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はいっ
よしっ、じゃあ繁華街からいきましょうかっ
はいっ出だしお願いできますか?
了解しましたっ ふらり、と零斗は繁華街に足を踏み入れる。肩書き上は教師だが、彼にそんなことは関係ない。気の向くままに体を重ねる相手を探すだけだ。「良い奴、いねぇかな……」
繁華街の真ん中で、翔那は人波を見ていた。物色するような目付き。今夜自分の欲求を満たしてくれる相手を探すためにこんな所にいるのだ。翔那は男子高校生だが、その実中学後半から淫行を重ねている。
喫煙はもう高校生頃からの癖。ストレスのためか最近喫煙数も増えてきている。あまり気にはしていないが、煙草を燻らせながら零斗は、ふと自分と同じような目をする少年を見つけた。高校生程度だろうか、彼は。なんとなく昔の自分を思いだし、零斗は彼のことを少し見詰める。品定めをしながら、少しの間。
ふと、翔那は一人の男性に目がいった。何となく、あっちも自分のことを見ている気がして。自分と同じ目をしてる、人を物色するような、品定めするようなそんな目。翔那はその男性を見て、少しだけ口角を上げると呟いた「………好みかも」
目が合った気がする。同じ目をしている気もする。……きっと考えていることも同じだろうな、と思って零斗は煙草を携帯灰皿に突っ込み、彼の方へ足を向けた。「……コンバンハ、暇してんのか?」目の笑っていない笑みを浮かべ、零斗は彼に問いかけた。
「こんばんは、おにーさん」二コリと笑うと挨拶を返す。まさかあちらから来てくれるとは、こちらから声をかける手間が省けていいものだ「うん、暇だよ。凄く暇。…おにーさんも暇してる感じ?」
「くっそ暇だな。見ての通り」思った通りの返答と表情に、ああ、今日はもう相手を探す手間がななくなったな、と零斗は内心で呟く。「もし良けりゃあ、ではあるがな、俺と暇潰しでもせんか? 夜は長すぎる」
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