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「そうそう。眼帯の彼」
「あいつはなあ……父親が飲んだくれで母親はアバズレだったらしい。んで、見切りをつけて幾つだったか……九つの時だったかに父親を滅多刺しにして、灯油だかガソリンだかを最終的には飲まして、焼き殺したそうだ」だから親の顔だけは知っとるはずだな、と言う。
「うわあ。すごい親不孝」
「だな」苦笑する。
「それで?」
「母親は逃げた、と言っていた」だがまあ親不孝も仕方がないしな、と零斗は溜め息混じりに言う。「あいつ、眼帯してただろ? あれの下はな、火傷があるんだ。……父親につけられた傷なんだよ、それ」
「ふぅん」
「あと体にも大量の火傷がある。夫婦揃ってあいつのことを焼いたのさ」
「それでも死ななかったんだ」
「まあな。火との相性が良かったらしい……お陰であいつの目はあの場所で改造完了。失明してたのも治った、つってたよ」
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