まるさんかく

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依十 (プロフ) [2019年7月17日 22時] [固定リンク] スマホ [違反報告]

ずき、と頭が痛む。ゴーグルを掛けると遠慮なく顔を顰め、慈は頭を掻いた。隣の友人がそんな慈の不調に勘付いて心配そうな顔を見せるけれど大丈夫、と微笑んで慈は頭を撫でてやった。
今慈が居るのは、本来なら受けることもない精神感応系の異能学講義。この学園で出来た人見知りの友人が一人で講義を受けるのを辛い、と言ったから付き合って出席することにした、というだけのことである。
相変わらず異能の制御はしきれないけれど、それでも自分がいることでこの臆病な友人が助かるなら。……そういうどうでもいいと言えてしまいそうな理由で、慈は講義に出席したのだ。
「随分顔ぶれが違うんだなぁ」
そりゃあ異能の系統が全く違うもの、と友人に言われ、カルナは笑いながら机に頬杖をついた。講義室を狼の目で見て、ああ、こんな人が居るのか、と目を細めている。

666 (プロフ) [2019年7月18日 15時] 1番目の返信 スマホ [違反報告]

見たことない奴がいるな、第一印象はこれであった。
ようやく日常となった精神感応系の講義の教室に、見たことがない顔があったのを見逃さなかった。灰色がかった髪を緩く結び、友人であろう隣の生徒と話している。講義の時間のためまじまじと見ることはしなかった。
ただ、あの生徒のうち一人は精神感応系の能力ではないんだろう。明らかに筋肉が動いている奴のつきかたをしている。なら付き添いか、と安易に想像できた。
「……具合悪いのか…?」
ポツリと溢れた独り言は、教師の音読の音に紛れて消えた。
あまりじっと見ていなくとも、なんとなく体調が悪そうに見える。顔色だったり、姿勢だったり、案外わかりやすい。それだけで確定するものではないけれど、万全の状態ではないのだろう。
もう少しでこの講義も終わる。見たことない顔ぶれってことで話しかけてみるのもいいかもしれない。まあ、あちらの体調が良くなかったら、すぐにあちらの友人と一緒に先生に言えばいいか。
そう思いながら、ずっと座りぱなしで固まった重い腰を上げた。

依十 (プロフ) [2019年7月18日 18時] 2番目の返信 スマホ [違反報告]

付き合わせてご免、と言われ気にするな、と応えながら慈は目を閉じて異能を停止させようと試みる。……とはいえ、コントロールしきれていないのだから無駄な試みと言えばその通りで。
教師の声を右から左へ聞き流し、慈は出来る限り体力を温存するように力を抜いた。姿勢が悪くなるのはもはや仕方がない。
「……うーん」
意識を失うことも出来ないような半端な苦痛とはもう随分長い付き合いになり始めている。ゴーグルを一旦外し、眉間をぐりぐりと揉みほぐすと青味掛かった狼の瞳で時計を見た。もうすぐ講義も終わる。
どこかで異能無効化掛けて貰いたいなあ、と声には出さずに考えて、それから苦笑する。
チャイムが耳に痛い。耳の方にすら異能が発動してきてしまったらしい。ああ、騒音がキツいな、と思いながら帰ろうか、と隣の友人に声を掛けた。ふらふらと席から腰を上げ、気合いを入れるように深呼吸をする。

666 (プロフ) [2019年7月18日 18時] 3番目の返信 スマホ [違反報告]

「…おい、あんたら大丈夫か?」
一人は申し訳なさそうに、一人は顔色が悪そうで、それでもにこにこしている生徒に声を掛ける。どちらもぶっ倒れそうで、本当に大丈夫かと少し眉間にシワが寄った気がする。
二人揃って初めて見る顔ぶりだが、同じ講義を受けた生徒同士だ。心配くらいしてもいいだろう。でも、知らない人から話しかけられるというのは気まずくなるか。背格好から見ても相手は年上らしいし、敬語じゃなかったのも不味かっただろう。
今までも、年上に対しても敬語を使わなくて一悶着、なんてことはあった。それも一度や二度じゃない。だからといって直せるわけではないが。
ふと、一人の生徒が騒音に対して顔を歪めていたように見えた。最初は気のせいかとも思ったが、大きな音が鳴るたびにそうしてれば、なんとなく耳がいいのかとわかった。
「図書室か裏庭に行ったらどうだ?」
静かな場所に行けば、体調は良くなりそうだな。そう思った俺は、考えもなしに提案していた。

依十 (プロフ) [2019年7月18日 19時] 4番目の返信 スマホ [違反報告]

声を掛けられて、慈は頭痛が悪化しないようにゆっくりと振り向いた。見たことのない顔が、心配そうに慈と友人のことを見ている。ありがたいと思う同時に、心配させてしまって申し訳なくなった。見ず知らずのはずの自分たちに声を掛けたというのは、即ちあまりにも体調が優れないように見えたからだろう。そう予想する。
「いやー、要らん心配、させたみたいで悪いな。助言、ありがとな。嬉しいわ。でも、平気だ。けっこー慣れてきたもんでさ」
強がるな、と言うような不安そうな表情で友人に小突かれるが、まあまあ、と穏やかに宥めておく。それからゴーグルを外して、慈は青色に染まった狼の目を相手に向ける。人間のものではないことが分かる目だ。
目を合わせて、それから自分の目を指さした。ご覧の通り俺は異能を制御し切れてなくてな、とのこと。
「図書館行っても、裏庭行っても、俺の異能じゃ、ぶっ倒れて眠るまで、体が楽にならねーんだよなあ」
自分で口にしている言葉なのに耳に響いてきて、ああ、本格的に異能の制御が出来ていないな、と。苦笑して、頬を軽く掻いた。
「まあ、ちょいと保健室には、行くかなあ。済まんが、俺の代わりに、こいつを……うん、食堂の方まで、連れてって、やってくれ。こいつ、人見知りなんだ」
ズキズキと鈍い痛みに耳と目とをやられながら慈は相手にそう頼んだ。友人はけれど、自分を食堂に送るより慈を保健室にまで連れて行ってやってくれ、と頼んでくる。慈がおい、と咎めるけれど、どう見たって慈の方が重篤である。

666 (プロフ) [2019年7月18日 21時] 5番目の返信 スマホ [違反報告]

「わかった」
互いが互いを心配し合っているのを見て、似た者同士なところがあるなと内心思う。どちらの言うことも相手を思っての行動であるが、今回は明らかに具合の悪そうな彼を保健室に連れて行くことを優先しよう。
「保健室に連れて行くわ」
人見知りだという彼の友人には申し訳ないが、二人の状況を比べてしまうとこうなってしまう。まあ、彼の友人には一人になったことで新しい出会いがあるかもしれない、と勝手に願っておく。
問題は体調の悪い彼をどう保健室に連れて行くべきか。ふらふらで足元もおぼつかず、支えもしないのは自分の良心が痛む。背負うこともできなくはなさそうだが、不安定だろう。なら、肩を貸すくらいしかできなさそうか…。
彼の腕を自分の首の後ろに回し、背中を支えてやる。首に直接触れられなければまだ平気だ、と自分に言い聞かせ、能力を発動させないように意識する。こうでもしないと、ふとした時に流れ込んでくる記憶でどうなるかわからないから。
軽く彼の友人に挨拶をして、ゆっくりと、振動を極力抑えて保健室へ向かう。

依十 (プロフ) [2019年7月18日 22時] 6番目の返信 スマホ [違反報告]

「あーーー……」
済まん、重いだろ、と呻くが支えられて楽になると言えばその通り。ふらつく足を叱咤し自分の足で立とうとするが、上手くいかずにはあ、と溜め息を吐き出した。情けない。
友人に、済まんな、と重ねて謝れば早く休んでくれと言われてしまい、さらに苦笑する。ゴーグルを付け直して視界を区切り、せめて目だけにしないとと異能を目だけに集中させる。
一気に目から入ってくる情報量が増えてくらくらするが、耳の方は楽になった。目をぎゅ、と閉じると慈は相手に声を掛ける。
「名前、聞いても良いか。俺は慈、景山慈。……こんな情けないことになってるけど、よろしくな」
本当ならこんな無様な姿見せるつもりなかったんだよぉ、とおどけるが、そう体力も残っていない。苦笑して、額を抑えた。
体力ががりごりと削れていっている。この頭痛に、思い出すのはあの時の無力感か。とっさに庇ったとはいえ、あの友人は自分が死ぬ様を目の前で見てしまったのだ。見せてしまったのだ。
庇うではなく、通り魔を捕縛できれば良かったのにと。……そう願ったから、この異能を得たのかもしれない。
「ぅあーーーー……」
つっかれたなぁーー、と誤魔化すように呟いた。

666 (プロフ) [2019年7月18日 22時] 7番目の返信 スマホ [違反報告]

「俺は長船司。…喋んのも辛いなら無理しないでおいた方がいいんじゃねーの」
別に重くはない、とそっと支え直す。ゴーグルの下の目元はぎゅっと瞑られていて、相当辛そうだと思い保健室までの最短ルートを頭で割り出しながら歩く。
疲れた、と呟いた彼は酷く思い詰めたような、何かを思い出すような顔をしていて、とても他人の自分が介入してはいけないと思い黙っていた。保健室近くの廊下は人が少なく、遠くからの生徒のはしゃぐ声が聞こえるだけだった。
「失礼しまーす…」
保健室に着き、一応声を抑えて扉を開けば、薬品の独特の臭いが鼻をかすめる。パッと見て保健医の姿は見えないので、取り敢えず彼をベッドに寝かせるためにベッドへ座らせる。
こういう場合は、寝かせてから保健医に申告した方が良いのだろう判断はしたが、他に何かすることはあるのだろうか。こういう状況に立ち会ったことが、こちらに来てからはないに等しいためどうしたものかと首を傾げる。
「何か必要なものだとか、して欲しいことはあるか?」
病人の彼を頼ってしまうことにはなったが、何もしないよりはマシだろう。

依十 (プロフ) [2019年7月18日 23時] 8番目の返信 スマホ [違反報告]

「長船司……良い名前、だなあ」
つん、と鼻を突く清潔な香りにああ保健室か、と遅れて気が付く。ベッドに座らされ、息を吐くとそのまま力を抜いて倒れそうになるが、流石に良くないかと手をついて耐えた。
目をそっと開け、ぐわんぐわんと揺れる視界の中で辺りを見回して、それから心配そうに自分を見詰める彼と目を合わせる。随分心配させてしまっている。
申し訳ないなあ、と口にすれば病人がそんなこと気にするな、みたいな顔で何か必要なものはないかと問われてしまう。見たところ年下の彼にそう言われてしまうと、やはり情けない。
「いやあ……この異能が、無効化、されたら……一番、楽なんだけど、なあ」
まあどうせ無効化の異能力者見付けるの面倒だろうし聞かなかったことにしてくれ、と手を振り慈は笑った。苦いものが込み上げるが、自業自得とそのまま飲み込んでおく。
「……ああ、そうだ、水。……水が、飲みたいなぁ」
けれど気に掛けてくれている司に何も頼まないのは逆に失礼だ。そう考えて、慈は思い付いたようにそう言った。頼めるか、と微笑むのも追加で。

666 (プロフ) [2019年7月18日 23時] 9番目の返信 スマホ [違反報告]

「…水な。わかった、取ってくる」
確か保健室の備え付けの冷蔵庫にミネラルウォーターがあったはずだから、それを取りに行く。その最中、水を頼まれる前に彼が頼みかけた能力の無効化について考える。
自分は残念なことに無効化の能力を持っているわけではない。教師に頼むのが一番いい方法だとはわかるのだが、教師との関わりが薄いために誰がどんな能力を持っているかわからない。こんなことなら、少しでも関わっておけばよかったと少し前の自分の行動を後悔した。
おそらく、彼は聴覚や視覚が常人よりも遥かにいいのだろう。聴覚に関してはこちらが音を立てないように注意をすればいい。視覚は目を瞑ればいい。やはり、眠ってしまうのが手っ取り早く体調を治す方法だろう。
ペットボトルを一本取り出し、一応袋とタオルも借りて彼の元に持っていく。ついでに椅子をベッド側まで運び、背凭れに肘をついて座る。
「水を持ってきたけど…飲めそうか?」
体調によっては水を飲むのも辛い時がある。彼は大丈夫だろうか。

依十 (プロフ) [2019年7月19日 0時] 10番目の返信 スマホ [違反報告]
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