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666 (プロフ) [2019年9月20日 17時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

スクールカウンセラー、というのは広貴にとっては一つの側面だ。だって元々、非常勤で色々な職場を持っているから。例えば今日は近場の高校で働くけれど、明日は少し遠くの会社でカウンセラーをやる。
まあ、そんな感じで。
「ふむ……」
学生のカウンセリングを終えて、その担任へ顔を見せようと思った職員室。目当ての教師を目で探しつつも、良いとは言えない空気に首を傾げる。
広貴は人としては欠けたところがある。共感能力の低さ。だから、時々。空気というものを読めないまま場を掻き乱してしまうこともあるのだ。
「斎賀先生。斎賀、正臣先生。カウンセラーの近江と言います。少々お時間、いただけませんか?」
ギスギスした空気の真ん中へ足を運び、広貴は微笑む。自分だから許されることもある、と知ってはいたけれど、意識していたかはまた別の話だ。

666 (プロフ) [2020年3月20日 8時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

ああ良かった、と特に思っていないことを口にして、それから目を細めた。本当なら職員室で用事を済ませてしまったが、この空気では無理だろう。
白衣のポケットに手を突っ込み、鍵を探す。ああ、丁度あった。今度はきちんと思ったことを口にして、広貴は一つ頷いた。
「それでは面談室を使いましょう。斎賀先生をお借りしますね」
ほわほわとした口調で焦点がズレた発言をして、意識を逸らしたまま彼を職員室から連れ出した。即断よし、即答よし。何も悪いところなんてなさそうな、普通の人に見えるのだけれど。
それでも多分、この空気にしたのは彼だ。そう判じてまた一つ頷いた。
「失礼しました」
思い出して職員室の教員たちへ礼を尽くす。軽く口元を緩めて、くふくふと笑った。分からないものをきちんと使って、意味なんてあるのだろうか?
そのまま少し歩いて、面談室を開ける。まずは仕事だ。まずは。
「それでは座ってください。まずは軽く自己紹介からしましょう」
それから、お仕事の話でもしましょう。そんな風に微笑んで見せた。

666 (プロフ) [2020年3月20日 18時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

「互いのことが分からないまま仕事をしても、つまらないですしね」
私はカウンセラーの近江広貴です、以後宜しくお願いします。
そんなことを言ったところで、以後宜しくするかどうかはタイミングの問題だけれど。にこにことした笑みは崩さないまま、カウンセリングに使った脇のファイルを机に広げた。
名前を問う。知ってはいるけれど、問い直す。それで良い。自分なりの流儀に乗ってもらいたいから。
「因みに、字は広いに貴いと書きます。広くを貴ぶ人間になれ、ということらしいですね」
雑談に混ぜてそんなことを告げて、目を細めて見せた。

666 (プロフ) [2020年3月21日 14時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

「ええ、まあ知ってはいますねぇ」
あなたの教え子さんに聞きましたし、と言いながらファイルから守秘義務に触れない部分だけを抜き出した。
でも、と仕事の話をする前に口を開ける。人の名前はその人の口から聞いた方が正しい気がするんですよ、と。
「じゃあ、早速仕事の話にシフトしましょうか」
どこから話しますかねぇ、と口調はそのまま内容を変えて、広貴はばさりと紙の束を広げた。

666 (プロフ) [2020年3月22日 10時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

「今回は聴覚過敏気味の子ですね。音が痛いから静かな席に座りたい、とのことです。いつもはヘッドフォンで凌いでいるみたいですが」
生徒の名前と、相談内容とを指先で示しながら話し始める。広貴としては、自分で対処出来ないものを担任に報告しているだけのつもり、だけれど。
まあ、となんでもないことのように付け加える。
「席を変えてあげれば良いと思いますよ。それだけである程度気分転換になりますから」

666 (プロフ) [2020年3月23日 8時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

「あとは……うーん、休み時間にヘッドフォンをするのを咎めないようにすれば良いでしょう。音というのは感じ方もそれぞれですし、防御行動なら制限する方が酷です」
私からの提案はこのくらいですかねぇ、と広貴は頷く。それからメモを取り出した正臣のことを見て、手元の紙をくるりと上下反転した。読みやすいように、と近くまで押してやる。
それから、ほんの少し動きを止めた。眺めて、眺めて、ふっと笑う。目を細めて。
「カウンセリング、しますか? 人とは知らず知らずストレスを溜めるものです。それを聞くのが私の仕事ですし、経過報告を兼ねてお話、しませんか?」
真面目なあなたには悪くない提案だと思うのですが、と広貴は言う。

666 (プロフ) [2020年3月23日 12時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

仕事しかしていない、と思うも、感謝されるのも仕事の内だと広貴は飲み込む。功利主義の側面が強い分、不合理と思えたことに対して首を傾げてしまう癖があるが、流石に今それを出すメリットもない。
視線を気にしないらしい彼から目を逸らさず、広貴はくふくふと笑う。
「では、まずは雑談からしましょうか」
大人向けのカウンセリングと子供向けのカウンセリングって、実はやり方が少し違うんですよ。
広げていた紙を纏め直しつつ、広貴はゆっくり話し出す。
「私の仕事では人を見詰める必要があります。けれど、それは教師である斎賀さんも同じでしょう。ですから、手段の差から話してみませんか?」
もしかすると差異から面白いことが見えるかもしれませんし、と笑みを付け足して、見せた。

666 (プロフ) [2020年3月23日 19時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

同意ににこりと笑う。知らなければ分からないことが多い分、知ろうとする人間は貴重で、好きだ。説明のし甲斐があるし、話を聞くときも身構えずに済む。
「私はカウンセラーです。まずはハッタリでも信用してもらわなければ始まりません。そこから生徒に踏み込むのはある意味で不誠実ですが……まあ、仕事ですからね」
因みに大人に対してはそういうハッタリが通用しにくいので誠実さで信用を勝ち取りますねぇ、と話してみる。
反応を伺う。嘘が嫌いなら、多少眉を顰めるようなことを言った自覚はあるもので。

666 (プロフ) [2020年3月24日 8時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

ふふ、と笑みを漏らす。思ったよりも反応は抑えられていて、同時に、伸びた背筋が彼の気質を表しているようだった。いや、きっとそれが彼の気質なのだろう。
広貴はどちらかと言えば人でなしの部類に属している人間だ。言われてそれを知った。へえ、と思うだけだった。自分にしか関係が無いなら、それで良かった。
「斎賀先生は、どうなんですか?」
参考までに聞かせてください、と広貴は促した。それから指を軽く絡めてにこりと笑う。自然に見えるように。

666 (プロフ) [2020年3月29日 9時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]
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