔として解釈されるけれど、人に火という知恵を与えたのもまた、悪魔なんだよ。
君は誹られてまで創りたいものがあるかい?
どの柱も厳しい宿命がある。どの柱も重い願いを持つ。無意識にせよ、意識的にせよね。
勿論柱とならなくたって良い。柱と呼ばれるのはつまり、支える者であるからだからね。君は柱になるかい? それとも、ただの組織に入って柱たちと付かず離れずやっていくかい?
どこに行ったって良いさ。裏社会なんて、すぐに栄えてすぐに衰えるんだからさ。