宇露戦争は冬を越せるか
ウクライナが南部で攻勢を開始した。現地は10月頃には冬が訪れ雪に閉ざされる。季節的にはギリギリのタイミングだ。
ロシアとしても冬が来てしまえばウクライナの攻勢は困難になるとみているらしく、とにかく冬まで戦争を長引かせようとしている節がある。比較的質の高い装備をもって再編成されたロシア軍第三軍団はこの目的のために投入されるという考察もある。
そしてその間に制圧した地域の支配を既成事実化するつもりなのだろう。これはウクライナと国際社会にとっての敗北を意味する。
各方の戦力的にはどうなのかというと、ロシア軍はまだまだ余力を残しているとみられる。正規戦力のローテーション配置はいまだ機能しているようであるし、総動員もかかっていない。もっとも、総動員をプーチンがかけられるのかは疑問の余地があるようだが。消耗こそしているが未だ有力な戦力を有しているとみられる。
各種砲弾に関してもかなりの在庫を有しているとみられる。ただし、ウクライナ軍のHIMARSを始めとした長距離兵器による精密攻撃で戦線の弾薬庫が破壊されているので在庫はあるが戦線に届かないという状況になっている。事実としてこの一か月でロシア軍の砲撃の量は開戦当初に比べて半減したとのデータがある。
ウクライナ軍は総動員がかかっているので一応は70万人をそろえたということになっている。ただし大半が後方の警備に当たっている予備役や志願兵なので攻勢に耐えうる戦力は一握りと思われる。
特に今月砲兵部隊が歩兵に改変されたとの報道が合ったためこれが全軍的に起こっているのであれば正規の戦力が枯渇し始めたことを意味する。ただし報道の感じだと当該部隊が何かをやらかして懲罰的に歩兵として投入された可能性もあることに留意。
装備の面では見た目上は充実しつつある。攻勢の要である戦車に関しては東欧から即戦力化可能なソ連製戦車が数百両送られているし、ヨーロッパ諸国の送った最新鋭戦車もぼちぼち戦力化できてくるころであろう。
火砲に関して言えばHIMARSについては言うまでもなくM777等強力かつ精密攻撃可能なものが投入されつつある。ただし主力であり全域に配備されているソ連製152mm砲の砲弾が枯渇しだしており、かつ東欧諸国の在庫も全部出尽くしたとの報道がある。
航空戦力は温存に成功している、というかロシア軍の防空網による損害を恐れて温存せざるを得なかったというのが正確か。しかし今月に入ってアメリカから供与されたこれら防空兵器を無力化可能なHARM対レーダーミサイルの実戦投入に成功し航空戦力の作戦投入が始まりつつあるようだ。
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