午前9時を過ぎても、研究所内はいつもどおり静かで、精密機器の音だけが響いていた。
上古閑茜は兄兼上司である、上古閑颯の研究室に資料を提出しに向かって歩きながら、今日もいつもどおりに仕事が終わるのだろう。と、いつものように考えていた。
しかし、そんな考えはすぐに変わり、大変なことになるのはこの時はまだ知らなかった。
そんないつもどおりの行動をしている時、少し違った空気へと変わったのは、向かっている途中に兄から届いた一通のメッセージだった。
「体調が悪くなってしまったので、急いで向かって欲しい」
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