Easyrevenge!

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Dream Diary

(^ー^) (プロフ) [2023年1月9日 1時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

私は奴隷商にいた。理由はわからない。まあ、奴隷を買いに来たのだろう。男装をしていた。
闇の奴隷商。まあ、奴隷商人なんてろくなやつはいないことにちがいはないが、その中でも闇深いところにある奴隷商を私は訪ねていた。それだけ必死だったのかもしれない。何に必死だったのかはわからないけど。
当然のように闇市の露店を回って、特にめぼしいものもなく、私はこの奴隷商のところに来た。何故来たのかと思うほど、闇市は退屈な場所だった。
「当店では多種多様な人間を取り扱っております。普通の奴隷商では出回らない異形のものや特殊能力を持つ者たち……年齢も性別も出生も様々。必ずやお客様のお好みに合う奴隷が見つかることでしょう」
店主はそう言って、下卑た笑みを浮かべる。私は無表情で流した。
セキュリティを徹底しているらしく、受付設備が整っていて、私はそこの嬢に身分を証明するものを提示し、入場許可証のバッジをもらった。商品の脱走もそうだが、賊の侵入を防ぐためでもある。
私が渡したのは黒い招待状だった。誰からもらったのかわからない。
入り口のゲートがバッジを読み取り、私はこの奴隷商へ入場した。

(^ー^) (プロフ) [2023年1月9日 1時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

「お客様はお気に入りのためなら金は惜しまないとお聞きしております」
「ああ」
頷いた私の目にはハイライトなんてなかっただろう。
私の世界は薄暗かった。
「ではとっておきの上物からご案内いたしましょう。上物は厳重に保管しておりますゆえ、かなりお金を積まれたお方でなければ、こうしてお見せすることもございません」
上物かどうかなど心底どうでもよかったが、どうやら私は事前にたいそうな額を積んだらしい。厚待遇だ。
厳重というだけあって、上物のところに辿り着くまでに三つのゲートを通った。最後のゲートに至っては店主の指紋認証と16桁のロックパスワードの入力がある。
その先にいたのは確かに上物だった。虹色のコウモリ羽根を持つ亜人。白い肌のやつと褐色の肌のやつがそれぞれ揃っていた。羽根の色艶、端の欠け具合は芸術的といっていい。ただ亜人と呼ぶのも野暮ったいな。幻獣種と呼んでもいいレベルの異形だ。
「こちらは一つ37万になります」
「安いな」
「ほほほ、わかる方ですな」
これは100万は悠に超えるであろう逸品だ。奴隷商で飼うよりいっそオークションにでもかけた方がいいのではないだろうか、と思ったが、奴隷商がオークションに出品する場合、手元には案外金が入らない。オークションはあくまでオークションのオーナーの元に金を入れるために開催されるもの。奴隷商は手数料しかもらえないのだ。それなら、破格でそのまま売った方が懐が潤うというものである。
「即決いただければ、値引きも検討いたしますよ。うちの自慢の商品です。どうなさいますか?」
私の答えは決まっている。
「即決はしない。金に糸目はつけないと最初から言っている。下手な商売は格が下がって見えるぞ」
「ほほほ、厳しいながらにありがたいお言葉。では次の商品をお見せしましょう」

(^ー^) (プロフ) [2023年1月9日 1時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

二つのセキュリティゲートを通った先は水槽。その中にたゆたうのはターコイズブルーの魚の半身を持つ者。水槽の前では、赤い鱗とヒレの形をした耳が特徴的な娘が歌いながら踊っている。
私は驚嘆した。
「不死の人魚と踊子草の八百比丘尼の番……現存したのか」
「おや、お客様は『実在』ではなく『現存』と仰るんですね」
亜人と一括りに呼ばれる異形の人種たちだが、私は異形のものに心惹かれる人種で、あらゆる文献、何千年も前の古文書まで解読をし、日々知識を更新し続けている。
その中でもかなり古参とされるのが「不死の人魚と踊子草の八百比丘尼の番」の伝承だ。「不死の人魚」は「ふじの人魚」と呼ばれ、水中では青や緑に煌めく鱗も日の本では藤色になるのだとか。その色合いの美しさ、繊細さは物語にて数多の言葉を尽くして語られるものである。
踊子草の八百比丘尼は元々は普通の人間だった。つまり後天的に亜人となったものだ。八百比丘尼とは人魚の肉を食った者が不死になる現象を射す。ただ、通常の八百比丘尼は人間が不老不死となるだけで、見た目は普通の人間と変わることはない。体から鱗が生えることもなければ、耳がヒレになることもないのだ。
踊子草の八百比丘尼は花の好きな踊り子だった。踊り子は当時卑しい職業とされていたが、それでも彼女は踊ることが好きだったという。
踊り子としての稼ぎの一部を貧しい家に仕送りして、自分は宿も取らずに生活していた。そんな健気な踊り子がある海辺の街を訪れたとき、踊り子は踊りの練習で足を踏み外し、海に落ちた。そんな踊り子を咄嗟に助けたのが、踊り子の舞う姿をいつも見ていた不死の人魚だという。
不死の人魚は踊り子の踊りが好きだった。永遠を生きなければならない人魚にとって、目を奪われた踊り子の踊りは手放しがたいものであった。
そこで人魚は踊り子に契約を持ちかける。自分の肉わやるから、私のために永遠に踊ってくれ、と。
踊り子は二つ返事で了承したそうだ。不老不死になれる人魚の肉に魅力を感じたわけではない。自分の踊りをただ美しいものとして見てくれる人魚の感情に心揺さぶられたのだ。
そうして踊りながら、心を通わせ、踊り子が人魚の肉を食らうと、踊り子の体は徐々に人魚に近いものとなっていったらしい。踊り子は言った。「私の中にあなたが満ちているよう」と。
「私のことを不死にするほど愛してくださるのなら、私の肉をあなたも食べて。大丈夫、私は死なないわ。あなたの肉を食べたもの」
この踊り子の狂った愛のフレーズがこの物語の中で最も有名なものだろう。そうして、踊り子の肉を人魚は食べた。人魚が歯を立てた部分を鱗が覆っているのだという。
淡く赤く反射する踊り子の鱗は踊子草に例えられ、踊子草の八百比丘尼と呼ばれるようになった。
互いに唯一の存在となった、確約された永遠の愛のおとぎ話。それが不死の人魚と踊子草の八百比丘尼である。
ただ、この二人が実在するという文献と資料が残されており、特にどんな魚類の鱗とも一致しない赤く輝く八百比丘尼の鱗は、その手の話に精通するものなら喉から手が出るほどに欲しい一品である。
「そこまでご存知とは。いやはやお見それいたしました。この商品は二体で一つの商品であるのと、管理が大変でありますゆえ、先程の上物よりも価格設定が上でございまして、一組で129万。一点ものと考えればお安い価格と存じますが」
確かに、不死の人魚と踊子草の八百比丘尼の番はこの世に一組しか存在しない。それを考えれば100万程度は端金である。
「他も見せてもらおう」
「かしこまりました」

(^ー^) (プロフ) [2023年1月9日 2時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

他にも幻獣と呼ぶべき存在、希少な成功例のキメラ、生きるために手段を選ばない狂気によって作られたフランケンシュタインなど、この店は評判に違わぬ品揃えだった。
だが、どれも私の気には合わない。
いい品ばかりであるのはわかるが、私の欲しいものではないのだ。
「この他となりますと、異能のものと安物ばかりになりますが……」
「かまわない。案内してくれ」
異能のものが亜人より価値が低いのは、異能のものは「異能を持つ」というだけで、特に外見的特徴はないからだ。
ここまでで察せられるだろうが、この奴隷商を訪れる者は異形のものが目当てであり、異能のものは二の次である。私もその類の趣味の持ち主だ。
それでも、この店の中堅どころであろう異能のものたちは、さすがというべきか、体に刺青のような紋様が浮かび上がっていたり、頭に羽根が生えていたり、腕と剣が一体化していたりと、異能の作用で異形要素を持つものを取り揃えてあった。
ここまで異形寄り異能を取り揃えるのもなかなかの苦労だっただろう。異能のものは特殊能力が使えるため、商品として、陳列させるのも大変だったはずだ。一つ一つ、能力の説明と金額の説明を受ける。3万から10万。上物たちと比べたら遥かにお手頃価格である。
けれど即決はしない。この店の品の全てを見せてもらい、気に入ったものだけを買う、と店主に話をつけた。
「ここから先はお見せするのもお恥ずかしいゲテモノばかりです。ご覧になられますか?」
「愚問だ」
そこは大勢が収用されている檻だった。ゲテモノとはこの店ではどのようなものを指すのかと思ったが、なるほど、ほとんど普通の人間と見た目が変わらないものたちばかりだ。奴隷商なら普通の光景だが、異形たちの品揃えを誇る闇の奴隷商としては、下手物と表現せざるを得ないだろう。
「ここには僅かな異能、服で隠れてしまう程度の異形、あとはただの身体障害者が詰め込まれております。神秘というよりは人間の業ゆえにここにいるものたちですね」
金に目が眩んだ誰かに売られた不作たち。それでも、私のように特別金を積んでいなければ、ここの下手物しか買えない者も多いだろう。悪徳ではない。異形のものを取り扱うという店のプライドのために、その看板を背負うに相応しくないものは相応の価格で売られるだけだ。
「ん?」
「何かございましたでしょうか?」
「あの緑の……灯火のような目の女の子……」
私がそう口にすると、店主はたいそう驚いた。
「あれは当店で最安値の商品ですぞ!?紫髪と緑に光る目が珍しいからこそ当店の商品として並べておりますが、特に異能もなく、口が聞けない粗悪品でございます。更には手の甲に目がありまして、それがぎょろりと動く姿が不気味で飼いたくない、と返品を繰り返される始末。商品である以上、売るのが商人であるため、最安値をつけていますが、あなた様のような審美眼をお持ちの方におすすめできるようなものでは……それに、返品されても困りますゆえ」
「なら、近くで見ても?」
「はい」
私は、その女の子に惹かれていた。くん、と心から伸びた糸を引かれるように、引き寄せられるように、その子の元へ向かった。
他の商品には、こんな感情を覚えなかった。愛らしい緑に輝く瞳はぼうっとしていて、どこを見つめているのかわからない。鮮やかな紫の髪は目が冴えるような美しさ。
袖の長い服で必死に隠そうとしている両手の甲の真っ黒い目。ああ、この異形を嗜まないなんて、他の者たちはなんて勿体ないことをしたのだろう。
それに……下手物だからか、上物たちと違い、肌艶がよくない。きっとろくに食べさせてもらえていないのだろう。口も聞けないのなら、主張もできまい。触れれば折れそうなほどに細い腕と体はもう華奢という表現だけでは生ぬるい。
そんなところが、私の庇護欲を掻き立てるのだろう。
私は店主に確認した。
「店の商品、私に見せていないものはあるか?」
「いえ、この下手物どもで最後でございます」
「わかった。ではこの子を買おう」
正気を疑うような目をされたが、この一目惚れは譲らない。
そして、購入手続きが終わり、店を出るまで気を抜いてはいけない。

(^ー^) (プロフ) [2023年1月9日 3時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

彼女の値段はなんと3000と某である。最安値とは言っていたが、1万はいくと予想していたので驚きだ。
財布に普段から入れている金額で買えてしまった。
貴重なものをたくさん見せてもらった果てに最安値の買い物だけというのも常識外れだが、私は気に入ったものしか買わないというプライドがある。金に糸目はつけない。だからこの子にいくら吹っ掛けられようと、払うつもりでいたが、返品対策だろう。最安値のまま購入することができた。
事前に金を積んでいてよかった。様々な亜人が見られてよかったのはある。後で謝礼金を贈るとしよう。お気持ち代というやつだ。
そういった約束をし、書面も整え、女の子は正式に私のものとなった。
奴隷商を出て、闇市を抜ける。誰もいない森の湖畔まで、彼女の手を引いた。ここなら人目はない。
私は思い切り、彼女を抱きしめた。優しく、優しく。
「あなたに会いたかった。きっとあなたに会うために生きてきたと確信した……」
そっと頭を撫でる。彼女はこのように慈しまれたことがないのだろう。戸惑っている様子だった。
「もえひもじい思いはさせないからね。一緒に美味しいものをたくさん食べて、寝たいだけ寝て、楽しいことをしよう」
それから彼女を露店に連れ回し、たくさん食べさせた。彼女は戸惑いながらも与えただけ食べてくれた。食べた後は静かに散歩。話し声がないから、風の音までよく聞こえる。
家に着くと、彼女に耳は聞こえるか聞いた。耳は聞こえるようだ。では筆談はできるかと聞いた。こくりと小さな頷きが返ってくる。
私はすぐさま紙とペンを用意し、女の子に持たせた。
「私は奴隷なのに、どうして良くしてくださるのですか?」
幼さからは想像もできないほどの流麗な筆跡。しかもかなりの速筆だ。いい買い物をした。
「あなたが私のお気に入りだからだよ。奴隷は主人の所有物だから、主人が何をしてもいい。けれど、主人がするのがひどいことばかりとは限らないよ。まあ、変わり者だと言われるけどね。……好きにしていいなら、労ったっていいじゃない」
頬に手を添えて、親愛のキスをする。ああ、この柔い唇が私のものだなんて。
「あとはお風呂に入って寝ましょうね。何か質問はある?」
すると、恐る恐るといった感じで、女の子は紙に文字を書いた。
「身を清めて寝るというのは……伽のことですか?」
その言葉に失笑してしまう。そういえば、まだ格好がそのままだった。
寝所とはいえ、私が突然服を脱ぎ出して、女の子はどぎまぎしている。正装を脱ぎ、シャツを脱ぎ、その下から露になるのは素肌とサラシ。
サラシをほどくと、女性的な部分がそれらしい膨らみを見せた。
「私、女なんだよ」
見開かれる緑。驚きに染まるのも美しいものだな、と私は眺めた。
同性だから、伽はしない。今はこの子にたくさんの幸せを知ってもらって、健やかに育つことだけを私は願う。肉付き、更に美しくなった彼女が、同性であって尚、伽を望むのなら、そのときはたくさんかわいがってあげよう。
ああ、愛しい愛しい私のための花。今夜からは私の腕の中で眠って──

(^ー^) (プロフ) [2023年1月9日 3時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]
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