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「……気のせいかな」呟きつつも、結界を張る。
「……ああ、これか」自分の杖を天井に向ける。
「これ、ランクが高いやつなので」そして天井裏に何かを放つ。
「ふむ」何か天井裏で音がする。
「ネズミ、ですかね」苦笑し、小規模な転移を発動させる。
「ほら、こういうことです」転移され、黒尽くめの男が落ちてくる。
「まあまあ驚かない」男を氷で拘束し、笑う。
「さてさて」膝をつき、相手の顔を覗き込む。
「……ふむ、雇われと見ました」俺のこれ目当てですね、とすらりと音を立てて剣を抜く。
『っ……』唇を噛む賊を見て、幸葵は肩を竦める。「こういうのは殺してしまうより、雇い主を吐かせる方が得策ですね」そして、震えるその手に剣を突き立てた。
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