江戸、薔薇街にて 本編

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はらりはらりと、血の様に赤い花弁が舞い落ちる。薔薇の咲き誇る花園に、一人、ゆらりと歩く影。影はぴたりと一輪の薔薇の前で動きを止め、その瑞々しい茎に手を伸ばした。茎を摘まむ白い指には徐々に力が篭り、遂にはポキンと花を手折った。手折ったそれを眼前に翳し、日を遮るための赤い番傘をくるくると回しながら眺め、そして、口へと放り込む。花の蜜の甘さを堪能するように口を動かし、咀嚼、嚥下。満足気に笑ったその時に、ちらりと鋭い八重歯が覗いた。
「うむ…わりと上手く育てられているな。先日は水を遣れんですまない」
慈しむように目を細め、ふわりと微笑んだ。ありがとう、と、言葉は通じなくとも、己の命の糧となってくれた薔薇に感謝を伝え、そして広い広い花園を見渡す。と、そこには見覚えの無い影。ゆらりと揺れながら、此方側へと近付いてくる。はて、このような場所へと訪れる物好きもいるものか。そう思いながら、珍妙なお客人に微笑みかけた。
「ようこそ、お客人」

圷. (プロフ) [2016年7月30日 14時] [固定リンク] PCから [違反報告]

(夜明さん専用)

圷. (プロフ) [2016年7月30日 15時] 1番目の返信 PCから [違反報告]

何やら生き物の気配を感じ来てみれば、懐かしい顔がそこにあった。今も尚神社に閉じ込められている身としては、人間すら見るのも珍しいというのに、こんな古い友人を見るなんて今日はついている。嬉しさを全面、狐面をつけているためわかりにくいが、嬉しそうに近付き微笑み返す。
「お、俺のこと覚えてる…?」
4つの尾をぱたぱたと横に振り、彼の手をとり見つめる。嬉しさ反面心配もあったが、気がついてほしい。
ずっと一人ぼっちでいたこの地で、忘れた日はなかった大切な友人だ。

(プロフ) [2016年7月30日 16時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

「…む?きみは…天火くんか…?」
足早に歩き狐面の彼に近づき、顔と四本の尾を見て、雫は顔を綻ばせた。透き通るような白さの頬を紅潮させ、真紅の瞳を細める。久しいな、と優しい声で天火に語りかけた。番傘を畳み、また一歩近付いた。
「覚えておらぬ訳がないだろう。愛しい友人の顔を忘れるほど老化しておらぬ」

圷. (プロフ) [2016年8月3日 17時] 3番目の返信 PCから [違反報告]

嬉しそうにこくこくと頷き、尻尾を無意識にばたつかせる。
「何百年ぶり!?俺千年くらいここの神社に閉じ込められちゃってさぁ、なかなか会いに行けなくて」
笑いながら早口で言うと、狐面を取った。顔はあまり見せたくないのだが古い友人ともなれば話は別だ。
そしてつもる話もあり彼とゆっくり話したいところだったが、これ以上は結界があり、先に進めなかった。
そのためしょうがなく彼の手を離す。
「これ以上進んだらお前も結界の中閉じ込められちゃうから、気を付けてね」
先程とは打って変わり、少し寂しそうな顔で微笑んだ。

(プロフ) [2016年8月3日 22時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]
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