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「うう、どうしようどうしよう……」飲めないレベルではないが、結構しょっぱいスープの所存をサイは戸惑いながら考えていた。
「んー……」サイが居ないせいか、眠りが浅くなっているようだ。
……とりあえず、自分ではどうにもできないということを認め、諦めて藜兎に助けを求めることにし、寝室の扉を開く。
「ん……」扉が開いた音で意識が覚醒したらしい。ぼんやりと目を開けると、藜兎は軽く欠伸を溢した。
「わっ、起こしちゃいましたっ?」ごめんなさいごめんなさいと謝るサイはすっかりいつもの調子である。少々五月蝿いくらいに。
「ん……サイ……」藜兎はそれにお構いなくサイの方に腕を延ばす。……寝惚けて居るらしい。
「ほえ? 藜兎さん?」引き寄せられるままにその腕の中に収まる。
「どこ、行ってたんだ……」藜兎は寝惚けながらも、淋しそうに言う。
「え、台所にいましたよ?」そんなに淋しかったのだろうか。まあ甘えられるのは嬉しいのだが。
「そうか……」ぎゅう、と優しくサイを抱き締めると藜兎は頭を押し付ける。
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