私と後悔
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善悪の知識の実を食べたアダムとイヴは、エデンの園から追放されてしまった。そのアダムとイヴは酷く頭が弱かったのだろう。私なら、そんなこと絶対にしないのに。
幼い頃、そう思ったことがある。私は彼ら__いや、正式には彼女といったほうがいいだろう__と同じ名だ。私の名はイヴ。「Eve」と書いてイヴと読む。たまにエバと間違えられるが、それもまぁ間違った読みではない。自由に呼んでくれ。
さて、私の話はもういいだろう。これからは私の弟の話をしよう。
私の弟の名は、ご察しの通りアダムだ。綴りは忘れた。どうせ聖書に書いてあるのだから、覚えなくても問題は無い。流石に、当の本人が忘れてしまっては意味が無いが。彼は私の双子の弟だ。私は彼を溺愛している。自分で言うのはどうなんだと思うが、自覚しているのだから公言しても全く問題は無い。むしろ知らないまま友人になっても後々困るだけだと、私は昔から知っている。
私が彼を溺愛している理由は、特にない。探せば出てくるのだろうが、私にとって彼はそこら辺の友人となんら変わりのない存在だ。もしかしたら、そこが一番の理由なのかもしれない。家族でありながら、友人と変わらない距離感で話ができる。変に気負わなくていいのだ。お互い利用しあっていると言っても過言ではない。それほどまでに心地いい話し相手だったからか、私はすでに彼に依存している。

