あらゆる怪異による破壊を押し付けられるガス会社さんの気持ちになれよ!!!
諸君はTVのワイドショーに、新聞の6面目あたりに、あるいは大手検索サイトのニュース欄に次のような見出しが躍るのを見たことがあるだろうか?
「○○市の道路に巨大な陥没穴」「××市の小学校で約30名が体調不良を訴え...」「△△市のラーメン店が全焼」etc etc......
怪異、そうこれらは怪異によるものなのだ!!人類史の遥か昔より存在する理屈では説明のつかぬ怪現象、古の世に妖怪変化・魑魅魍魎などと呼ばれたそれは科学が万事を説明する21世紀の人の世においても人知れず息づいていた。
そして人知れず、それら怪異と戦う者たちがいた。陰陽師、御庭番と怪異同様時代によって名を変えてきた彼らは現在"機関"と呼ばれていた。
彼らの戦いは残虐・苛烈を極めた。長きに渡り相伝され弛まず進化し続けた怪異殺しの技術と、21世紀には似つかわしくない過激な訓練によって鍛えあげられた肉体は絶対的な勝利とともに市井への破壊をももたらした。
無辜の民が自らの言葉を発する権利すらなく、また時の政体が絶対的な権力を振るった嘗ての世であればさておき、誰も彼もがカメラを内蔵したスマートフォンを持ち歩き指先一つで世界に情報を好きなだけばら撒きそれを閲覧できる21世紀の世でこれらの破壊を隠匿することは困難を極めた。
さて、冒頭の話題に戻ろう。諸君は気付いているだろうか。これらの見出しがきまって次の文句で結ばれることに。
「老朽化した配管から漏れたガスが長年に渡り蓄積されそれに引火・爆発したとみられている」「周囲から硫黄のような臭いがしたことから警察、消防はガス漏れがあったとみて調査を進めています」「火元となったのは厨房のガス管と見られており」etc etc......
そう、表の世界に決して顔を出さない"機関"に代わってその責を負うのはいつも決まって何も知らない一般企業、東都ガス株式会社であったのだ!
"機関"がこの便利な隠匿の文句を思いついてからというもの、東都ガスの株価と社会信用と春と秋2回出るはずの特別賞与は下がるばかり。その上日々の点検リストの訳の分からない項目ばかりが増えていく。
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