じじいとばばあの話。
俺よく、じいちゃんがアル中で酔っ払ってはばばとケンカしてたって話するじゃない?じゃ、そんな二人がどうやって結婚したのって話なんだけども、こいつが傑作でなんとまぁ恋愛結婚なんだよ。
じじいの兄貴ってのがってのがよぉ、ばあちゃんと同期で常磐炭鉱さ入坑したもんで先に親交があった。でもってじじいがあと追って入坑して、なんでもまぁ一目ぼれだったらしい。そのころの写真残ってるけども美男美女でまさにもうメロドラマの世界だよな。
ばあちゃんが言うにゃ今じゃ見る影もないけども、うちげの周りにも三つも四つも映画館があって、あの潰れかけて傾いてる炭坑長屋の前の通りにゃ甘味処があったらしい。ばあちゃんは心太が大好きで夏んなるとまいんちのように食っとって「美味めぇか?」って聞くと「甘酸っぱくて恋の味がする」ちゅうとったんだけども、そりゃあもうそういうことだっぺな。
でもまぁ時代が時代だったもんだからばあちゃんの家族は反対したらしくって、ある晩「俺はばあちゃんと結婚できなきゃ首つって死ぬしかない」つってじいちゃんは兄貴に泣きついたらしい。あの屈強だったじいちゃんがだぞ?んでじじいの兄貴は必死こいて頭下げに行ってどうにか許しを得たらしい。
そのあとの顛末は知っての通りなんだが面白いだろ?昔のじじいの写真を見たらもっと面白くなるさ。なんせ端正な顔立ちに洒落たかっこして昭和の大スタアそのものの出で立ちなんだからさ。どぉしてじいちゃんに似なかったのかなぁ。
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