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悠夢×ノアどう始めましょう?
ふむ、研究対象を探しにいく悠夢とかにしますか?
あ、いいですね。森にします? 街にします?
森にしましょう、悠夢はフィールドワークが好きなのでっ
では森で散歩してますね。始めていいでしょうか。
あ、はいお願いします
では*森の中、みずみずしい緑の中で陽光降り注ぐ清々しい初夏のような雰囲気には不似合いに見える毛糸の帽子とイヤマフをした中性的な少年が歩いていた。手には肘上まで隠れる手袋、と重装備である。鼻歌混じりに歩きながら、おっと、だんご虫くんこんにちはーなどと少々電波なことを口にしている。
「……」眩しさに目を細め、がっつりくまの浮き出ている目で悠夢はふらふらと歩いていた。ただただ何かを探すように辺りを見回し、そして疲れたように溜息。「……」ふと、疲れたのか大きな木の幹により掛かり、悠夢は空を仰いだ。
「……あら」少年──ノアは木に凭れかかる人物を珍しげに見る。「お疲れですか?」声をかけてみた。
「……?」悠夢は顔を上げ、自分に声を掛けてきた少年の方を見た。そして、何も言わずにただ首だけを傾げる。
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