折 ちゃ （ kt 様 ）
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生きることへの執着を亡くせば幸福になれるって、そういうことを最期に教えられたような気がした。
クラウディウス・アーノルディにとって、意味を持たない物は多くある。たとえばそれは、約束された地位。長く歴史に書き連ねられた系譜。見掛け倒しの愛の言葉と、不条理に嘆く感情の一欠片。或いは、そうだ。従うがままに生かされた己の命とか。
紅茶に溶かしたスプーン一杯の蜂蜜。それを思わせるような淡い光に輝く金の髪が風にさらさらと揺れた。頬杖を立てて、ぼんやりとした眼を無理にこじ開けることもせず、遠くの空を眺めている。湖の底と新緑の鮮やかさをふたつ切り取ってパレットの上で水と共に混ぜたような美しい緑の瞳はまるで、目に映るそのままの景色ではなく、瞼の裏でさえ見た夢をあやふやな形を持って世界に映しているようにも見えた。
身に付けているのは黒の軍服。左の腕には腕章を付けており、色から佐官であることが分かった。そうでなくても、その男が一体何者で、この陸軍においてどれくらいの地位を保っているものか知らないものはきっといない。
アーノルディの名は嘗ての王族の次にこの国では名を馳せたものだった。百余年続いた前王朝を影で支えた功労者。それでありながら、王が落ちぶれ、軍事国家へと変わり、従う相手が変わって以降もその名は落ちることを知らない。クラウディウスはその名を継ぐ一番若い者であり、その出生があまり恵まれたものでなかったからこそ、人目を集めるのは必然だった。そうして、幼い頃から望まず押し付けられた厄介な視線を彼が拒むことも必然のような気がする。
歳若いうちから陸軍の歩兵連隊長を任される実力者。彼は勤勉な努力家であり、才に恵まれるだけでは妥協せず、血の滲むような想いを糧にその地位を勝ち取った男だが、世間の目はそう上手く解釈してくれない。親の七光り、汚れた血、名家に波紋を産む庶子。唯一彼のすべてを理解していた愛おしい人は、彼がまだ今よりも若い頃にもう帰らない人となった。
愛おしさは永劫続かない。命がそうであるように、いつか失われるものは初めからないことよりも重く、深く、心の奥底を傷付けるものだ。だからこそ、それをよく理解した彼の人との距離の置き方は理想的とも言える。今だって、訓練終わり自由を許された些細な時間の中に彼に声を掛けたいと思うような物好きはいない。それでいいと、クラウディウスは思っている。
「煩わしいよりマシだ」
軍基地の片隅。ほんの気まぐれのように造られた庭園は彼が一人を選ぶ為の隠れ場所。思い返してみれば、幼い頃からそういう場所が好きだった。誰にも見つからないような、気取られないような、邪魔にならないような、それでいて邪魔されないようなそんな場所。許される限り、一人を選ぶ彼にとってそこにいる時間だけが少しでも心が休まる時間だった。
そう、だってこんな偽善的でつまらない場所に来る兵士なんて居ないのだから。
きつつき (プロフ) [2021年8月11日 18時] 2番目の返信
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（ ふら ゝ 、 自身が 行きたい方向へ 歩いて行く。
何も考えずに 、 景色を見ているようで 何も見ていない 。
数名の 兵士と すれ違い 、
自分の纏う 服装を見て 慌てて頭を下げるもの や 避けるように俯き ひそ ゝ 、 と 何かを喋りながら 通り過ぎて 行くもの 、 あからさま 嫌そうに 眉を顰めるもの など 、 様 ゝ な 反応を 見せた 。
ノアは 何時ものように 愛想良く 、 愛らしく 微笑み 手を 振って見せたり 、 自身も 頭を下げたり 、 少し 声をかけてみたり してみた 。
と、 適当に 歩いていたせいか 何処かで 変なところで曲がったのか 、 良く分からない 道に 来てしまった 。
さっき 会った奴、 何故教えてくれなかったんだ…、なんて 少し腹を立てつつ 、 戻ればいいものを まだ 適当に歩く。
不意に 窓を 見てみれば 、 庭園の ような場所に 少し見覚えの 有る 黒い 軍服に 、 目立つ 蜂蜜色の 金髪 。
少し 悩んだ後 、 ゆっくりと 歩き始め 、）
「 何 1人で ぼーっと 座ってんの 、 クラウディ ？」
（ なんて 嫌味ったらしく 声をかけ 、）
なー。 (プロフ) [2021年8月11日 19時] 3番目の返信
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